第76話 それぞれの思惑2
アップですが、不定期のぺースになります。
時々修正もしています。
今回は王都散策の続きです。三話続けてですが、次話は0時にアップします。
グラムラ座長率いるサーカス一座の公演を見終わった俺たちは、座長室で雑談をしていた。そろそろ次の公演が始まるのでお暇しようとしたタイミングで、
「…ところでリース様はこの後どうされるんですか?」
アクアがこの後の予定を笑顔で聞いてきた。
俺はちらっとアリスを見る。目力が強い
「え~と。この後アリスティア様と……。」
「コホン。アリス…」
アリスが呼び方の訂正を促してきた。
「……アリスと王都散策して、食事して帰る感じ?……です。」
これが正解か?アリスの笑顔を見ると正解らしいな…
「それは素晴らしいです。私もアヴァルート王国の王都は初めてなんです。一緒にご同行しても?」
アクアは両手をポンと叩き、笑顔で提案する。護衛の聖騎士達が怪訝は顔をしているが、一切気にしないようだ。
「…っ、それは…。」
アリスが言いよどむが、ここは一緒に同行した方が吉だろう。
「もちろん構いません。散策は多い方が楽しいですからね」
背中をつねられたがかわいいもんだ。
「じゃあ、私もついていく」
「えっ、ステラ姉、まだ夕方の公演が残っているだろ。だめだよ!」
弟のシーサテトが姉のステラの言動を止める。そしてあげたギターを肌身離さず持っている。
「では、わ…僕がついていくよ」
ロディが代わりに名乗り出た。まあ、男女でバランスは良いか…。
「わかった、一緒に行こうか」
ぶつぶつ文句を言っているステラを置いて、俺たち4人と護衛の皆さまたちは、王都散策に出る。しばらくするとアリスとアクアは意外にも仲良くなっていた。『また後日一緒にお茶でもしましょう』と誘ったのが良かったのかもしれない。俺はロディと一緒に話をしながら後ろをついて行った。アクアは聖国ではあまり街に出る機会がないと言うことで、いろいろなところを見てみたいと意外と行動的だ。アリスはアクアに引っ張られながらも楽しそうに案内をしていた。しかし、護衛騎士たちは周りの警備をするために大忙しで動き回っている。あれは大変だと思う……。大人達って子供に振り回されるんだな。
夕方になり目的のレストランに近づくと、先ぶれを出し予約を取っている2人に追加して2人分のお願いをした。そこは王城からもほど近く、きれいな高台にあり横に流れる川のそばで水面を見ながら落ち着いた雰囲気を醸し出すレストランであった。
そのレストランの名前は、『銀の翼』
実はこのレストランは第一王女が資本を出し、俺の姉たちがメニューや内装等の手を入れ監修したレストランであった。
「……これは、素敵なレストランですね」
アクアは外の景色を見ながら目を細めていた。
「ふふふ、そうでしょう。今1番この王都で進んでいるレストランなんです」
アリスは自分の事のように自慢してるな。
「ああ、そんなところにご招待していただけるとは……。」
「それは偶然ですが、ほほほほほ」
「ふふふふふ、お料理が楽しみです」
怖っ。……まあ確かに本来は俺とアリスだけだったからな。
◇◇◇
コース料理でお願いしているらしく、一品目が出てきた段階でロディが明日の予定を聞いてきた。
「リース、明日は王城に来られるのですか?」
ロディ達、ジゼトラード帝国の使者たちは、明日陛下との謁見がある。確か午前中だったな。午後は、聖女アクアリスと陛下の謁見、碑文の翻訳作業があるはずだ。だが特に呼ばれていないから、明日は久々に自由に過ごそう……
「いえ特に呼ばれてないから、明日は鍛錬をして、王立図書館や兄達と交流を深めたいと思ってる」
「……そうですか」
ん?なんで肩を落としてんの?なにかあるの?
見慣れた女性が近づいてきた。
「あれ?フェル姉さん何してんの?」
「ふふふ。見ればわかるでしょ。レストランの詳細を詰めて、新メニューの相談をしてたら、アリスティアちゃんとあなたがここで食事をするって言うじゃない!だから待っていたのよ。……ああ、そうそう、今日はラティとレティが料理作ってるから」
「えっ?」
何やってんだか?貴族の令嬢様ですけど……。いいけど、なんか嬉しいな。
「じゃあ、ちょっと今忙しいから、またね。皆さん、お食事楽しんでってね」
パチンと綺麗なウインクをする。我が姉ながら相当な美人だ。器量もいい。
「「「「はい、ありがとうございます。」」」」
「素敵なお姉様ですね。」
「はい、1番上の姉なんですけど、ちょっとお茶目すぎて…。」
「でもあまり似てないですね」
「ああ、母は違うんです。うちの家族は大の仲良しですから。気軽に世話をしてくれるんです。」
「そうなんですか?素敵ですね。」
アクアがキラキラした目で感想を言った。
◇◇◇
食事も進み、ロディの妹さんの話や、帝国のおすすめ料理。聖国の名産品など多岐にわたる話で盛り上がった。今回は新作の料理が振る舞われ、ミディアムに焼かれた肉と、パスタ系がとても美味しかった。
「それではここで失礼いたします」
「ロディまたどこかで」
「はい」
ロディは女性騎士たちと一緒に宿泊している迎賓館に向かった。
アクアリスも迎賓の騎士と側仕えが迎えに来た。
「アリスティア様。本日はとても楽しかったです。明日、王城でまた会えましたら宜しくお願い致します。………リース様いずれ近いうちにまたお会いしたいです。」
「あ、うん。」
頬を赤らめて言われると、返事しづらいな~。
「ふふふ、それではごきげんよう。」
豪奢な装飾をした馬車で、王都にある教会の本聖殿に向かっていった。
「ふう、大変密な半日でしたわ。リース様」
「はい⁈」
「送ってくださいますか?」
「もちろんです。アリスティア姫」
こうしてアリス達と一緒に過ごした半日が終わった。
◇◇◇
「だぁ~」
王都の領主邸に戻って自室に入るとベッドにダイブした。
くるっと仰向けになると、フィーヴァと目が合った。
「だいぶお疲れだな」
「ああ、楽しかったんだが、慣れないことをしたからちょっと疲れたなぁ~」
「テトラ、聖女アクアリスはどうだった?」
「光の塊みたいな子ね。光と聖の気に満ちていた」
「ふ~ん。じゃあ、やっぱりすごいんだ。」
「そうですね。私の気配も察知してる感じですね。」
「えっ?そうなの?」
「はい、聖女が現れたという事は、魔女も現れますね。」
「えっ?そうなの?」
同じセリフを何度も言ってるな…。
「はい、いずれですが…。」
「ふ~ん。そんなもんなんだ?他に何か変わったことあった?」
「……街の片隅で悪意が集まりつつある。」
「えっ、どういうこと?」
「我は破壊も司るからな。その気配は敏感だ」
「私も光と闇を司る聖魔ですから、散在する闇の気配がフィーヴァと同じ場所に集っているものが何かしらの行動起こすものと思われます」
「なるほどね。この王都で不穏な動きか……。そこには何とか近づけないものかな?神獣達の誰かをやって話を中継してもらえばいいんのかな?」
「神獣達では気配が大きすぎて隠密には向くまい」
「小さなものが良いですよ。闇のチカラを使えばいくばくかの情報は持って帰れますが、正確ではないかもしれませんね」
「フィーヴァ。銀の騎士の能力に限りなく近い人型ゴーレムを作ってもらえないか?遠隔操作と自立行動が出来る機能が付いたもので」
「それは可能だが、創ってどうするんだ?」
「万が一の時にそいつに制圧させる。
それと小さなネズミ型もしくはリス型のゴーレムを作ってくれ。移動中はネズミかリスになって止まっているときは石や置物になるのが良い」
「それはどうしてだ?」
「隠密行動をさせ、その悪意の近くに配置し、そいつらの話の内容を中継させる。何かをしようとしても、そいつらの情報があれば事前に防ぐ事は出来る。また、そいつらの正体がわかるかも知れない」
「ふむ、1時間ほどくれないか?」
「…作れるのか?」
「我は創造と破壊を司る聖魔。我にできないゴーレムはない」
「かっこいいよフィーヴァ!じゃあ頼むね。……俺は例によって先に寝る。
テトラ2時間経ったら起こしてくれ」
強制睡眠という制約があるから先に寝ておかないとあとで困るからな~。
「わかりました。」
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まだ王都編です。不穏な空気になりそうです。0時にアップします。




