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一部

初めて風俗店デビューしたのは、性格の悪い嫁との離婚が成立し元嫁が家を出て行ってから3ヶ月程たった春頃だったと思う。離婚出来た事が嬉しくて当時仲良くしていた仲間に電話して祝福してもらったくらいだ。 

離婚する経緯は友達も分かってくれてたからさっ! クリスマスの2日前だよ離婚を切り出せたのは。 あっさりOKしてくれた裏には、向こうが外国人の男と関係をもったからこのチャンスを逃す手はないと早く別れたかったから、あのままだとあのくそ女だけでなく、その親にも金を死ぬまでせびられる所だったんだから。

 へーっ君もそうだったんだね! 僕とは少し経緯(いきさつ)は違うけれど金を持って行かれるところは同じだね。付き合って最初の頃からだけれど、親が怪我して入院してお金がいるけどないからって母親が頭を何回も何回も下げるもんだから情けでお金を出したのが運の()きだったよ! それから一回二回と増えて行き、何回も下げていた頭もお金を受けとる時の金の太さを感じた時に見せる喜びの目元を見せて一回、ありがとういつも! ちゃんとかえしますから! と返金された事もなく、また三万貸し、月初めにまた五万貸してくれって感じで結局、結婚した瞬間に身内になったから返さなくてよくなったわと堂々と口にする始末! 恋愛感情なんて付き合って半年で尽き果てて、丸一年たった頃に別れ話を切り出すも、泣きつかれて今思えば上手く丸め込まれていたと思うし連れから言わせれば人がよすぎるよっだとさっ! 笑笑。それから三年の間に結婚させられ

離婚となるのだが、ほんと惨めな新婚詐欺生活だったよ!

分かった上で結婚した自分が全て悪いんだけどね、君は女運が悪い相がでてるから、第一印象のいい女には気をつけないとダメと友達の母親に言われたことがあったよ。今思えば当たっているのが笑える。


 季節は春である、いつか見た夢の中で聞いた、あの歌を君に聴かせたいんだ!

 取り留めのない歌を君に歌って聴かせたいのだ!

慰めて欲しいだけなのに

 君は誰の物でもない天使 有限期限のある天使

 そして憎しみも悲しみも忘れてゆく


 一人になってからと言うもの、仕事を終えてからそれまでセーブしていたパチンコ再開! いかれた頭は更にイカれて爆発寸前! 元嫁への怒りだけが膨大な紙切れの様に蓄積した頃に専門学校からの友人に連れられて十三のとあるファションヘルスに連れて行かれたのがきっかけだったよ

 彼もその当時、少し心の病を(わずら)う女と同棲していて、俺と同じくそろそろ縁を切りたがっていた所にその女が家で暴れて警察沙汰まで発展し結局、女は自分の母親の実家に戻っていったまあその半年後、また戻って来るのだが、あの時の彼にとっては解放された喜びで休み前になれば俺を家に呼んでは、朝まで楽しそうに飲んでいたよ! そんなある休みの朝、彼がヘルス行こうよって言い出して、行った事もなかった俺は昔からどんな場所なのか興味はあったのだが、一人で行く勇気もなく、32才になる時まで風俗を知らなかったのだ。その昔、まだ成人式を終えた程の頃、中学の同級生の仲間が大学生で、バイトをして金が貯まれば自分へのご褒美だとか色々な言葉を駆使して理由を付けては、とあるソープに通っていたな! 彼は今どうしてるんかな? 元気で頑張っているんかな? 結局、中学の同級生の彼とは疎遠になってしまったきりだな。当時のまだ若さがみなぎっている自分にとっては金を払ってする行為ではないとか、惚れた晴れたをまだまだ夢見てた時で、今の彼女より、もっと良い恋愛対象がいるのではないだろうか、とか心の何処かで思っている年頃だったんだ。 そんな考え方をしているもんだから付き合ってるかどうかあやふやな関係から、もって3ヶ月だな見たいな付き合いや、ずるずる一年続いたよみたいな感じの恋愛生活だったかな20代の時は、その後の新婚詐欺生活ときたもんだから風俗なんて行く必要すら感じてなかったと言った方が適切な表現だと思う! 今現代の若者は恋愛に消極的だとか言われているし、やはり恋愛ベタな人は若い頃から風俗で女を知るのが多いのかも知れないな。でも若者はいつの時代も金がないからな! 今の世の中、若者達が年寄り臭い雰囲気を出していて、中年の俺がまだまだ若いかっ格好をしているのが不思議でしょうがない。

  

  もっと楽しめよ!  人生一回キリだぜ!

  金の事なんて考えた所でしょうがない、だから

  先立つものがないのなら、楽して稼ぐ事を考えず

身体を使い、汗をかき、きつい仕事だろうがなんだろーがいっぺんやってみろってんだ! 能書きばかりを語る若者よ! 君の未来はそんなもんだよ! 人を宛にせず、自分自身で身体を使い、肌で感じ、その(まなこ)で見定めてからでも遅くはないだろうからさっ! きっと君はやって行ける

この世知辛(せちがら)い世の中で!

この不条理(ふじょうり)な世の中で!



 薄暗い少し床がきしむ細長い階段を彼が上がっていくその後ろについて上がっていった。彼が店員に待ち時間は? と聞いているのをよそめに店の雰囲気を楽しんだ。二人同じ位の待ち時間で30分くらいらしいよ! パネルで女の子を指名すると指名料金がかかるから指名なしていいだろ? それはかまわない、この店は外れが少ないのが評判の店だからそれなりの女の子らしいよ! ただ朝の場合はわからないけどと付け加えた。待ち合い室は、五人程の当時の僕らより、10才位上の四十代から、五十代くらいの休日の朝にもかかわらずスーツ姿のサラリーマン風の人だったり、少ない毛を真横に寄せてジーパンにシャツをインさせ腰にポシェットを付けている女から相手にされそうもなさそうな人や、俺達と同じ位の年格好の三人組など静かに自分の番号を呼ばれるのを待っていた。

 30分か40分過ぎた頃だろうか、番号が呼ばれ先に友達が案内された終わったら外で待っとくからとドアの外に消えていった。そして更に10分後に自分の番号が呼ばれて、待ち合い室から出てカーテンが開かれた先に女の子が待っていた。可愛らしい人であったが少し心が疲れてる様に見えたから、今日が初めてで緊張してるから色々教えてねおねーさん! 終始つくり笑いをしていたような気がする! 約40分と言う時間だったがあの時の俺にとってはあーこういう場所も有りだなと思った、過去の風俗を否定していた自分が馬鹿らしくなり、またこようと思ったのだった、そして沢山の女の子が数ある風俗店で働いていて、みんなそれぞれがそれぞれの事情を抱えながらこの仕事をしているんだなと思い、女の子にサヨナラをし店の階段を下り友達が店の前のガードレールに座っているのを確認した後、タバコに火を付けて良く晴れ渡った空へ肺の奥まで吸い込んだ煙を虚しさとやるせなさの同居するため息と共に吐き出した。今日は良い1日になりそうだそんな予感のする休みだった気がする。

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