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ロラン・ヘディンと運命の聖女  作者: K.S.
第四章 七人の頭目
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4-7.ヴォルデルネ騎士団の行方


時間は遡り、イストリア渓谷の戦い直後に巻き戻る。





「コーネリアス、無事か?」


肩を支えられたコーネリアスにパールバラが声をかけた。パールバラ自信もいくつも傷を負っている。


「ひどいやられようだな。お前のところは何人生き残った?」


「第三騎士隊は恐らく八十人ほどだね。まだカウントできていない。第一騎士隊は?」


「第一騎士隊も確認できているのは約百人だ。全体の九割近くがやられてしまった」


ヴォルデルネ騎士団の惨状はひどいものだった。コーネリアスとパールバラが討たれなかったのは不幸中の幸いだが、無事脱出して合流できたのはおよそ二百人。ほかにも脱出している者はいるだろうが、散り散りになってしまった。


第二騎士隊の兵士の中にも二人の元に合流できているものもいるが、副隊長のギャスカ・ウォーレーンバーグの姿はなかった。


「これからどうする?体制を整えるにしてもこの人数では…せめて南部諸侯軍とも合流出来たらいいんだけど…」


「それよりモエナ様だ。聖兵に捕えられて連行された。何としても助け出さねば…あの方を死なせてはいけない。あの方はこの世界の希望そのものだ」


この時モエナは既に聖都ベルベディアに拘束されてひどい扱いを受けていた。


「そうだな。モエナ様を助けよう。だが今のままではどうにもならない。少数精鋭で聖都に潜入するしかないな」


こうしてヴォルデルネ騎士団残党の潜入作戦が始まった。人員は二百人足らずだが、人の出入りの多い聖都への潜入であれば容易だ。


身分を偽り、巡礼のため、商いのため、様々な理由をつけて二百人の兵たちはひっそりと聖都に入り込み身を潜めてチャンスを待った。


モエナの処刑が一週間後に行われると聞いたのはそんな潜伏の日々の中だった。


「モエナ様が処刑される。時間がない、もう夜間に忍び込んでなんとか奪還するしかない」


「いやダメだ。そもそもモエナ様が幽閉されている牢がどこにあるのかわからない。可能性が最も高まるとしたら処刑が行われるその日しかない」


「しかし処刑の日にモエナ様に近づけるかどうか…もし近づくことが出来なかったら…」


その先を口にする者はいなかった。





「これより、モエナ・ローザ・セントディリッヒの公開処刑を執り行う。この者は大司教でありながら教皇庁への反逆を主導し、あまつさえ教皇の命を狙った。自らの私利私欲のために教会の名を大いに穢し、自らが教皇の座に就こうとした。これは極刑に値する。よって斬首とする」


グレゴリオが罪状及び刑の内容を述べた。処刑台広場に集まった観衆達はその処刑の様を見つめている。処刑台の前には聖兵が並び厳重に警戒していた。


観衆達の中には数十名の騎士団員が紛れ込んでいた。互いに目くばせをしてタイミングをうかがっている。


処刑人が巨大な剣を持ち台上に上がろうとしたそのタイミングだった。


観衆の中から飛び出し一斉に聖兵たちに飛び掛かった。聖兵を騎士団員の兵士たちが数人がかりで抑え込んでいる間にコーネリアスとパールバラが台上に飛び上がった。


「何をしている聖兵!奴らを取り押さえろ!」


グレゴリオの怒声が響く。


モエナと二人の間に聖兵が立ちふさがる。あと数メートルなのにモエナに届かない。処刑人は既に台上に上がり剣を振りかぶろうとしている。


「やめろ!モエナ様!今行きます!」


しかし二人の騎士隊長は聖兵を貫くことが出来ない。抑えるのが精いっぱいだ。その二人を尻目に、処刑人はその剣を大きく振りかぶった。


「やめろおおおおおおお!!!」


二人の声が無情にも処刑台広場に響き渡った。


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