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ゴブリン如き  作者: めも
仮想世界
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第1話 Flow of World

20××年、世界で大人気なVRMMO『Flow of World』R15指定のゲームが15周年を迎えようとしていた。



VRMMOは発達しゲームの世界でも感覚を得られ、またモンスター達も1体1体に人工知能を搭載されよりリアルな世界を体験できるようになっていた。



flow of worldの世界は中世をモチーフとした剣と魔法のファンタジー世界、世界地図には中央に小さな1つの島がありその周りを囲うように3つの大陸がある。

各大陸には人族の国、獣人族の国、魔族の国とそれぞれの大陸ごとに分かれている。

そして、その国ごとで様々な種族が職業を生業とし暮らしていた。



PVPコンテンツでは、血の気の多いプレイヤー達が中央の島の領土をめぐって3ヵ国が争い。

各大陸では野盗プレイヤーが暴れ、海では海賊プレイヤーが暴れまわっている。


PVEコンテンツでは、プレイヤー達がダンジョンやフィールドボス、ある時は海へ出て海底ダンジョンや船に乗りフィールドボスと海上戦をしたり、時間と共に自然に成長してしまったモンスターなどと大規模戦闘をし攻略していた。


そしてハウジングコンテンツ、自分で土地を買い家を建て店を開いたり農業をしたり家畜を育てることだってできる。

そしてダンジョン管理など個人でも複数でも求めた家作りが可能だ。



さらに明日の15周年を祝う大型アップデートではflow of worldの全ユーザーを巻き込んだイベントが来るためプレイヤー達は活気に溢れていた。



そんな世界で魔族大陸の一部のとある歪な森の中に、切り拓かれた空間にはぽつんと一軒家が建っていた。

家には植物の蔦が無造作に壁や屋根に張り巡らされ、そんな家の周りには池があり傍には一本だけ立派な木がある。

反対側の庭には畑だろうそこ動く影があった。



容姿は150㎝くらいで細身、頭には麦わら帽子、両耳には黒いイヤリング、手には軍手、服は白の半そで紐シャツ、ズボンは茶色の作業ズボン、茶色の革靴を身に着け、背には体格と合わない大きなまん丸の黄色のリュックを背負っている。



一見、子供が畑仕事をしているのか?と思うだろうが肌の色が子供のそれと違うと訴えていた。

そう凶悪な顔、鋭い目つきをした黄色の瞳、尖った耳に緑色の肌をしているそれは、様々なRPGで出てくる弱いと定評のある緑色のモンスター・・・ゴブリンだ。



ゴブリンが違和感しかない格好で陽気な鼻歌を歌いながら緑色の象さんを形取ったジョウロをもって畑に水を撒いていた。



「よし!これで今日の夜には料理を作って明日の15周年イベントでみんなに料理バフを振舞えるな」



少しかすれた声を発し元気に独り言を呟いているシュールな魔族のゴブリンが一人、仮想世界でのプレイヤーネームは『アルク』レベル100(カンスト)職業テイマーだ。

現実世界の彼の名は『世和 歩/せわ あゆむ』39歳、フリーターで独身貴族・・・あと少しで魔法使いから賢者になろうとしてる者。



15周年イベントのために、ここ数か月アルクはギルドメンバー達と手分けして準備をしていた。

その中でアルクが任されたのは料理担当だ、料理には食べた者に能力を上昇させる効果があり、そのためアルクは食材を集めて【時間停止】機能がついたマジックバッグと家にあるマジックボックスに食材をため込んでいた。



そんなアルクが野菜のお世話をしてると女性には少し低いハスキーボイスで大きな声を掛けて手を振りながら歩いてくる。

その人物は、背が高く魔術師だろう、黒色のローブを着ていて、足が見えないほど長く、フードを深くかぶっているせいで顔も見えない。



「おーいアルクー、調子はどんな感じよー?」



アルクはその者の声を聞くと顔を向け微笑みかけるがその顔はニタァと効果音がでそうな凶悪な笑みだった。



「お!腐魔こんにちは、もうあとは野菜が育つ間に料理に使う薬草を取りに行くだけだよ」



【腐魔】と呼ばれたものはそんな笑顔を向けられても気にせずアルク対応している、

日頃からよく絡むギルドメンバーだ。

もう13年だろうかそれくらい長い付き合いで他にもたくさんのギルドメンバーが居るが、15周年イベント前の準備で忙しくしてるだろう。

腐魔は自分が所属するギルド【Vitality】の魔法攻撃力トップのウィザードだ、その気になれば世界を狙える実力者なのだが本人はその気がなく、ギルドメンバー達は何も言わないが勿体ないなとどこか思っていた。



「アルク、悪いんだけどさアプデ前にお金使いたくないから料理ちょうだい!」



「自分も明日のアプデで追加される新しい料理のレシピのために、料理作ってないだけど余りでいいならいいよ」



「十分だよ!やったー!ありがとう!これでポーションのギルド課題が楽に終わるよー!でもさ、大丈夫なの?アルク、テイマーじゃん、ほかの3体の仲間《従魔》はギルドのダンジョン護ってくれてるじゃない?仲間の1体だけでフィールドに出ても大丈夫なの?」



腐魔が喜ぶとすぐにアルクがフィールドに出掛ける事に気づき、不安そうな声で心配してきた。



アルクの戦闘職業はテイマーだ。

この世界ではテイマーは魔獣と契約して従魔にでき、パーティメンバーとして最大4体の従魔を連れて歩く事ができる。

だが、今その内の3体が仲間達で作ったダンジョンを護っているため居ない。



「今傍に居るのは、チャチャだから問題ないよ」



「あぁ傍に置いてる子はチャチャちゃんなんだ、それなら安心ね」



アルクはなんの問題もなさそうにケロっと答え、背負っていたマジックバッグから料理を取り出し、腐魔に渡していく。

腐魔も【チャチャ】という名を聞くと安心したようだ。



「あと明日のイベントの内容見た?一部だけど中央の島で行われるみたいだよ、楽しみだね!」



「中央の島で・・・気合いれないといけないね」



アルクはそんなことを呟きながら、腐魔にアイテムを渡し終えた。

受け取った腐魔も、料理アイテムをローブで隠れて見えないマジックバッグのポーチに入れ終えると。



「よっしゃ!アルクありがとね!明日は頑張っちゃうよ!それじゃぁ腐魔様行ってきます!明日はお互い頑張ろうね~みんな20時に来るから!まったねーお母さーん!」



そう言いながら、はち切れんばかりに手を振る腐魔を苦笑しながら見送った。

長い付き合いと年齢差も10歳くらいあって、腐魔は時々自分をお母さんと呼んでくるが最初は抵抗していたが付き合っていくうちに諦めた。



「こちらも出かける準備をしよっと」



アルクはそう呟くと家に向かい歩きだした。

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