第56話 先遣隊
アップですが、遅くなり申し訳ございません。
3日に一回くらいの不定期なペースで頑張ります。
時々修正もしています。
トラニカの町の郊外で、リースとフィーヴァとテトラが物造りをして遊んでいた頃。静の森の中央付近では、あるパーティが休息をとっていた。
「くそっ、どうなってやがる⁈」
頭に小さな鉢巻をした男は、剣を地面に刺し、大きな岩に持たれながら悪態をつく。
「つい先日までは、Dランクパーティが余裕で入れた森なのに…。」
いくらかの輝きが失われた法珠を抱く杖を持つ少女がつぶやく。
「どうしよう。もう食料もそんなに持たないよ?」
小さな杖と弓を持つ少女が、荷物を見て仲間に報告する。
「…やっぱり、罠にはまったみたいだな?」
ターバンを巻いた小柄な男は、手持ちのナイフを空中に上げたり回したりして落ち着かない雰囲気を醸し出していた。
「とりあえず、どうやってあいつらから抜け出せるか考えよう!」
背中に大剣をしょって焚火の火を見ている男が言った。
この者たちは、トラニカの町のBランクパーティ「草薙の風」
ジゼルたちが調査に来る前に静の森に異常がないかを下見する先遣隊として、トラニカの町のギルドマスターベラドランが手配したパーティだった。盗賊・魔法剣士・魔法師・戦士・治癒師兼弓師のこの地域としてはバランスのいいパーティで、ベラドランの信頼が最も厚かった。そのパーティが指定期日を何日も過ぎたのは、想定外の敵に遭遇したからである。
いつまでも帰らない「草薙の風」を心配したギルドが捜索隊を編成し、そのパーティに準じるCランクパーティ2組を合同で送ったのだった。しかし、その2つの合同パーティも静の森で遭難するのであった。
◇◇◇
時刻は夕方の6時を迎えようとしていた。
トラニカの町に到着した最初の日の夕食後、ともに来ていた神獣たちにリースが語り掛ける。
「今回お前たちは留守番だ。」
「キキィー(なんで?)」
「一緒に行くとさすがにみんなに気付かれるからな。ごめんな?明後日にはいっぱい遊んであげるから、今日は待っていてくれ。頼むぞローガ達」
「クウ~ン(わかった。)」
「むっ。」
「どうした。フィーヴァ?」
「森に佇むゴーレムが一斉に動き出したな。」
「分かるのか?」
「ああ、無機物の魔物は我が領域だからな。位置も大体わかる。
統率が乱れているところに何かあるな。」
「それはどこだ?」
「二ヶ所あるな。森の中央付近だが、やや手前に少数。奥に多数だな。」
「…そうか、だが今はまずい。もうしばらくみんなが寝静まったら行動しよう。」
夜11時を過ぎるとだいたいみんな寝静まっていた。この世界の夜は早い。9時には寝所に入り、10時には寝静まっている。
リースは宿泊する宿の窓を開け、
「よし。じゃあ、フィーヴァ、テトラ、そろそろ行こうか?」
「ああ」「はーい」
「じゃあ、マンタ。頼むよ。」
リースの足元が光り、エイ型の飛行魔獣が現れる。リースはそのまま飛び乗り一路静の森に出発した。静の森までは馬車で1日程度だが、空飛ぶエイのマンタならわずか数十分と掛からない。
「ここが静の森だな。誰か人がいないか探そう。フィーヴァ、ゴーレムの動きで何かわかるか?」
「うむ。先ほどと場所が変わっていないところと、ややこちらに近いところがあるな。」
「わかった。こちらに近いところに先に行こう。じゃあ、お昼に作ったあれを出すか。テトラ何か見つけたら教えてくれ。」
「リース様、私の術で見つけましょうか?」
「えっ、見つけられるの?」
「はい!パッとこの辺り一面明るくしてですが。」
「それはダメ!超~目立つから。目立つの禁止!」
「は~い。頑張っちゃうのにな~。
◇◇◇
時は少し遡る。
トラニカの町のギルド所属Bランクパーティ「草薙の風」
盗賊キッシュ・魔法剣士アデル・魔法師ティー・戦士ゼント・治癒師兼弓師ルトナが野営をしていた。
「キッシュ、アイツらの事で何か分かったか?」
草薙の風リーダーアデル。職業:魔法剣士がバンダナをした小柄の男に話しかける。
「推測でいいならな。」
草薙の風所属キッシュ、職業:盗賊、観察してきたことからの推論を述べる。
「構わない。話せ。」
「ここのゴーレムは種類によって、活動時間が異なる。また、動く範囲、動く動作も決まっている。」
「今まで何度か、助かったのはそのせいか。」
「ああ。ただ、時間が経てば経つほど、難易度が高くなる。
計算では今から3時間後、ゴーレムが一斉に動き出す。即時撤退するか?それとも休息を取って撤退戦をするか?どうする?リーダー」
リーダーのアデルは、今までの戦闘や食料・ポーションの備蓄を素早く計算して考える。
「(ここまでの戦闘で皆んな疲労している。即時撤退したいところだが、ここからだと恐らく半日は掛かる。次の停止周期まで体力は持たない。恐らくここが生死の分かれ目だ。)……キッシュ、方角は分かるか?」
「ああ、方向感覚を狂わす仕掛けがあるみたいだが、今日は星が出ている。あの赤い星の方角がトラニカの町だ。」
「…良し!皆んな。危険だが、今から撤退する。3時間ほどゴーレムは停止しているようだ。だが、我々は、この静の森は最奥まで追い込まれてしまった。このままぶっ通しで行っても6時間は掛かる。つまり、ゴーレムが動き出してから、少なくとも3時間以上戦闘をする必要がある。しかも、外側に行くほどここのゴーレムは強い。」
アデルは一人一人の目を見ながら語った。
「…このまま、救援を待つと言う選択もある。しかし、食料はあと僅かだ。また、ゴーレムの活動時間もまた延びている。
オレは、今ここで撤退を選択する。オレの仲間はこんな事では死なない。危険だが、オレの仲間は強い!オレに着いて来てくれるか?」
「ふふふ。アデルよ愚問だな。」
「リーダーに任せるよ。」
「置いて行かれても困るし。」
「アデル、さっさと行きましょう。」
「良し!出発だ!」
◇◇◇
リースが静の森についてから昼間に製作した3体を出す。
「とりあえず。手前から助けるか。おっと、その前に変装しておこう。」
2メートル50の銀の鎧を着ると言うより、乗り込み、手と足は半自動で動くようになっていた。
「ふふん。子供の頃を思い出すなぁ。」
「リース様は、まだ子供では?」
テトラが思ったことを口に出す。
「精神的にと言う事だろう。」
フィーヴァが冷静に状況を語る
「ゴホン。良しいくぞー!」
リースは銀の鎧を着て(乗り込んで)、白い全身金属の造形美あふれるゴーレムと、同じく黒い全身金属の造形美のゴーレムを従えて、小さなざわめきがあるゴーレムの集団の方に向かっていった。
◇◇◇
ドガン‼
「くっ、大丈夫か!」
巨大なゴーレムが繰り出す剣戟を躱した戦士ゼントをアデルが労う。
「ああ、後ろは任せろ!」
戦士ゼントは肩で息をしながらアデルに返事をする。
「ルトナ、リーダーとティーの回復を頼む!」
盗賊スキルのキッシュは、後ろで援護する治癒師のルトナにゴーレムの一撃を受けたアデルと、魔力を使いすぎた魔術師のティーに回復の依頼をする。
「わかった。…っ。」
シュゥー
「もう、魔力が…」
ルトナもここまで過多に治癒術を施し、魔力を消費していた。
「ポ、ポーションを… はっ、ゼントっ!後ろ⁉」
バキン‼
ガッハァッ!
「ゼントっー⁉」
3体のゴーレムが一度に襲い掛かり、そのうちの一体の拳が戦士ゼントの脇腹を打ち付ける。
「もう、ダメだ!」
盗賊のキッシュは思わず言葉を漏らす。
バンッ‼
「諦めるなぁー!キッシュ
諦めるなっ!諦めるなぁーっ!やれる。俺たちはやれる!やれるんだぁー!」
ゼントに襲い掛かってきていたゴーレムに反転して戻って来たアデルが立ち向かう。
ガン!
「まだだ!」
ガガン!
「まだだッ!」
ガキンッ!
「俺はまだ、まだルトナに告ってもねぇー‼」
「……。」
キッシュはアデルが何を言ったのか一瞬わからなかった。
「あっ、アデル…」
ゼントの治療をしゃがんでしていたルトナは、頬を染めてアデルを仰ぎ見る。
「アッハッハッハ。ばっかじゃないの!アデル。」
ポーションを飲み切った魔術師のティーは、前方からくるゴーレムの小さな集団に爆裂の魔法を放った。
ボッガン!
「ハハハハハ、イテテ。アデル、やっぱりお前に付いて来て正解だっ!」
ルトナの治療を受け
何とか立ち直った戦士ゼントが痛めた脇腹を抑えながら笑う。
「くくく、なんだよリーダーその気合の入れ方は?力が抜けちまうよ?」
盗賊のキッシュは、緊迫感のないセリフを聞いてリラックスが出来た。
「うるさい!
いいか!みんな‼帰るんだ!
トラニカの町に帰るんだ!皆んなで帰って、ギルマスに奢ってもらってエールを飲み!俺はルトナに告るんだ!」
「はっ⁈」
「アデルっ!危ない‼」
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