第70話 吟遊詩人
アップですが、不定期のぺースになります。
時々修正もしています。
王都に行きました。今回もリース視点です。
俺は王都の領主邸の自室のベッドに潜り込む。
今日は一日疲れたなぁ。第三王女アリスティア様と王都散策の約束を明後日の午後に…か。ここはやはり、王都の地理を念のため確認する必要があるよね。
おっ、フィーヴァと、テトラが帰って来た。
「どこ行っていたんだい?」
「ゴーレムのところだ。」
無愛想だなフィーヴァ。いつもの事だけど…。
「リース様聞いて下さい。
フィーヴァったら、ゴーレムが褒められる度にニヤニヤしてたんですよ?」
おおっと、フィーヴァにそんな一面があるとは?
「勘違いするな、我にそのような感情は無い」
「ふん、どうだか?」
「そうだ。そんなことより、フィーヴァ。今日不可視の状態をアリス王女に見られていた件だけど、確実なのかな?」
「ああ、視線もあった。解呪した時の事覚えているか?稀に繋がりを持つ事があると言っただろう。」
「まさか。……そうなのか?」
「ああ、まあ早めに手を打っておくべきだろうな。」
「…はあ、まあ、それしか無いか。」
アリスに2人っきりの時にでも口止めのお願いをするか?
よし明日、王都の街を調査するついでに、二人っきりになれる場所を探しに出かけよう。
◇◇◇
次の日になり、俺は朝の鍛錬を終え、午前中は王都の商業地区を目的も無しに歩いてみる。お供は、神狼と神鳥だけだ。宿泊街から商業地区へ移動する。商業地区にはいろんな出店や露天商が所狭しとあった。商店の数や、種類によって民がどんな物を必要としているのか、また、その内、まだ販売されている物は、どんな物が有って、どんな物が無いのか、気になる出店や露天は片っ端から調査した。今後の商業活動や、領の収入になるのかを考え参考にする為だ。働きすぎだろ俺。
そんな中、何だか人だかりの多い所があった。
お、なんだなんだ?何か掲示板に貼ってある。
なになに。えっと?
告示
アドルシークの静の森の遺跡ついての調査報告。
静の森は、ゴーレムの開放性ダンジョンとなっていた。
そのゴーレムは幾千体にも及び、調査隊の進行を困難とさせ、先遣隊が森のゴーレムを排除し、本隊が遺跡の調査をする事が出来た。
遺跡には、たくさんの罠があったが、最奥には貴重な歴史的遺産と財宝があった。
見つけたのは、前国王のジゼルと、魔法師団所属のセーラン、アドルシーク領のアズン、リーフィス…。
ブッー!
吹き出してしまった!
おい国王!実名出してるじゃないか!
ん?えっと、なになに?
…その後、調査中に盗賊が出て来て、調査隊の少ない人数で、盗賊を返り討ちし壊滅に追い込んだ。その数80名、逆に盗賊の根城を襲撃し、囚われた人質20名もリーフィスが助け出した。
ちょっと、この書き方だと、俺が一番活躍しているように見えるんだが…。まあ、貴族の名前は出てないから、そのうちみんな忘れるだろう…。
「ちょいと、官警のお兄さん。この掲示板の内容をもっと詳しく教えてくださいよ。」
どこから来たのかわからない衣装を着たお姉さんが、おっさんに話しかけてる。
「詳しくは知らん、王城に問い合わせしろ。」
「出来る訳無いだろう。平民に…。」
「じゃあ、アドルシークまで行くんだな。」
「そんな遠くには行けないよ。女の足で、もっと詳しく教えてくれる人は居ないのかい?」
「知らないなぁ。自分で探しな…。」
官警のおじさんは、つれない態度でお姉さんをあしらった。
おっと、手には楽器を持っている。という事はあの風体は、吟遊詩人さんなのかな。ちょうどいい、アズン伯父さんとの約束をここで果たしておこう。肩を落として掲示板から離れた。良し!声を掛けて、俺の持っている情報を売ろう。
「ちょっとそこの綺麗なお姉さん。」
近くの女性が一斉にこちらを見た。ごめんなさい。その変な衣装の方に声を掛けたんです。
「…ん。なんだい。ぼーや。あたしかい?」
「あ、はい。そうなんです。皆さん綺麗な方ばかりなので、お声掛けるのにいい表現が他に思いつかなくて。皆様、ご迷惑をお掛けします。」
なぜか、俺は条件反射で周りの人に謝っていた。最初間違って振り向いた女の人は、チッ、とか、睨んできていたが、あとフォローで事なきを得たようだ…。あぶない、あぶない。ここでも家訓は活きていた!ありがとう父上。
『いいか、女性を…女性を怒らせてはならな…い……。』アーッ
なんだろう、父上がボコボコにされる幻視を見た気がした。
……そういえば、久しぶりに子供扱いされたな。
「さっきの掲示板の情報を知っているんだけど、この情報いくらで買う?」
「……本当かい?その情報が正しいってどうやって証明する?」
「それは、お姉さんの仕事さ。いくつかの情報を集めて、真偽を判断するんでしょ?」
「ふっ、そうだね。」
この吟遊詩人さん、年は二十代前半かな?妙に達観している気がする。警戒を解いてチカラを抜いたようだ。
「それで、さっきの話は本当なのかい?」
吟遊詩人さんは、腰に手をあてて、も一度同じことを聞かれたけど、ここは子供らしく返事をしておこう。
「うん、アドルシークに行った調査部隊の人から直接にね。どうする?買う、買わない?」
「う~ん。……いくらだい?」
腕を組んで悩んでいるみたいだ?金銭では難しいんだろうな……
「じゃあ、お姉さんが知ってる他の国の話しを教えてよ。それを対価にしよう。最近の話がいいな。隣国の…とかいいかな?」
「なるほど…わかった。路銀の手持ちは心許ないからね。情報で済むなら安いもんさ。
隣国の話ね…。どこから語るか、最近きな臭くなって来ているからね。それが好きな奴は、近くに見に行っているし、そうで無い者は安全な所に来ている。ちょっと前までの話で良ければ話してあげるよ。」
吟遊詩人さんの話しを要約すると、吟遊詩人さん、エルミンさんという。セーラン姉と同い年の人だった。諸国を巡り、偉人や武人。悲しい話や楽しい話しを集めていた。近隣国のマーノルーナ王国で、隣の帝国にちょっかいを出されている状況を語っていたら、捕まりそうになった領地が有った。
その領地の貴族は、マーノルーナ王国内での貴族から帝国に寝返った貴族ではないか?
また、そんな状況だから、どこの領地が安全か分からなくなった為、隣の隣、アヴァルート王国に避難して来たそう。
マーノルーナへ内部崩壊を促す様な揺さ振りを帝国が懸けていることと、マーノルーナ王族の基盤が弱くなり、貴族がバラバラになっていて、戦が始まったら、よほどのことがない限りは勝てないのでは、との予想。中でも容姿端麗な8歳のマーノルーナ第四王女を人質に出して、時間稼ぎを進言する貴族や、領地の割譲をして延命を測ろうとする意見もあるとか無いとか…。
「そうですか?それが真実なら、もはや、一刻の猶予もない状況ですね。」
「そうだろうねぇ。あたしたちには関係ない話だが、向こうさんの貴族は死活問題だからね。まあ、民がそれで豊かになるならいいが、どうもそうじゃないらしいしね……。それじゃ、坊やの静の森の遺跡の情報を教えてくれよ。」
「良いですよ。ちょっと長くなりますが…。」
俺は、元国王ジゼルと、アズン伯父さん、セーラン姉の活躍を面白おかしく話した。
「ほほう、それは面白いね。早速使わせてもらうよ。ところで、リーフィスと人質の関係が出て来ないけど…?」
「あっ、…ごめん。その情報は入って無いんだ。」
ひゅひゅ~と口笛を吹いてごまかした。
「ふーん。まあそこは、他から情報を集めるよ。また何か面白い話があったら、教えなよ。ところで、坊やの名前は?」
「え、えっと、デービス、友達にはディースと呼ばれてるんだ。」
「そうかい。アドルシーク出身かい。」
「うん。エルミンさんは、しばらく王都にいるの?」
「ああ、今仕入れた話でとりあえずは食い扶持が稼げるから、暫くして他領を廻ると思うけどね。」
「そうなんだ。じゃあ、アドルシークに来たら、猫のおひげ亭に泊まると良いよ。安いし綺麗だから。」
「そうか。覚えておくよ。ありがとうな。デ、リース坊や。」
また坊や扱いをされた。まあ見かけはそうか。
ぐうぅ〜
さあいくぞ!12時の合図だ!
誤字脱字言い回しのアドバイスお待ちしています。
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宜しくお願いいたします。
つぎも王都編です。




