5部 巻き込まれてるやん
ゴールデンウィーク前半の京都巡りが二人とも満足行かなくてGW最終日は大阪に行った。そこでは京都より最悪な事態となったよ、笑。今では呼び込みは禁止されているがその時はまだ若干こそこそ呼び込みをしていた時で、七千円でいい店あるからと奴がまた呼び込みに声をかけられ俺は断ったんだが奴がちょっと行ってみよって、二人で小さいバーとかが集合で入っている細長いビルの小さいエレベーターに乗せられた! 何階だったか忘れたが、エレベーターが開きその部屋の扉を客引きが開けると、そこは真っ暗ではないが非常に薄暗く最初は全然見えなくて、この店はあかんボッタクリ店やと奴も俺も思ったが、だんだん目が慣れてきて別々のソファーに座らされてからなんか面白くなって笑いがこみ上げてきたんだ。この暗闇でいったいどんな娘が来てどんな事するのか、じっくり観察してこの胡散臭い店を楽しんでやろうと!
しばらくしてカーテンが開く音がして何色かわからない卑猥なカーテンがゆれ顔が全く判らない女の子が入ってきた! 鼻がきく僕は相手が話す前から気が付いた、匂いが日本人の匂いではなく南洋の香りがした。なんの会話をしたか忘れたけど、終始同じ様な言葉でゴールデンウィークは何処に行った? みたいな言葉を連呼していたから、話しにならず、真っ暗闇の中でどういう行為をしてくれるのかに興味をいだき観察を続けたが、一行に動く気配がないから、わざとトイレの場所を聞いてトイレに行った。カーテンが開いた瞬間に非常灯が微かに女の横顔を照らした! なんとも僕からは説明のしにくいフェイスラインが浮かびあがり一気に気持ちを消沈させた。いっぽう腐れ縁はと言えば、暗闇の中で口八丁手八丁で怪しい店だと理解しつつ払った料金分は奉仕して貰おうと酔った彼らしくいじましい性格を全面に出し必死やったらしい笑。店をでた後、話を聞いて爆笑してしまった! 僕はあの横顔を見てしまってから、女に触れる気もなく素っ気ない返事で交わし、向こうも僕の行動がわかったのか近づこうともして来なかった! 腐れ縁は真っ暗闇の中で、手コキされイッタらしい、あんな怪しい店の怪しいばばあの手コキでイく所が奴らしいから思い出して爆笑した。僕はそんなメンタル強くなれないわほんまに。繊細だからな。
自分という名の船を漕ぎ、世間という名の海を航る
いつまで凪の中で、休んでいるつもりだ?
お前は誰にも頼らずに、家を出たんだろ?
あの眼差しに見つめられると
あともう少し、あと少し、側にいたいと思っちまう
アミューズメント施設でのアルバイトも夏から冬に突入し年末を抜け新しい年を迎えていた。ここでのアルバイトにすっかり定着し大学生どもの人間関係に切磋琢磨しながら奴らに舐められたくないから随分、虚勢を張っていたなとあの時を思い返すとそう思う。
男ばかりのアトラクションだが土曜、日曜のシフトは、学生の女の子がモギリと案内を担当する。平日は来客数も少ないため人件費削減にフリーターは貢献して、モギリ、案内、乗車を全て一人でこなしその作業を三人で回していた。平日は一時間に一回位の稼働だったので三人でも余裕で仕事は回った。ただ休日ともなるとその反動が帰って来るみたいに客が押し寄せごった返した。土日祝日は、10分に一回の稼働目標を掲げていたのでしんどかった。けれど女の子が多く入る為、しんどいけれど楽しい部分もあった、そんな事しか考えていないねんなほんま
あの娘とはすれ違ったり休憩が同じになると向こうから話してくれる様になり、真面目な雰囲気の彼女のイメージとは違い笑いが通じる人だった。あれは多分僕は恋をしていたんだなと思う。
頭が良くて美人で、僕と同じ位の身長でさらりとしなやかな髪の毛から凄くいい薫りがする彼女に恋をしたんだな。
噂では大学に同い年の彼氏がいて同棲しているとかいないとか、気にはなるが向こうも言わないし、僕も聞かないし、あそこの店のカレーが旨いとか、エアロスミスのギターは一瞬ズレているみたいなへたうまだなとか、駅まで一緒に帰ったりしてたわいもない会話を僕らは楽しんでいた
あの時の小沢ちゃんは僕の事をどんな風に見ていたのだろうか? 私の事を気に入ってくれてるのかな? この人! とか、話しやすいし気さくな人やからちょっと相手してやろかな? など、女は所詮、気まぐれで楽しい時は上り調子だが、自分の立場が危うくなると手のひらを返すのが女だからなっ! わかってはいるけど、あの笑顔とサラサラの髪の毛にノックダウンされていたんだよ
もっと早く気付いていれば、今の僕はここにいない
きっと君は、僕の心に気が付かないまま、あの頃を
さまよい 独りで 泣いてたんだね
笑顔の素敵な彼女はもう四回生になり、大学へはあまり行かず、平日バイトによく入る様になっていた
駅で見かけるとおはよーって話しながらバイト先までの真っ直ぐな道を少し冷たい春の風が二人の間を吹き抜けていった。あの娘に気持ちを伝えようかと迷うあるバイト終わりに時々、施設の対面の歩道橋下に同じ車が停まる様になったのをたまに見かけていた。その時は気にもとめなかったんだが、いつも僕が見かける時は、窓を開けタバコをかっこよく吸ってる自分に酔っているオシャレな大学生やと思って、はいはい!と思ってみていたんだがある時、残業しなくてはならない時があり、帰りがみんなより遅くなってしまって一人で施設の出口を出た時に例の車が停まっていて乗り込もうとしている奴があの娘やった。今の年代やったらあんまり動揺とかしないだろうけど、あの青春真っ盛りのガンガンの頃の僕はさずがにショックやったわ!それもクソみたいなチャラ男!笑笑。あー俺もチャラ男になろーかなっ! ピアスして、ロン毛して、あほらしっ! 車は出る気配もなくそのまま停止していた。辺りは少し薄暗くなっていたので気付かないふりして車の横を通りすぎた。窓が開きあの娘があれ?今帰り?って声を掛けてきたから頷いた時、チャラ男が誰?っとウット~しそうに俺に目を合わせて来たから、バイトの帰りやねん! 誰ってあんたこそ誰やねん! そのまま振り向かずに帰った。次の日、あの娘がゴメンあいつそっけないやろ?って言ってきたから、知り合いでもないしあんなもんやろと吐き捨てる様に言ってしまったけど彼女は笑ってくれた!来週の休みに映画行かないか?行く行く!だってさっ!まき混まれてるな相変わらず!あの頃の僕。笑