第61話 調査日前日
アップですが、不定期のぺースになります。
時々修正もしています。
トラニカの朝は日差しが柔らかく清々しい。森に近いせいか空気もおいしく感じられる。リースは、失われた睡眠時間を取ろうとベットにもぐりこんだが、ゼライに受けたトラウマか、早朝から鍛錬をしていた。習慣とは呪いにも似た恐ろしさを秘める。まるでセットしたタイマーのようにノルマをこなしていて、気付いた時には終わっていた。
明け方には宿舎を出て想定の距離を走りこんでいた。それは町の端から端まで行く距離となった。
時は「草薙の風」がギルドの執務室で報告をしていた時間と同じ頃。
「あっ、いたいた、リース様、どこに行っていたんですか?」
ノンカがプンスカ怒っている。そして聞き難い事をストレートに聞いてきた。
「いや、朝の鍛錬だよ。いつもしてるでしょ。」
「どこまで行ってるんです?いっぱい探しましたよ!もう!」
「そうは言っても、ノンカさんは探したのは、宿屋の周りだけでしょ。
ローガのせいで、村の端まで行って来たわ!」
神獣ローガは、走るの大好き朝が大好きでリースと追いかけっこをしていた。
「コホン。ご飯が出来てますよー。」
「わーい。ご飯ご飯。(棒)」
街はずれで神獣達との鍛錬に明け暮れたリースは、睡眠不足か考えるのをやめていた。
◇◇◇
「リース様、それで今日はどちらへ?」
ファティマさんが今日のスケジュールを尋ねてきた。
「トラニカの町を見学しようと思って。」
「では、お供します。」
ノンカが間髪入れずに申し入れた。
「えっ、いいよ、明日の準備が有るんでしょう?」
「そうですよ!準備がありますよ!」
「えっ、まさか。」
既に昨日ほぼ準備したのか?とノンカがもしかして出来た子なのか?と一瞬思ったが、
「リース様も手伝うに決まっているじゃないですか!
ムフフ。1人で逃げようなんて思わないでくださいねぇ〜。」
「(この〜、ノンカめぇ〜!
一応領主の息子さんだぞ!下働きさせる気か!)ハハハハハ。冗談でしょ。」
「本気ですよ。それが終わったら、美味しそうなご飯屋さんを見つけたので、後で行きましょ!リース様!」
「えっ、わざわざ探して来てくれたの。………感謝。」
リースはノンカをひどく誤解していた、日頃の仕打ちから目が曇っていた!ちゃんとノンカを評価せず、一方的な意見を通そうとしていた自分が恥ずかしい!ノンカがリースの事を考えて、ご褒美を用意していた事に目を潤ませてノンカを見ると、
「昨日は他のお店に入ったから、食べれなくて。あとお土産買って持ち合わせなくて。」
「俺はノンカのお財布か!(パパか!)」
やはり、ノンカはノンカだった。
「まあまあ、せっかくですから楽しみましょう。」
(ファティマさんはやっぱりファティマさんや)と思ったリースだった。
◇◇◇
「ふぁ~ふ。結局あまり寝れてないな~。」
「どうしたんですか?リース様、昨日は寝れなかったんですか?」
ファティマが心配そうに聞いてくる。さすが元騎士、心遣いが違うね。とリースは思った。
「たぶん枕が変わって寝れなかったんですよ!やっぱりお子ちゃまですね~。ぷぷぷ」
「(くぉの~ノンカめー!今度激辛飯を試食させてやる‼)ハハハ。ちょっと心配事があってね。」
「相談あれば、おっしゃってくださいね。」
「さすファテ」さんやと思ったリースだった。
「どーせ幽霊が出るかもとかじゃないですか?アハハ!」
「(くぉの~ノンカめー!100倍激辛飯にしてやる‼)ハハハ。違うよ~。」
「ノンカさんこそ、おねしょなんてしなかったですか~。ククク。」
「ハハハ、お子様じゃあるまいし、しませんよ~。」
「……。」
「ぐぬぬ…」vs「ぐぬぬ…」
そんなこんなでリースは、ファティマ、ノンカをお供にして、トラニカの町を巡り、問題点があれば、メモを取っていく。
「女将さん。ここの名物料理はなんだい?」
ノンカがお勧めのお店の女性店主に声を掛ける。
「ああ、麦飯と塩魚のスープ煮だよ。ここの産業は農業と湖の漁業と僅かな肉さ。肝心な農業も時々不作になるから、トラニカの町はなかなか発展しないんだよ。」
「ふーん。なるほど。
それならやはり、輪栽式農業と雷魔法だな。
これで、食糧の増産、家畜の生産、収入の増収が見込める。
それに、もっと効率よく開拓出来ないのかな。平野は広いのに畑が少ない。」
ポンポンポンポンポン、チーン。
「そうか、なるほど、ゴーレムか。」
「やってみる価値あるな。」
何かを思いついたリースは、何かを忘れている事に気が付いていなかった。
◇◇◇
「草薙の風」達がトラニカの町に帰って来た夜。明日は、リース達調査団が静の森に行くことになるので、ゴーレムの件もあり十分な準備が進められた。
「おーい、アデルゥ。」
お気に入りの飲食店「熊のお腹亭」に向かう「草薙の風」リーダーのアデル(魔法剣士)に、ゼント(戦士)が声を掛ける。
「お、ゼントか、体の調子はどうだ?」
「おう!もうすっかりよ。アデル、お前はしっかり休めたか?」
「ああ、さっきまで寝てた。」
「そうか、疲れは取れたか?」
「いや、まだまだ残っているが、腹が減るのは関係ないからな?
どうせなら、ウマイところで食いたいだろう。」
「これでギルマスが奢ってくれるなら嬉しいんだがなー。」
ゼントは歩きながら腕を組み唸っていた。
「ないない。
そもそもギルマスは、食い物についても筋肉にしか興味ないから、酒飲まないし、人に奢るってしないだろう!」
そういった、アデルの首を筋肉の鎧でアームロックされる。
ガシッ‼
「がし?……わぁあ!ギルマス!」
「なんだって?オレがけち臭い男だと?いい度胸しているな?」
「い、いや、なんのことですか?」
「いいだろう!奢ってやるよ?
その変わり、面白いものを見せてくれるんだろーな。」
「へ、…………な、何をデスカ?」
「ルトナに告るんだろー?」
「なぜそれを!」
「…ギルドじゃ有名だが?」
「はっ、キッシュか?」
「ククク、聞きたいか?」
「な、なにをデスカ?」
「オッズだよ。オッズ。3:7だそうだ。
オレはもちろん3、お前も3だ」
「な、な、な、何が?」
「ルトナに告る。
ちなみに、7がヘタレる」
「アデルが、ルトナに告る。オレは儲かる。
その金で「草薙の風」に奢れるというわけだ!
頼んだぞ!アデル!」
「ち、ちなみヘタレた場合は?」
「クエストから割引いとく。アデルの依頼料からだけな。
ガハハハハ」
アデルには知らされていなかったが、実は、もう一つ賭けが起こっていた。
ルトナがアデルを断るに8、受け入れるに2である。
ベラドランは断るに、副ギルドマスターのボルニーは受け入れるに賭けていた。
◇◇◇
ファティマとノンカの調査団用食料の準備を手伝わされたリースは、やっと宿舎に戻った。
「フィーヴァ、テトラ深夜また、遺跡に行くぞ!」
「どうしたんですか?」
「どうしたんだ?」
「遺跡でゴーレムを作る」
「どんな?」
「ゴーレム農機さ!」
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ポンポンポンポンポン、チーン。
わかる人には、わかる。ハズ




