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ロラン・ヘディンと運命の聖女  作者: K.S.
第四章 七人の頭目
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4-2.戦略

「三十万か。なかなかの敵だ、楽しみになってきたな!」


「やめてくださいよ忍ちゃん。私、戦うの苦手なんだから」


「忍ちゃんって呼ぶのやめろよ奏!」


緊張感のなさにハロルドをはじめとするアンカーソンヒルの面々、さらにはロラン達まであっけにとられていた。独特な七人ということは知っていたシリーンでさえもここまでとは思わなかった。


一か月半というのは決して長い時間ではない。三十万と真正面からぶつかるわけにもいかないために、本来いろいろな仕掛けが必要になってくる。極端な話、濠を掘ったり、城、砦の建設があっても良い位だ。しかし今回それだけの時間はない。


となると、天然の要害を使うしかない。幸い、アンカーソンヒルの南側には天然の濠として使えるストロングトン川が流れている。川幅は十分に広く、橋を落とせば一週間かけて迂回しないと歩きで川を渡ることはできない。


「ストロングトンのほとりで迎え撃ちましょう。おそらく敵は落とされた橋を見て迂回するでしょうが、こちらは船を使って迂回する敵の背後を取るのです。本隊が合流する前に精鋭部隊を叩ければ連中の戦力に大打撃を与えることができます」


「いや、先輩ちょっと待ってください。その作戦、仮に敵の精鋭を討てなかったら逆に我々が背を討たれる形になります。ヴォルデルネ騎士団に勝った中央近衛聖兵団を甘く見るべきではありません。ヴォルデルネ騎士団の戦いを見ましたが、相当の腕です。彼らが勝てなかったとなると…」


「ハロルド殿、そちらの御仁は?」


鵠の質問に、ハロルドが答えるより早くロランが口を開いた。


「私はロラン・ヘディンと申します。考古学者です。ハロルド・アンカーソンとは旧友であり、戦争では共に戦った戦友でもあります。今回、彼に頼まれアンカーソンヒルの参謀を預かりました。流人連合国の皆様と共に戦えて光栄です」


「ロラン殿、こちらこそ光栄です。私たちはこのあたりの地形には明るくありませんから、ぜひとも宜しくお願い致します」


鵠は相変わらず低姿勢を崩さないまま続ける。


「ロラン殿のおっしゃる通り、敵の迫る対岸に渡るのは危険かと思います。しかし敵を攻撃できなければ時間稼ぎにしかならない…そこでどうでしょう、船を繋いで橋にして対岸に渡るというのは。それであれば仮に退却することになっても自軍は橋を渡って退却できます。敵が追ってくるのであれ船に仕込んだ油樽に火をつけて船ごと燃やしてやればよいでしょう」


船の用意に少し手間取りそうではあるが、確かに妙案だ。この案であれば挟み撃ちのリスクを回避できる。ただ難しいのは橋を架けるポイントだ。橋を渡ってから背後を討つまでに時間がかかっては、結局本隊の到着が先になってしまい挟み撃ちに合う可能性がある。それでは意味がない。


「船はある程度自由に動かせるようにロープで連結しましょう。固定する時はロープを巻いて、解除する時はロープを伸ばせば上流から下流に向けてある程度自由に船を動かせます。敵が迂回するとしたら最も近い橋は下流にあるので問題ありません」





作戦は決まった。そうと決まれば、橋の解体と船の準備、それから糧食のだ。ハロルドは各所に指令を出して早速取り掛かった。精鋭部隊を迎え撃ったとしても本隊との直接接触は避けられない。籠城への備えも必要だ。壁上投石器やバリスタも準備をすすめた。


淡々と迎撃の準備を進めている中でも、教皇庁の軍隊は着々とアンカーソンヒルに迫っていた。


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