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ロラン・ヘディンと運命の聖女  作者: K.S.
第一章 南へ
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1-12.ブランデンブルク家

ブランデンブルク…どこかでその名を聞いたような…


ロランは思い出せそうで出せないそれを、必死に頭の中から探した。しかしあと少し、喉元まで来ているが出てこない。


「さすがに、ブランデンブルク家については覚えてないって顔だね。教えてあげるよ」


そういうと、彼女は語り出した。ブランデンブルク家はロランの言う通り西洋諸侯の一家で、古くから続く歴史を持った一族だった。


今から約400年前にヒルデベルト・ブランデンブルクが戦争の功績から辺境伯に封ぜられ、ブランデンブルク辺境伯の歴史が始まった。


北西の内地に領地を持つブランデンブルク家は、当時西洋諸侯地域からは未知の北の領域へと侵攻した。


北の領域は限りなく続く草の海と、さらに北西には天蓋のような山脈、東には深い森が広がっていた。ブランデンブルク家はこの地に次々に入植し、領地を拡大していった。


また、彼らは原住民への対応として、懐柔の策を取った。これが良かった。結果として数万の領民を獲得した。


これらの拡張政策の途中、何度か小競り合いのような小さな戦いが起こったものの、西洋地域の北端に位置するブランデンブルク家は自らの領地を守ることに徹した。


しかし、西洋地域の外交関係では沈黙に徹してきた彼らが、北方への入植でいつの間にか西洋随一の大勢力になったことを皇帝は見逃さなかった。


皇帝はブランデンブルク辺境伯領に侵攻、従属国4か国も皇帝に次いで侵攻。これが今から180年前、ブランデンブルク北伐戦争だ。


ブランデンブルク側からすれば明らかに防衛の手は足りていなかった。


この時ブランデンブルク家が取った作戦は、皇帝は相手にせず、従属国への攻撃だった。

各従属国との兵力差は圧倒的にブランデンブルクが上だ。圧倒的な兵力差で従属国の部隊が合流する前に各個撃破していった。


さらにブランデンブルク兵は練度にも勝っていた。徹底的な軍律遵守の方針により、歩兵、騎兵共に素晴らしい動きを見せるブランデンブルク軍を前に、侵攻軍は手も足も出ない。


従属国軍は半年もたたずに継戦不可能なほど軍隊に壊滅的被害を受けた。しかしこの半年の間に皇帝直属の軍はブランデンブルク本土に深く突き刺さり、強固な守備を持つ本拠地のフォーリンゲンを包囲していた。


本拠地防衛の拠点、ゲルハルト要塞は既に貫通され、皇帝の手に落ちた。ブランデンブルク対皇帝の正面からのぶつかり合いになった。


本拠地を防衛すべく、包囲中の皇帝直轄隊と衝突。第1波、1万は皇帝の勝利となったが、立て直す間も無く第2波で本隊が到着、皇帝は後退を余儀なくされた。


本拠地の制圧はコストがかかりすぎると見た皇帝はブランデンブルクの独立の条件に、ゲルハルト要塞とその地域の割譲を提示し、講和を持ちかけた。

ブランデンブルクとしても、これ以上長引かせて国を疲弊させることは得策ではないと踏み、この条件にて講和、第一次ブランデンブルク北伐戦争は終結を迎えた。


しかしこの講和、ゲルハルト要塞を皇帝に奪われたことは非常に大きな傷を残した。本拠地防衛の要を失い、真綿で首を絞められている状態に陥ったブランデンブルクは大きな動きに出ることができなくなった。


ここから衰退が始まる。


皇帝はすでにブランデンブルクの独立を認めた手前、連合の一部とは見ておらず、交易においても優遇措置が取られなくなった。


北端に位置しており、防衛に適しているという地理上の優位が、北端に封じ込められるという弱点になった。


その状況下に落ちてから170年、ブランデンブルクは衰退を続けながらもなんとか生き延びてきた。


しかし現在から約10年前、皇帝はブランデンブルク辺境伯領は古くは我が国土の一部であったと主張し、一方的に宣戦。同時にゲルハルト要塞から大部隊が本拠地へ向けて出撃した。


170年間の平穏から一変、当時戦争疲弊を避けて講和したブランデンブルクだったが、結果として国を大きく疲弊させてしまった今、皇帝に太刀打ちするすべはなかった。


ブランデンブルク家はその領域を放棄、永久追放されることとなった。


ここに貴族、ブランデンブルク家としての400年の歴史は幕を閉じることとなった。


生き残りは散り散りに各方面に逃げ延び、今も細々と暮らしているという。この、ミハイ・ブランデンブルクのように。

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