第33話 サーカス
領主邸の食卓に夕食の料理が並ぶ、
「ど~ですか?今日のメイン料理は⁈ステーキでしょ‼」
(今日は、バルカン料理長の自慢の料理だ!父上から褒められて、態度がでかい。ちょっと肉の焼き方のアドバイスをすると調子に乗りやがってぇ~‼うまいから許す‼)
「ところでリース、ここ何ヶ月か、毎日どこ行ってるの?」
(おっとぅ~、今まで散々はぐらかしてきたが、三女のレティールは、ストレートに聞いてきた。とうとう知りたい欲求に駆られたようだ。なんて言おう?)
「えーと、街の友達と遊んだり、その子のお家に行ったり、山で魔法の練習したりしているから、なかなか忙しくて。ハハハハハ。」
「リースももう少しで7歳か、お友達がいて良かったな?今度連れて来なさい!」
イズンが、リースに提案する。
「(すみません。ホントはボッチです。)いや、多分みんな遠慮するから、僕がみんなに来たいかどうか?言っておくよ!」
「そうか?ところで、貴族のマナー講座は、いつになったら受けるんだ?今から習っておかないと、王都に行った時の日常で困る事になるぞ!」
「はい!近いうちに必ずや!今日は、残念ながら、予定を入れておりまして、申し訳ありません!」
「ふはは!まぁ、暗くなる前に帰って来いよ?リース。」
イズンは、基本的に放任主義だ。引きこもられるより、快活に活動するリースを暖かく見守ろうとしている。
「ハイ!分かりました‼」
(今度父上にも貢物を用意せねば!今までは、お姉さんには、新作お菓子、くし、ぬいぐるみ、今度、楽器を作って、アー先生と姉さまに献上するか。)
◇◇◇
「そろそろ、この領内で友達作りをしてみるか?…とは、言っても作り方わからないな〜、ねぇ~フィーヴァ、友達の作り方教えてくれよ~?」
「知らん。」
「おい!創造と破壊を司る聖魔じゃないのかよ⁈」
「我が司るは、物体を創造することで、交友関係を結ぶことではない。」
「ちぇっ!街にでも遊びに行ってみるか?そう言えば、あいつがいたな?」
「マンタ。」
リースが呼ぶと足元が光る。
「ピュイ。」
3メートル四方の大きさのエイの姿を見せて、そのまま上空に上がる。リースが名付けたマンタは、スカレイ(空飛ぶエイ)の仲間で、性格は穏やかで、普段は、景色に透明化、同化して目視出来ない。いつもはゆうゆう遊泳している。
「マンタ。今日は、ちょっと街を上から見たいから、ぐるって回ってよ?」
「キュイ。」
「街は活気があるな、中世ヨーロッパの石造りがメインみたいだな?領都は。辺境にあってもしっかりした街並みがいいね!気に入った。ちょっと散策しながら、歩こう!
ん?なんだ?結の森の向こうから炎が上がっているな?マンタ。ちょっとあの煙りのところに行って⁉」
「キュイ。」
「サラマンダーだな。」
フィーヴァは煙の出した原因を告げる。
「サラマンダーか、おかしいな。火山地方に住んでいるはずだけど…。」
リースは、火と煙が出た方面に向かう。
「なるほど、サーカスの一座か。
あれは?盗賊に襲われてる?サーカス一座には、護衛の傭兵や、団員も強いはずだけど⁈そうか、人質に取られているのか?」
リースは、空から地上を観察して、大きな広場に集まっている人たちを観察する。
「助けるのか?」
フィーヴァが、わかっている答えを聞く。
「当然だ!俺は正義の味方だからな⁈」
「フッ、そうか。支援しよう。」
「よし!フィーヴァ行くぞ‼」
◇◇◇
盗賊たちの上空についたリースは、手で素早く印を結び、
「スネークバインド‼」
リースは空中から、手の形に登録した束縛の魔法を使い盗賊をことごとく無力化させる。
「よし!軽電撃:ライトスタン。あれ?この盗賊耐えた?じゃ、軽麻痺:ライトパラライズ、軽睡眠:ミントスリープ」
結果、30人の盗賊を一気に麻痺させ、睡眠魔法で無力化した。
「こんにちは?大丈夫ですか?」
リースは、マンタの特性で透明状態。
「「「「「‼」」」」」
一座の団員と思われる女性に声を掛ける。
「…。は、はい!大丈夫です!あの、あなたがされたんですか?」
空中からいきなり現れたリースに驚愕する。
「えーと、まぁそうですが、それより、代表の方、居ますか?」
「はい!こちらです!ご案内します。」
奥の建物に男性は、閉じ込められていた。
◇◇◇
「座長!こちらの方が、盗賊を退治してくださいました‼」
その女性な大きな声で、叫ぶ!
「わぁ⁉シー‼控え目に案内してください!お姉さん」!
「座長のグラムラ・オーネルトだ!君が盗賊達を?倒したのかい?」
初老のがっちりとした体躯の男性が出てきた。
「はい。まぁそうですが、一つお願いがありまして。あ、遅くなりました。リーフィス・セファイティンと申します。ここの領主の四男坊です。」
「あっ、これはこれは領主様のご子息様で、この度はありがとうございました!」
対外的な姿勢を取り挨拶する。
「いえ、本来なら、街道の安全を担保する役から、盗賊の存在を許し、皆様を危険に晒しました。領主に代わってお詫び致します。」
「…。」
「どうしました?」
「とても礼儀正しいですね。また、上級貴族でもできないような振る舞い。あ、いえ、お気になさらず!あの程度の盗賊ならば、本来なら撃退するのですが、今回は、ヘタを打ちまして、孫娘を人質に取られてしまいまして。それより、リーフィス様は、お若く見えますが、実際の年齢は上ですか?」
「いえいえ、僕は今年6歳です。ちょっと、仕付けが厳しい環境なので…。」
「そうですか?リーフィス様、それで、お願いと言うのは、なんでしょうか?この一座で叶えられる事でしたら、なんなりと!」
「あ、いえ、そんな…かしこまらなくって良いですよ?あと、リースとお呼びください!お願いと言うのは…。」
「はは、では、お願いと言うのは?」
「盗賊達を撃退したのは、皆さんがしたと、お伝えください!」
「リーフィス様いえ、リース様、それは出来ません。」
「なぜですか?」
「それは、我々では、無傷で拘束することが、出来ないからです!また、今から全員に口裏を合わせても、いずれ露呈してしまいます。その際は少なからず、罰を受ける事になるでしょう。」
「あ~、なるほど、そうですね〜。困ったなぁ?」
「差し支えなければ、ご事情を教えて頂けますか?」
「いや、たいしたことではないんだけど、貴族の礼儀作法の時間をサボって来ちゃって。」
「フハハハハ、失礼しました!リース様には必要ないように思えますが、それは大変ですね!」
「ハハハ…。皆さんは、到着は明日と伺っていますが、何故この様な場所で?」
「ええ、実は到着前は、宣伝も含めての入領となります。ですので、2時間前に入れる距離で一旦休みを入れ、準備を整えて入領するのです。」
「なるほど!わかりました!…では、盗賊の件は騎士団に知らせて来ましょう。」
「よければ、馬をお貸ししましょうか?ウチの若いものを連れて行ってください。」
「いえ大丈夫です。それだと時間が掛かり、盗賊を護送するのが夜になってしまいます。僕には、相棒が居ますので、それで行きます。マンタ!」
リースの足元が光る。
「ピュイ。」
「なんと!スカレイを使役していらっしゃるとは。珍しいですね。」
「え、いやいや、普通ですよね?…これくらい?」
「いえ、南方の小国で使役に成功しているくらいです。」
「…。本当ですか?目立ちますか…?」
「そうですね〜。まぁワイバーンライダーや、グリフォンライダー、龍騎士の方が目立ちますから、珍しいという程度だと思いますよ?」
「そ、そうですか?良かった?余り目立ちたく無くて…。」
「ハハハハハ。」
「じゃあちょっと、行ってきますね!」
リースはフワリと浮き上がり、3メートルも上空に上がる頃には姿が風景に同化し、20メートル上昇し、背後に暴風を起こし領都に向かう。五分後には領都上空についた。ちなみにここまで、煙りを発見して30分も経っていない。従士騎士団の駐屯所に着くと、
「こんにちは。従士長のバナンさんいますか?リーフィス・セファイティンです。」
「おー、リー坊どうしたんだ?」
(今、めんどくさいのが来たって顔したよね⁈)
「えっと、盗賊が、サーカス一座を襲いまして、既に制圧はしてるので、連行してください!」(いや、気のせい気のせい。)
「何⁉場所はどこだ?何人で、いつぐらいだ。」(おっ!的確な質問‼)
「結の森の街道沿いです。盗賊は約30人です。10分前ですね。」
「ハハハ⁈はぁ?坊?こっちは忙しいんだ!子どもの遊びに付き合う暇は無い!」(でた‼これだよ!これだよ⁈)
「いや。ほんとですよ!それに暇そうですけど…。(とりあえず、主の息子の話は、無条件で信じろ‼)」
リースは指を指して昼寝する団員を見る。
「あ、あれはだな。そう、夜勤の為に仮眠をとっているんだ!」
(暇だから昼寝してるだけだろ…?)
「じゃあ、あれは?(どう見ても暇つぶしですが?何か?)」
リースは別の娯楽で遊んでいる団員を指差していう。
「あ、れは…盤上で戦術を鍛えているんだ⁉」
「では、父に報告しても問題無いと?(お前たちは、頭より先に体でも鍛えろよ⁈)」
「スミマセン!」
「では結の森にすぐ派遣してください!遊んでいる場合じゃないです‼このままじゃ、責任取らされますよ?(おめーの首を取ってやんよ⁈)」
「え?本当なのか?どうやって短時間で知らせてきたんだ?」
「それは、早馬見たいな乗り物で急いで来たんですよ?」
「…?わかった!ともかく取り急ぎ、ここにいる従士を派遣し、後ほど連行する人員を追加派遣する。」
「よろしくお願いします!じゃあ、僕サーカス一座に知らせて来ますから!出来るだけ早くお願いしますね!」
「マンタ。」
リースの足元が光る。3メートル上昇すると見えなくなり、20メートルの高さで暴風を起こし飛翔する
「ピュイ。」
「じゅ、従士長、リーフィス様はもしかしたら、スカレイに乗っていたのでは?」
「ま、さか。生態が一切不明の魔獣だぞ!南方で調教されているかもしれない。といううわさ程度しか情報が無い。リー坊は、いったい何者なんだ…?」
「辺境伯様の四男坊様ですよ⁈知らないんですか?従士長?」
「知っとるわ!言葉のあやじゃ‼ええい!さっさと準備しろ!行くぞ‼」
「は‼」
◇◇◇
「戻りました!」
リースは、マンタから飛び降り、グラムラ座長に報告する。
「おわっ!びっくりした!え?20分くらいしか経っていないのですが…。」
「座長さん、多分従士騎士団は、1時間くらいできます。煙りを出していたのは、サラマンダーですか?」
「ああ、そうです。サラマンダーのマサラです。盗賊に立ち向かってくれましたが、仲良しの子が、捕まっていたので、火を上空に吐き出したのです。」
「なるほど!それで僕が気付く事が出来たんですね!優しくて賢い子ですね!」
「そうなんです!マサラは、優しく賢い子なんです!子ども達にも大人気です。ただ初めて見た方はびっくりされますね。」
「ははぁ、なるほど〜。」
「あ、申し訳ありません。この子が、先程人質に捕られた孫娘のステラリリです。ほら、お礼を言いなさい。」
「あの、ステラリリ・オーネルトです。この度は、危ないところありがとうございました!」
「リーフィス・セファイティンです。困ったときはお互い様だよ!それより、僕と友達になってよ?」
「え、あの、いいんですか?貴族様の様ですが…。」
「貴族って言っても、四男坊だよ!それに子どもだし、敬語も無しで話してくれると嬉しいな?」
「えっと、わかった。よろしくね!リーフィス様」
「リースで良いよ?様は要らないよ!」
「じゃあ、リース君って呼んでもいい?私もステラって呼んで!」
「わかった、ステラちゃん!」
「ステラで!ステラちゃんは嫌!」
「ステラ?で良い?」
「うん!それでね、街に行ったら、ショーを観に来てよ?お礼をしたいんだ!裏方も案内するし、良いでしょ?」
「ああ、良いよ!遊びに行くよ?」
しばらくして、従士騎士団が到着した。
(従士長のバナンさん、早かったね!あっ、これなら夜の娼館に間に合うね!)
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