表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
望みを探して  作者: ほな
1/1

些細な事から大きくなっていく誤解と、涙が出ちゃうような恋の話


空に浮かぶ丸い月を見ながら、聖奈は手元のガラス瓶をゆらゆらと傾けた。


両手に余る位の瓶の中で、カラリと軽い音が転がる。


地球で見慣れた黄色い満月とは違う暗いオレンジ色。

その月が浮かぶ日に、瓶の中の飴を1つ食べるのはもはや聖奈の習慣になっていた。


ーけれど。


残り少なくなった飴。


飴が少なくなる前には、いつも必ず、絶対に安全に次の瓶が届けられていたはずなのに、今回に限っては未だに届かない。


聖奈は眼差しを月から瓶へと落とし、もう一度手の中で揺らした。


カラリ。


残り3粒になった飴。


今日これをなめてしまえば残りは2粒。


飴が一目で数えれてしまうようになった頃から浮かんできた焦燥は、今にも腹の中を突き破って聖奈自身を食い尽くす様な恐怖になっていた。


裏切ったのか、見捨てられたのか…


それとも、何か事情があってー


脳裏に浮かんでくる、豊かな黒い髭を蓄えたあの屈強な男が飴を片手に朗らかに笑いながら聖奈を訪ねてくる姿。


不安を振り払うように、何か些細な事情で届けられないせいなのかもしれないと、すがりつくような気持ちでそう答えを決めて、聖奈は飴を一粒口に含んだ。


甘くて、ほんのりとフルーツを感じる慣れた固い感触。


私は脳味噌を切り替えるべきだ。

いつからこんな弱くなったのか。


届かないのだ。


取りに行こう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ