第30話 天空城
この世界は、いわゆる剣と魔法の世界。
中世ヨーロッパの半ばから後半ぐらいの政治・文化・技術・医療水準。しかしながら、魔法によって、ある部分は現代地球の科学的常識を凌駕する。例えば、ポーションという魔力のこもった水薬で、内容物により、怪我や病気の類を完治させる。驚くべきことに、希少なポーションには、身体の欠損部分を補う。故に、直接身体を手当てする手術等は、技術的に習得する環境でないから難しい。基本ポーション頼みになるため、薬草学・魔法学の研鑽著しい。
ほかには、スカレイ(空中を飛ぶエイ)。2m四方の大きさで大人一人を運ぶ能力がある。
これにより、個人で空を飛行する者たちがいる。ただし、テイムする能力と、スカレイの生息数により、飛べる人数は限られる。他にも乗り物として飛行できる動物は、飛竜・ワイバーン・グリフォン・ペガサス・大鷲・鳳・飛空魔導船等がある。個人が乗れて、空を飛ぶ動物は、地球の常識ではありえない。そんな世界に転生してしまった彼のスローライフを求めて戦う物語。
◇◇◇
アドルシーク領の領主は、イズン・フォン・セファイティン。彼の兄、リースの伯父さんは、アズン・フォン・セファイティンという。領主の仕事が嫌でイズンに家督を譲って冒険者になった。その伯父さんが、家の使用人達からうわさのエロじじいを連れてリースの部屋に来た。
「よう〜⁉リース!元気してたか⁈」
「あれ?伯父様、こんにちは。」
「おう!元気そうだな⁈ ああ、紹介しよう!こちらは、トレジャーハンターのジゼル様だ」
「初めまして、リーフィス・セファイティンです。イズンの四男坊になります。」
「おお、お前が噂のリーフィスか?よろしくな!見てのとおり、只の爺だ、遺跡と女性を探求する事を趣味としている。聞きたいことがあったら、聞くが良いぞ‼」
(このジゼルという爺様が謎なんだが、誰なんだ?鑑定魔法が効かないぞ?)
「はあ? わかりました。宜しくお願い致します。それで今日は、どうしたのですか?」
伯父が無駄に胸を張り、
「ああ、お前の部屋が殺風景だからな、カッコいいレリーフを壁にアクセントとして、つけようと思ってな⁈」
「アクセント?なんですか?それ?」
エロ爺ジゼル様が、手を当て咳払いの真似をする
「うぉっほん‼
これはな、古の民が祀っていた四神聖魔のレリーフじゃ。世界の理を担う聖魔と言う存在を讃える為の物だ⁉わしが存在を求めて、ずっと追いかけているものじゃ。失われた文明、失われた遺跡、失われた神々
まぁ、想像上の神さまみたいなものじゃな⁉ワッハッハ‼」
(腕を組みのけぞりながら自慢する。あなたの追い求めるフィーヴァが後ろにいるんですが…。)
「え〜…、そんな神さまみたいなをこんな部屋に飾って良いのですか?」
「むっ?そう言えば、そうじゃな…?神殿に納めた方が良いか⁈いや、まぁ、ええじゃろ?」
伯父が、腰に左手を当て、右手を振り、
「こまけぇーことは、いいんだよ‼気にするな、男だろ?」
そういって、壁に勝手に飾って、出て行った…。
「いや、男も女も関係は…。もう設置したの?」
キース兄さんの話しによると、伯父さんは、苦手な貴族社会が嫌で、跡継ぎを弟のお父さんに家督を譲った(つまり逃げた)。それから冒険者となり、Sランクで、それなりに力はあるようだが、夜のお店の良いカモで、畜財はないらしい。
ダメオヤジだなぁ?
エロじじいジゼル様は、姉さんからの話しでは、自称トレジャーハンターと言うらしい。メイドの尻ばかりを追う、エロジジイハンターの間違いじゃないの?との事。正体は不明。
遺跡発掘物
この領主屋敷の近所の遺跡で見つかった、幾何学レリーフをリースの寝室の壁に設置した。自慢したいらしい。
「フィーヴァ。あれって?」
「ああ、我が封印されていた石盤である。転移盤でもあるが…。」
「ちなみに、言わなかったけど、その昔、僕が触って、気分が悪くなって、4日寝込んで記憶が覚醒したきっかけのレリーフだよね?」
多分、あの後、崖から落ちたものを拾ってきたと…。
いくつか、領主屋敷にレリーフを飾るが、意味はわかっていないようだが…。
ポンコツトレジャーハンターだなぁ?
貴族引退後には、趣味に走る御隠居が多いらしいが、現役に迷惑掛けない範囲でね…。
「ん?転移盤?」
「ああ、言わなかったか?」
「聞いてないよ?どこに行くんだよ?転移って?」
「いくつかあるが、行くなら天空城だな。住まう者が健在ならば、魔法が学べる。」
「えっ?天空城?なにそれカッコイイ‼‼魔法も学べるの?まじか…すごい‼‼」
期待していなかった福袋に、豪華特典ものが2つ3つ入っていた感じか。。
「その転移盤に手をかざし、魔力を注げば転移できる。」
へぇ~、エレベータみたいなもんか?
「ねぇ、フィーヴァ?」
「なんだリース、我は今、転移盤の位置を直しているのだが…。」
「そういえば、他の聖魔はまだ眠ったままなのかい?」
「ああ、気持ちよく寝ている。」
「いつぐらいに目覚めそうなんだい?」
「そうだな、リースの魔力を昼食に含まれるくらいづつ分けてもらっているのだが、すぐだぞ…。 時間計算すると200年くらいだ!」
「おい‼ その話は前にも聞いたよ!その前に寿命が来るよ‼他に方法が無いのかよ⁈」
「あるぞ、天空城で魔法を学び、ダンジョンの魔獣を倒し、魔石から魔力を吸収すれば、一石三鳥ではあるな?」
「…。」
「どうした?」
「ダンジョンってあるんだ⁈」
「ああ、あるぞ、固定と不確定のダンジョンがな。」
「…、固定と不確定…。」
◇◇◇
「それでリース。そのままでは、他の三聖魔の顕現に時が掛かり、且つ弱い。天空城に住まう者たちに、元なるチカラの底上げと、心身を鍛えてみてはどうか?」
「…良いね‼まあ準備してからになると思うけど、わかった。どうすれば良いんだい?」
「では、リース。石盤の前に立ち、魔力を注げ。」
「じゃあ、ちょっと試してみるか?」
「汝と我を転移の扉が古の空に導かん…。」「えっ⁈」
案内のままレリーフの上に立ち、魔力を注ぐと、魔法陣が発動し、転移する。
「…。ここは?」
「ここは、天空城アルテラス、精霊の民が住うところだ。天空島ともいう。」
「こら!お試しでって、言ったでしょ!まったく、何も準備できてないんだけどな~。しかし、へぇ〜、壮大な景色だ‼ 美しいところだねぇ。」
天空島は、なだらかな平原や小ぶりな山があり森があり湖があり街がある。その下に山脈が連なる大地を見下ろし、遠くは海があり、世界の果てが丸く見える雲の上に浮かび、様々な鳥が歌を伴い飛んでいく。その一角に城がある。
転移した場所は、一面に花の絨毯が敷き詰められたように広がり、横には湖、背後には城と街が見える。
「誰…?」
ふと気づくと、近くにいた白金の髪に花飾りが付いたグリーンの眼の女の子がこちらに気付いて、問い掛ける
「こんにちは。僕はリーフィス・セファイティン。リースって呼んで!こっちはフィーヴァ。君は…?」
「 ポーシャルル。みんなは、ポーって呼ぶ…。 」
「じゃあ、ポー、ここの偉い人に挨拶したいんだ。呼んでもらえるかな?」
「呼ぶ必要はない…。」
「えっ?…っと?」
「…? すぐに…。 ここに来る。…暇だから?」
「なるほど…。 じゃあ、それまで、お話し しよっ?」
「お話し…? いいよ…?」
「君と同じくらいの子は何人居るのかな?」
「同い年は3人、前後の年を入れると8人…。 どしたの…?」
城から人々が出て来る。
「友達になりたい…と思ってね?今来てるのは、偉い人?」
「うん…。そう。」
長老と思わしき人が、片膝をつき深く礼の姿勢を取りフィーヴァに尋ねる。
「ジウジデフィーラナと申します。聖魔様、あなた様が顕現されたという事は、その子は…」
コクン
「この者の話を聞いてやって欲しい。」
「わかりました。では、ご質問をさせて頂きたく。
君からは、神気を感じる。何者なんじゃ?なぜチカラの四方聖魔様と共に有る?君は使徒なのか?なぜ失われた転移陣から現れたのじゃ?」
ジウジデフィーラナは、矢継ぎ早に問いかける。
「ははは!使徒様ではないですよ。僕の名は、リース・セファイティン。アヴァルート王国と言う国のアドルシーク辺境伯の四男です。説明はさせて頂きますが、とりあえず、こちらは天空城ですか?」
「そうじゃ、ここは天空島または天空城アルテラス、アルファード大陸の中央の上空に、認識疎外の結界の中にある。大地の者達からは、見えない。故に特別な方法でしか辿り着けないのじゃ。また、資格の無い者は、入れはしない。だが、天空島、天空城は受け入れた。四方聖魔様に認められているからだと思うのじゃが…。
古来より、この場所に転移する者は、勇者ならば青、賢者なら黄色、聖者なら白、闘者なら赤、霊者なら黒、魔者なら紫と花の色が変わる。しかし、貴殿は色鮮やかで、煌めきを放っている。一体何者じゃ…?」
「はぁ?
すみません。こちらには、明確に目的を持って訪れた訳では有りません。我が家にある調度品のレリーフに魔力を注ぐと、こちらに来てしまいました。
ですので、取り立て今何かをしたいと言う訳ではありません。」
ゴクリと、近くにいた者たちは、リースの次の言葉を待ちのどを鳴らす。
「そうですね〜。強いて言えば…、強くなるための知識と技術・魔法を教えて欲しい事と、…同じぐらいの子達と友達になって欲しいですね!」
リースは、にこりと満面の笑みを浮かべ長老にお願いをする
「ふむ、そうじゃな…。四方神聖魔様に認められた者を歓迎しない訳にはいかん!長の名において歓迎しよう!それでは、城の中について来てくだされ、ポーシャルル。ご案内しなさい。」
「ハイ…。京長老様!」
「長老会がまずは歓迎する。皆の者は夕方広間に集まってくれ、皆で宴にしよう‼準備を頼むぞ。」
「「「「「ハイ!」」」」」
集落の皆の者が長老に向かって返事をし、宴の準備に取り掛かる
京長老に言われたポーは、リースを連れて、城の入口に向かった。
「ねぇ、ポー、城の中に住んでるの?」
「 ううん。城のヨコの街に家がある。」
「そこにはお店とかあるの?」
「いろいろあるよ。主に食べ物屋さん。」
「へ~、行ってみたいな?」
「今はダメ。。。お城に行ってから。。。」
「あっ、そうだね‼用事が済んでから、連れてってくれる?」
「いいよ。」
「リーフィス殿、こちらへ。」
「はい!ところで、皆さん動物たちが一緒に行動していますが、意思疎通できてるのですか?」
「ああ、それはな。調獣術という技法で意思疎通は出来ている。地表の民が言う調教じゃな。」
「僕も調獣術?してみたいです!」
「ふぉふぉふぉ、そうか?じゃが難しいぞ?まあ、いずれお教えしよう。まずは、地表のことを教えてくだされ。問題がなければ、いろいろと協力させて頂こう。」
「ありがとうございます!では、僕の家からご案内しますね。」
◇◇◇
こうして宴まで、リースの生い立ちの話が進み、宴の時に天空島(天空城)の話が進むのだった。
「やばっ‼楽しくて時間を忘れてた!一度家に帰らないと!プリーツに怒られる‼」
再会を約束し、急いで実家に帰るのだった…。
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