第46話 解除の裏
50話まで掲載後、10日間くらい修正したりするので休みます。
王城の第三王女アリスティア・キュエル・アヴァルートは、ウリットバーンの策略により、呪術の道具に罹り昏睡状態となっていた。それをリースが解除した次の朝。アリスティアは、長い眠りから目覚めた。
「姫様が、目を覚まされましたぁ~‼」
◇◇◇
「なんと!誠か!」
「アリス!」「「アリスちゃん!」」「…アリス」「アリスティア‼」
「お父様?お母様?どうしたのです?苦しいですよ?…お姉様達まで?」
アリスティアの母と姉たちは、妹のアリスティアに抱き着いた。
「アリスは、お前は呪いの呪具で眠らされていたのだ。」
「えっ?そうだったんですか?」
「ああ、体は大丈夫か?どこか変なところはあるか?」
「いえ、ありません‼…むしろ調子が良いです‼」
クゥ~
「お腹はすいてるみたいね。」「アリスの食事の準備を」「あははは。」
「アリス、後ほど治癒師と魔務卿のヴォーが、事の経緯を聞き取り調査に来る。ゆっくりでいい、思い出したことに応えるんだ。」
「はい。わかりました。」
バサササッ
「鳥さん?…あの鳥さん、やっぱり本当だった…?」
◇◇◇
時はその日の夕方に差し掛かろうとする頃。
王の執務室に魔務大臣ヴォーが資料を持ち尋ねてきた。
「陛下、ご報告します。」
「うむ、ヴォー、何か分かったのか?」
魔務大臣ヴォーは、アヴァルート王国の魔術全般の調査・管理を担っている。
「はい、まだご内密にお願い致します。…セアト様」
「わかった。皆の者下がれ。」
宰相セアトは、執務室に控える近衛騎士・侍女達を退席させた。
「まずは、此度のアリスティア様のご快復誠に喜ばしく存じます。」
「うむ、堅苦しい事は抜きで良い。本題に入れ。」
「はい。では、此度の呪具によるアリスティア様の全貌が大まかにわかりました。とはいえ、私にわかるのは仕組みであって、経緯ではありません。」
「うむ、それで?」
「はい、まず、呪具ですが、マーノルーナの一貴族からの献上品ですが、生産国はおそらくウリットバーンです。」
「はやりそうか。」
「はい。という事は陛下も察してはいらっしゃったと?」
「ああ、此度の件で、マーノルーナから仕掛けてくる意味がないしな。我が国の混乱とマーノルーナとの分断を図る策謀と簡単に読める。」
「さすがにあらせられます。
そして、その呪具の効能は、箱を開けた対象者の魔力を乱し、拡散する術式が組み込まれているようです。
ですが、効率が悪い術式だった様で、仮に本来の術であった場合は、三日も放置すれば亡くなります。」
「…っ! つまり、今回は稚拙ゆえに時間が掛かり助かったという事か?」
「半分ご正解です。もしくは、わざと時間が掛かるように仕向けたかという事もありえますが。そのあたりは政治的駆け引きになるので私からは何とも…。あと、この術式には、止める術式が絶対に必要です。」
「…。 なんだと⁈」
「…そうです。ご察しの通り、誰かが止めないと、アリスティア様のお命はなかったという事です。」
「誰が止めたのだ?ヴォー!」
「それにつきましては、現場にいたものでは不可能だったことをまず付け加えさせてください。」
「なに?」
「そこで、治癒師とともにアリスティア様に、呪術に罹った後の事を伺いました。
アリスティア様は、 …夢を見られていたそうです。」
「…。どのような?」
「最初に…、暗く泥沼に埋もれていく感覚であったなか、
『この宝箱で、王か王族の一人や二人が罹れば儲けものだ。』
という夢を見たそうです。」
「ぬっ!…それは仕掛けたものの意思か?」
「そう…ですね。残留思念か、夢による過去視かもしれません。」
「そうか。それは今後もアリスティアが見るようになるのか?」
「それは経過観察を続けて行かないと何とも…。
それともう一つ続きの夢を見たそうです。」
「…どのような?」
「…皆様の悲しんでいるお姿を見たそうです。そして、ジゼル様についていき、あるところで会った少年についてきて、こちらに戻ってこられ、目を覚まされたそうです。」
「…待て。父はどこに行った。セアト⁈」
「…はい、アドルシークです。イズン卿を訪ね、アズン殿のところに…。」
「父上を呼び戻せ。聞かねばならん。」
「はい。」
「お待ちください。…まだ、あるのです。」
「何が…?あるのだ?」
「その少年は、スカレイに乗ってここまで来たそうです。異形の精霊と美しい大きな鳥を率いて。」
「なに?まて、お前の手にあるその羽根は?」
「アリスティア様のお部屋のテラスに落ちてました。」
「…⁈」
「この羽根は、魔力の塊です。これで風魔法を放てば、能力の5倍は引き出せるでしょう。このような羽根は見たことがありません。かなりの高位の魔獣の物と思われます。」
「…イズンを呼べ。」
「陛下、お待ちを」
「どうした?セアト」
「イズンの息子の件ですが、
推察するに、例の末弟だと思われます。
此度の件は対外的には表立っておりません。アリスティア様が回復された今、辺境の貴族を度々呼ぶようなことがあれば、あらぬ疑いを掛けられ、例の末弟の懐柔策も支障を来たします。ここは来るべき10歳のお披露目会の時に縁を結ぶことにし、イズン卿へは、今まで通りの信頼関係を結んでおれば良いかと思われます。」
「ふむ。」
「仮に、その少年が、辺境から王都に単独で来て、結界だらけの王城に単独で忍び込み、誰も対処が出来なかった呪術を単独で解呪したとしても、それを知っているのが、アリスティア様の夢の話でございます。」
「うむ。
そうだな。イズンの末弟をそれとなく守るよう手配しよう。」
「御意。」
王は執務室の天井をどこともなく見つめ、つぶやいた。
「イズンの息子は、
…勇者なのか?」
◇◇◇
ここは、ウリットバーン帝国の一室。
金装飾をあしらった白衣の男が、黒衣の男と対面していた。
「…アヴァルート王国で、王族が死んだといううわさもないのだが、貴様らは言われたこともできんのか?
あの方が、やさしいことを良い事に甘えているのか?」
「むう、あれが発動すれば必ず死ぬ。まだ開けていないだけだ!」
白衣の男は、黒衣の男に向けて臍を噛む。
「…。まあいい。前回は、この術を使えとしか、言っていなかったからな?
次は、半年以内にマーノルーナ王国を落とせ。」
「それは、マーノルーナ王国に攻め入るという事ですかな。」
灰色の装束を着た初老の男性が黒衣の男に尋ねた。
「同じことは言わん。文官、今から言う事を書き記せ。」
「は、はい!」
「今から半年後、マーノルーナ王国を攻め落とす。
マーノルーナ王国王都の横の藍緑の森に拠点を設けろ、王都の反対側に魔獣の誘因や森林火災を適度に発生させておけ、なんなら、ギルドに依頼を出して目眩ししろ。これはすぐに取り掛かれ。少人数を積み重ねゆっくりそこに配置し、決起の日までに500は入れろ。
それから、マーノルーナの貴族に賄賂を贈り堕落させろ。そこの民の税金をあげさせ、民を疲弊させろ。資金は提供する。わかっていると思うが、お前たちの懐には入れるな。その時金を惜しむと後で後悔することになるぞ。いいな。
半年後、民が疲弊したら、宣戦を布告し、全軍をカダルス平原へ進軍する。
軍の作戦は、こちらが正面に陣取り、懐柔してある二つの貴族を使い3方向から叩く。まず我々の部隊が正面から戦い、その貴族は両サイドに陣取らせ、正面からぶつかって、双方が絡み合ったら、裏切り貴族はマーノルーナ軍に突っ込ませろ。その貴族の主だった騎士の家族を集めて人質に取っておけ、裏切りは家族が犠牲になると伝えてな。成功したら地位とお金を用意すると伝えろ。
マーノルーナ軍が王都を離れたら、別動隊1500が王都横の拠点に到着次第、隠れていた500の軍と合わせて王都を落とせ。
王都が落ちたら、正規軍がいようが、精鋭がいようが関係ない。マーノルーナは終わりだ。
王族は皆殺しだ。貴族は頭はいらん。家臣だけ使えそうなやつを残せ。我々も攻略しやすくなる。文官書き記したか?」
「は、はい!」
「あの、質問ですが?」
「なんだ?」
「魔獣を発生させるのはわかりますが、火災を起こすのはなぜですか?」
「拠点に500もの人員を配置したら、炊き出しやかがり火で目立つだろう。反対に火災が起こっていれば、目立たなくなる。」
「な、るほど…。」
「決行は農民の収穫が終わった週の日にする。
準備を怠るな。
作戦はわずかな人数のみが知っていればよい。」
「…マーノルーナにある神代のカケラと召喚陣以外に興味はない。勇者が3いや、4人穢れたら、我々が世界を制する。」
黒衣の男は誰にも聞かれない独り言をつぶやいた。
それから半年後、長い歴史を誇る一つの国が戦争で滅ぶのであった。
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7月の末までに表現が荒いところと、説明が足らないところの修正を入れると思います。
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