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プロローグ

 直ぐに筆を折る癖があったのですが、今回のは割とストーリーを作り込んだため失踪はしないと思います。思い....ます。


 感想が生きる糧になるので是非ともお願いいたします。駄文で申し訳ないです。

 風の吹かぬ草原、曙光が差し込み人々はようやく朝が来たのだと光に目を細める。

 彼らは太陽を見て何を思ったのだろうか。希望か、終着か、安らぎか、明日か、...はたまた後悔か。


「...あぁ、大馬鹿者だ俺は。何で分からなかったんだ。何で望んだんだ。」


 その中で過去の自分に対して、恨みを吐き続ける男がいた。名は誰にも知られていない。誰も男がここで死ぬことを知らない。知ったものは彼より先に死んでしまっている。

 片腕を失い、胸から腹にかけて裂けており、自分の臓物がお前はここで終わりだと主張している。

 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだ、イヤダ嫌だ、こんなことなら初めから戦争なんかに参加しなかった。今ならば武勲もいらない、名誉も金も何もいらない。お袋に恩も何も返せていない。俺を送ってくれたあいつに好きだと伝えていない。まだ終わらない、まだ死ねない...。


 朝日はそこにいる生者に、そこにある屍に、その男にも平等に光を照らしつける。無情にも死と夜の冷たさに凍えきった男はその温もりを感じることなく事切れた。


 ......オォオォオオオォオオ


 この慟哭は一体誰の、何のものか。


.-.-.-.-.


「フンッ!!」


 男達は鼻息荒く腕を組み互いの筋力を競い合う。酒気を帯びた息を吐き、互いに譲れぬもののため力を出し合う。金はかけていないが自身の運営するギルドの格がかかっている。

 周りの人々の囃し立てる声を力にかえて腕に血管がびっしりと浮かび上がる。


 ...そんな血気盛んな者どもを尻目に酒を酌み交わす2人がいた。


「ホント騒がしいわねぇ、ギルド組って馬鹿しかいないのかしら?」


 退廃的な触れたらそのまま盲愛に溺れてしまいそうな美女がグラスを片手にカウンターにしだれかがっている。赤毛の髪を腰ほど伸ばしており、身体のラインが見えない服装であるにも関わらず、抜群のスタイルをしていると分かる。

 そんな美女はどんちゃん騒ぎのギルド組を見ながら物騒にも「先の国みたいに潰そうかしら」と呟いている。

 隣の男はその様子をいつも通り口だけだと無視をし、蒸留酒を楽しんでいた。俗に言う勝利の美酒のそれは格別であり、先の戦を追想させる。

 大戦から一週間ほどは所属する憲兵団から休暇を許されている彼は大金を叩いて自分を雇ってくれたこの国に感謝しながら喉に流し込む。


 見事生き延びたと自分を称えつつ、次も生き延びて美味しくお酒を飲もうと心に願う、このアルコールで気持ち良くなっている無精髭で30手前の男がこの物語の主役だ。筋肉はあるが細く、豪胆というよりしなやかという身体つきである。

 名はゼノと言う。生誕名は別にあるがこの憲兵団に5つの頃に引き取られ、正式所属の際に襲名してからはこちらの名前で通っており、彼はこの名前で呼ばれなければ恐らく呼ばれたことにも気づかない。それほどに馴染んでしまっている。

 ゼノはこれからの休暇について考えていた。いつも傭兵団内でも他の団員に絡まれやすい彼は一週間という長期休暇に加えて、他の団員はみな仕事で出払っているという最高の舞台に、年甲斐もなくウキウキしていた。


 ーーあぁ、くっそ。顔のニヤケがおさまらねぇなぁ。何すっか?明日1日は寝るとして、その次だ。久々に釣りでもすっか?それとも...、あぁ、メイルから本の感想求められてたんだったなぁ。...半日あれば読み切れるかぁ。戦闘の勘は最後の1日2日身体動かしゃあいいし、何でもできるっつーのは夢が広がりまくるなぁ。

 

 ゼノの隣で彼のニヤケ面を面白くなさそうに自身の赤髪をイジる美女はゼノと同じ傭兵団の団員でいる。名をカノンという。


「あーあ、久しぶりにゼノもワイルも休暇だってのに、何で私が事後処理しないといけないのよぉ」


 心底不満ですよと口を尖らせるカノンにゼノはぐいっとひと息に酒を飲み嗜める。


「つってもカノン。お前は今回の戦、後方待機でほとんど前線でてねぇじゃねぇか。魔力も殆ど使ってねぇ」


 伸びた顎髭を触りながらゼノは「早く剃りてぇな」と呟いている。カノンはその自分を蔑ろにする姿に僅かな苛立ちがあったが、まぁ今回は無理をさせすぎたと考え落ち着かせる。

 その後、他愛もない会話を続けた2人はお互いのグラスが空になったタイミングが重なったタイミングでその酒場から姿を消した。


.-.-.-.-.


 ...異様な光景であった。皆酒を飲み飯を食らい、勝利に歌い、自身の武勇を謳い、腕自慢を競い見せつける酒場の中で、誰にでも喧嘩をふっかけそうなギルド、闇ギルド、冒険者混合の荒くれ者共は、カウンターに座る2人の周りには決して近づかなかった。

 近づくわけがなかった。それほどまでにカウンターに座る2人はこの中でも世界が違う。


 「宵越し」と呼ばれる傭兵団が存在する。これは特別彼らがそう名乗っているわけではない。1人の頭に25人の兵を揃えた組織であり、憲兵団とは名ばかりに戦のような荒仕事から暗殺、護衛、引いては盗賊地味た汚れ仕事まで行う、要は何でも屋である。

 しかし、その実力は一兵で十を同時に相手取り屠ることが出来る折り紙付きのものであり、その分雇うには多額の報酬を、序列上位3人を雇うのならば貴族階級の者が資産を叩くという言葉を使うほどの高額が要求される。


 彼らの力は本物である。どこかの軍内に1人雇えば劣勢を均衡に、5も雇えばその戦は勝利となり、10も雇えば小国3つの連合軍まで堕とせると噂される。...味方に居れば死ぬ戦場でも死なず、敵に回れば勝てる戦にも負ける。あの世とこの世、行先の決定権を持つことから「宵越し」の傭兵団と呼ばれる。


 強者揃いの酒場でも彼らに敵対するものはいない。戦前は噂が本当かちょっかいをかける奴もいたが、戦中の彼らの戦いを見てからわざわざ命をかけようとするほどの愚者は存在しない。今この酒場には歴戦の猛者しかいない。身の程は弁えている。


 彼らは仕事外での余分な殺しはしないということは知っていたし、何よりも先の戦で互いに同じ陣営で戦い、疲弊していたこともあり誰も特に何もアクションを起こす事なく、そのまま2人は酒場から姿を消した。

 前書きでも書きましたが、感想を書いて頂けると活力が増して、毎日幸福に過ごすことが出来ますよ?この壺どうぞお一ついかがですか?お安くしときますよ?

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