第5話 原因不明
リースはもうすぐ5歳になるある日のこと。
「リース坊っちゃま、今日はびっくり爺さん以外の本を読みますよ。」
「ハーイ」
リースとメイド長のレナは、リースの部屋で何冊かの本を読むことが日課となっていた。
「ね、この絵本は本当にあった話し?」
「はい。そうですよ、昔々の大昔。まだこの国が五つの村に分かれていた時のお話です。」
『むかし…、神と聖魔精霊が地上の民に恵みを分け与えていた時代…。地上の民も集落毎に恵みのチカラを分け隔てなく… 』
{そのチカラと聖魔の物語}
{あのチカラと精霊の物語}
{このチカラと魔獣の物語}
{どのチカラと妖精の物語}
{かのチカラと大罪の物語}
{えのチカラと画家の物語}
{きのチカラと忍者の物語}
{くのチカラと川柳の物語}
{けのチカラと薬師の物語}
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◇◇◇
時は数日前に遡る。
「せっ、先生!リースは、どんな状態なの⁈
もう、3日も熱を出して眠ったまま、呼吸も荒く、汗は泉の様に湧き出ています!
ベルン先生‼」
リースの生みの母レフィーナは、セファイティン家侍従医ベルンに詰め寄る。
「 … 。 」
侍従医ベルンは、原因不明の高熱に対処療法でしか対応できない自分を責めた。
「レフィーナ。落ち着け、ベルン先生も全力を尽くしてくれている。今しばらくお任せしてみよう。」
リースの父、東の辺境伯イズン・セファイティンは、レフィーナの肩に手を掛け語り掛ける。
「でも、あなた!…っ、わかりました。
先生、申し訳ありません。取り乱して…、リースの事、宜しくお願い致します。」
「…はい。お任せを。セファイティン家侍従医ベルン身命に誓って。
この原因不明の病気にあたり、リース坊っちゃまの回復に努めます!」
「頼む!」
イズンに肩を抱かれ、力なく歩むレフィーナ夫人を見つめながらベルンは原因不明の病気に立ち向かう事を誓ったのだった。
その時リースは、前世の体験してきた事を夢見ていた…。