第48話 ジゼルの帰還
50話まで掲載後、10日間くらい修正したりするので休みます。
アヴァルート王国ライディア王は、アドルシーク領に調べものに行っていた先王ジゼルの帰還を待っていた。そこへジゼルが帰ってきて
「父上、お待ちして…」
「お爺さま‼」
アリスティアは、先王ジゼルに抱き着いた。
「お〜!アリス⁉元気になって‼」
「お爺さまありがとう!遠くまで、調べに行ってくれて!」
ジゼルのおなかに顔をうずめる。
「いやいや、わしは何もしておらん!ここに居る臣下の者達が頑張ったからじゃ!」
「ううん!お爺さまが、男の子を呼んでくれたからだよ!」
「…っ!アリス。」
「なに?」
「おじいちゃん、パパとお話しをしないといけないんじゃ。後で、また話しを聞かせてもらっても良いか?」
「うん。わかった!お爺さまも後で教えてね!」
「お〜お?わかったぞ。後でな?」
◇◇◇
場所をライディアの私室に移り、事の経緯を確認することとなった。
「…ライディア、アリスティアの発言はどう言う事じゃ?」
「それにはまず、父上のアドルシークでの動向を教えて頂きたく思います。」
「うん?わしのか?」
「…。」
ライディアは目で先王のジゼルに発言を促す。
「わかった。
わしは、アリスが倒れて、呪いの疑いが有ると悟っていたのは、知っておるな?」
「はい。」
「昔、アズンに聞いた事があった。アズン達パーティの遺跡を巡る中での話しだ。その時は、たまたまパーティに呪術に知己のある魔術師がおったから、対処出来たと聞いておる。
その話を思い出し、アズンが居るアドルシークに向かったのじゃが、アリスがそこまで持つ確証はなかった。わしの見立てで10日か、14日だった。
わしは、僅かな希望を抱いて、アドルシークに向かった。
お前達に行先しか伝えて無かったのは、わしの見立てが合っているとは限らんし、無駄に混乱を招くより、優秀な人材が居る臣下の者に賭けたのじゃ。」
「そうでしたか。」
「それで、急ぎアドルシークに向かい、通常の半分の行程で着いたは良いが、アズンが不在での。あやつが帰って来るのをイズンの屋敷で待っておった。
アズンが帰って来たのは、アリスが倒れて10日。もう、その時点で、半ば諦めておった。
その後すぐアズンと共に、マティバハールの孫へ逢いに行ったら、近くにまで来ておった。まるで来ることがわかっていたかのように。
そしてそのアベルティの娘サラバールが、こう言ったのだ。
「今度、ジゼル様のお孫さんと遊びたいです!もう元気になってますよ!私達の…」
「なんでもないの!」
途中、母親のアルベティに口を塞がれたが、アルベティに聞くと、
「ふふふ、なんでもないの。
それより、王都に帰ってあげなさい。お孫さんが待っているわよ?」
そう言うとアベルティとサラバールは、家に帰って行った。
わしは、程良く断られたかとも思ったが、マティバハールの孫だし、王都に帰れとの言もある。
僅かな望みで、イズンの屋敷に帰ると、鳥便でアリスの無事を知ったのじゃ。
それがわかったら安心しての、体があちこちガタが来て、イズンの屋敷で、温泉に浸かってゆっくりして帰って来たと言うわけじゃ。
わしのことは、以上になる。」
「そうですか。」
「それを聞いて、どう言う事か教えてくれるか?」
「はい。
正直、アリスの病気・呪いの原因は、罹っている間には突き止められませんでした。治癒も魔術師の原因調査も遅々と進まず、治癒師の見立ては14日でした。
10日も経った頃には、皆の者も諦めの表情が色濃くなっていました。
しかし11日目の朝、何事も無かったようにアリスは目覚めたのです。」
「…そうか。」
「対外的には。」
「何?」
「実はその前日、不夜番を含めアリスの身の回りの者が、全て眠りに入った時があったのです。
その時は、各々が、連日の疲れでうとうとしてしまったと、皆思っていたようです。」
「それぞれが居眠りをしたと…、うむ。それで…。」
「アリスに、次の日つまり目覚めた日ですが、以降聞き取り調査をしました。」
「うむ。」
「アリスは、呪いに罹ってから、我々の行動を見ていて、父上がアドルシークに行く事を知り、ついて行ったそうです!」
「なんじゃと‼」
ジゼルは椅子から立ち上がり驚愕した。
アリスが、昏睡した後にジゼルはアドルシークを目指すことが決まった為、アリスが知る事は無かったはずとジゼルは思った。
「さらに、父上が会った男の子と一緒に王都に戻り、なんらかの術を使い、朝目覚めたそうです。」
「リース…。」
「その男の子は、スカレイに乗り、異形の精霊と大きな鳥を従えて、来たそうです。その時は、なんの形跡もありませんでしたが、朝、アリスの部屋のテラスにこれが。」
執務室の机から、一つの大きな羽を出す。
「これは?」
「魔務大臣ヴォーによると、これで風魔法を放つと、5倍は威力が増すとの事。」
「つまり、この鳥と何か異形の精霊とリースが、アリスを救ったと言う事か?」
「証拠はありません。」
「父上が少年と会ったその日に来たそうです。
次の日は。その少年は、家に居ましたか?」
「ああ、わしがアズンと共に出た日の朝はおったぞ。」
「どのような様子で?」
「特段変わりはないな。ただ、わしが王都に戻る時、快気祝いとして、こちらを預かった。」
ゴトッ
「…これはなんです?こんな彩の石は見たことがない。」
「身体を洗う時に汚れを落とす石鹸と言っておったぞ。食べられないから、注意するように言われたわ!わはは。」
「…っ、父上、これは何処から仕入れたのでしょうか?」
「うん?アドルシークで作ったそうじゃぞ。これで商売するらしい。
あの小僧はな。将来は、商いしながら、旅をしたいんじゃと。」
「それは許されませんな。」
「何⁈それはなぜじゃ⁉」
「アリスの婿になってもらうからです。」
「…つ、本気か?」
「はい。すでにイズンには伝えております。ワイバーンをテイムした時に…。その時は、アリスが見初めたらと伝えましたが。」
「…辺境伯の息子と言えど、四男だぞ。
あの家の子どもらは、皆優秀と聞いておる。つまり家督は継げん。爵位も成人になってからだ。今のままでは身分差がありすぎる。」
「父上。」
「なんじゃ。」
「私は、あの者が勇者ではないかと疑っています…。」
「何?それはあり得ん!まだ子供だぞ!それに我が国には、勇者が生まれない!1000年も前に崩壊した神国の“神代のカケラ”が一つとして無い我が国では、勇者が生まれる事は決してない‼」
「そうですね。穢れの詩、来るべき時のため、我が国は優秀な人材を集めています。勇者が生まれる国と事を構える事もあるでしょう。
これまで、祖先が彼の国達と互角に戦って来た騎士達、魔術師達、臣下達を我々は守っていかないといけません。
イズンの息子、リースは勇者達が出でる時と同じ世代。
既に何かが起こっていると考えます。このまま在野に埋もれさすことはできません。ですから、自由に旅してもらっては困ります。
この国にしっかりとした絆を持たせる為にアリスの婿とするように仕向けます。」
「そうか。」
「反対はされないので?」
「わしは既に、国はお前に任せてある。そして、アリスはお前の娘だ。それに、あの小僧は面白い。あやつが次に何をするか楽しみにしていよう。」
◇◇◇
話の済んだジゼルは、アリスたちがゆっくりしている部屋を訪ね、お土産を渡し、土産話をすることにした。
「アリス。これは土産じゃ。風呂で使うと良い。」
「わー!ありがとう!お爺さま。凄い綺麗。」
「綺麗ですね。石鹸ですか?」
「なんじゃクリス。お前も居ったのか?」
「ひどいですお爺さま。セリスも居ますよ。」
「わはは、すまんすまん。学園も頑張っておるそうじゃな?」
「はい。お友達がとっても気の合う方達で、毎日楽しいです!」
「そうか、良かった良かった。」
「それにしても、綺麗な石鹸ですね。今までの石鹸は茶色塊りでしたが…。」
「そうなのか?わしにはよくわからんが。」
「そうですよ?アリス、せっかくだから、一緒にお風呂に入りましょう!」
「はい。クリスお姉様。セリスお姉様。」
石鹸に興味が移った3姉妹は、ジゼルを部屋に残し、風呂に行ってしまった。
「…。」
◇◇◇
「あぅ、お爺様に男の子の事を聞くのを忘れてた!」
「えっ?誰の事?」
「名前はわかんない。アドルシークにいる子。」
「どんな男の子なの?」
「不思議。ずっと昔から知っているような?知らないような?」
「ふ~ん、明日にでも教えてもらいなさい。」
「はい、クリス姉様」
「さあ、お風呂に入りましょう。」
「待ってください。セリス姉様!」
◇◇◇
その夜、王の寝室では、
「あなた。あの石鹸はどうされたのですか?」
「ん?あれは、イズン卿のところが作ったそうだが?父上が持って帰ったらしい。アリスの快気祝いにと。」
「あの石鹸をすぐに王都で使えるようにしてください。すぐにです。」
「な、なんじゃ、お前がそんな事を言うのは珍しいな。」
「あの石鹸を使うと、今までの石鹸はもう使えません。無くなる前に、仕入れてください。」
「そんなにか。」
◇◇◇
「陛下、分かりました。石鹸ですが、全て他国からの輸入の品となっております。勇者のいた国でのみ伝わる製法で作られている関係で、我が国では作れません。石鹸がどうかされましたか?」
「これを見ろ。」
ゴトッ
「これは素晴らしい造形ですね。まさか?」
「イズンのところで作った石鹸だ。」
「なんと。この様な彩りの物が石鹸ですと。」
「セアトが驚くとは珍しいな。」
「我が国は、石鹸の製法は知らず、勇者達が居た世界の高度な品を他国からの輸入しております。」
「むっ。」
「その品より、これは遥かに洗練された品です。」
「…。」
「つまり、我が国で偶然作れたのか、そうでないのか。
または、輸出先の品を我が国には意図的に劣化した物しか販売していないのか、」
「ふむ。
ますます謎だ。神代のカケラがが無い限り、勇者ではない。偶然なのか、単に優秀な子どもなのか?」
「勇者が子どもでこの世界に来たと言う話は聞いた事がありませんので、偶然な可能性が高いですが、何かしらの情報を得て製法しております。しかし、現時点ではさしたる重要な事ではなく、我が国で石鹸の製法が確立された事の方が重要です。他国にはまだ悟られない様、輸入を継続し、製造、販売が確立したら、輸出に切り替えた方が宜しいでしょう。」
「うむ。そうだな。文官を呼べ、
イズンに使者を送り、製法の秘匿と王都への必要量を送る様に伝えよ。」
「はい。かしこまりました。」
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7月の末までに表現が荒いところと、説明が足らないところの修正を入れると思います。
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