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ロラン・ヘディンと運命の聖女  作者: K.S.
第四章 七人の頭目
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4-8.鮮やかな救出劇


まさに処刑人の剣がモエナの首を捉えようというその瞬間だった。


処刑人の剣がバラバラに砕け散った。


処刑台広場に集まった観衆にも、騎士団員にも、聖兵にも、誰にも何が起こったのか分からなかった。


分かったことは一つ。


処刑台に二人の女が上がったことだった。


「モエナさん、助けに来たよ!」


ミハイ・ブランデンブルクだった。


「こいつがモエナか!ミハイ、さっさと助けて逃げるぞ!ずっとここにいるのはまずい!」


白拳の瑠璃忍もいる。


処刑人の剣を打ち砕いたのはミハイの掌底だった。それとほぼ同時、忍の拳は二人の聖兵の鎧を砕き、その者の意識を奪い去っていた。


「ミハイ、殿?なぜここに?」


パールバラは体の力が抜けたような声でなんとか問うた。それもそのはず、聖兵に抑えられ、一瞬本気でモエナの救出を諦めたのに思いがけず救出に成功したのだ。


「パールバラさん、それは後!まずは脱出しないと!脱出経路は確保してあるんでしょ!?」


コーネリアスとパールバラはなんとか気を保ち、脱出の合図を送った。広場に来ていない残りの兵士たちが広場内になだれ込んでくる。観衆はパニックになり我先にと広場から走り去っていく。


「ミハイ殿、そちらの御仁もともに!モエナ様は我々が!さあモエナ様、立ってください」


「コーネリアス、それにパールバラも、生きていたのですね…騎士団は壊滅したと聞かされていました…生きていてくれて本当によかった…」


ここから決死の脱走劇が始まった。


観衆の混乱に乗じて聖兵が近寄れないのをいいことに広場の外に脱出した。聖都を出るには通常、四つの門のどれかを通過する必要があるが、この混乱でいち早く門は封鎖された。


残すは門以外の唯一の脱出経路、下水道だ。聖都の下水道は非常に複雑な構造をしており、竪坑などの危険も多い。


もともとこの聖都は、シャルアスタ教がこの地に布教される前からあった古都の上に作られた。当時の古都は地下資源の採掘を以て巨大都市へと成長した。その名残が今でも聖都の地下にはそのままの形で残されていた。


準備していた騎士団員たちの援護もあり、彼らは聖兵たちの目をかいくぐり下水道にもぐることが出来た。


「さて、下水道にさえ入ってしまえば一旦安心だ。ミハイ殿、それから…」


「俺は瑠璃忍だ。東方、流人連合国の七人の首領の一人だ。」


流人連合国の七人の首領の名は騎士団の者らも知っていた。皆が同様に驚きの表情を見せている。


「瑠璃忍殿、感謝いたします。それにしてもなぜここに…あなた方がなぜモエナ様の救出を?」


コーネリアスの疑問は確かに的を得ている。ミハイと忍にモエナを救出する理由がない。


「私は自分の復讐を果たすため。忍さんはその私に協力してくれているの。モエナさんを助けたのは自分のためだよ」


誰もそれ以上追及はしなかった。モエナを救出できたこと、その事実に全員が心から感謝していた。


「ミハイ殿、助けてくださり本当にありがとうございます。私はもう生きることを一度諦めました。あなたに助けられなければ私はあのまま、あの場で首を刎ねられていました。瑠璃殿、お初にお目にかかります。この度は本当にありがとうございました。して、なぜ七人の首領ともあろう方がこの西方にいらっしゃるのですか?」


「なんだ、何にも知らねえんだな。捕らえられていたんだ、そりゃそうか。西方諸侯からの救援依頼で教皇庁と戦うために来たんだ。アンカーソンヒルで流人連合国軍八万人が控えてる。もっとも、教皇庁の軍はその三倍以上みたいだけどな」


「なるほど…そんなことが起こっていたのですね…では我々もアンカーソンヒルに向かいましょう。微力ながら我々ヴォルデルネ騎士団もその戦い、助力致します。コーネリアス、パールバラ、急ぎ支度を。まずは聖都を脱出しましょう」


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