第27話 御守
リースは春に6歳になった。
リースの部屋の椅子に座り、頭に手を組み、天井を見ながら考えていた。
「フィーヴァ、今度長女のフェルリナ姉様と、次女のラーベルティナ姉様が王都の学園に行くんだ。ちょっと早めにね。」
「ほう?そうか。それで?」
「進学祝いで、姉様が喜ぶ物を送りたいんだけど、なにが良いかな?」
「金で良いんじゃないか?」
「そうだね!お金は必要だね!って、弟からお金なんて要らんし!じゃなくて、こぅ~なんか、これ欲しかった~系な感じ?」
「…面倒だな?本人に聞けばよかろう?」
「いや、驚かせたいんだよ‼ そこんとこわかんないかな? リースの心が⁈」
「むぅ~?参考になるかわからんが、それでも良いか?」
「良いよ。待ってたよ‼言葉のキャッチボール!」
「あれは、15.6歳の女が、男から貰ったら、うれしいという話だが、」
「うん、うん、それで?」
「マフラー・お菓子・ネックレス・ぬいぐるみ・パンツとあるぞ?」
「おい‼ それ⁈僕の記憶だろ!」
「そうだ!我に人間の欲しいものなどわかるわけがないだろう?」
「…。しかしそうか、マフラーもう暑いし、パンツはあれだが、ネックレスはよいかもな?」
「作るのか?」
フィーヴァは、うわ弾みに聞き返す。
「ああ、せっかく工房も作ったし、ちょっと知恵を貸してくれ?ところで、いつの記憶だったんだ?」
リースの中の記憶の一部
「「第一回、ホワイトデーのお返し作戦会議 (高校生偏Ⅰ-35)」で学習した。」
「それ失敗したヤツじゃん‼忘れて‼‼」」
◇◇◇
暖かい春になるころ、長女のフェルリナと、次女のラーベルティナが王都へ出発した。
王都の王立学園に通うためだ。王国の齢12歳となる歳の子供は、貴族の家庭教師、地方の学校、私塾で自分を磨き育った者たちが、試験を合格すると、晴れて春から入学できる。リースの件があって、相対的に学力・魔力・体力が上がり、主席と次席をこの姉妹で独占した。僅差で…。
王都の領主邸には、領主のイズンと第一夫人アールティナ母様と、長男アークフィス(アーク)がいる。アークは去年王立学園に次席で入学した。主席は第二王子だ。
アークは長男にふさわしく、頭も、身体も魔法も剣技も、申し分ない。学園では、身分の違いからの枷は外れてあるため、分け隔てなく接するアークに、皆から頼りにされる存在となっていた。また、第二王子とも友好関係が築けているため、貴族社会からも一目置かれているのだった。
◇◇◇
「フェル、ティナ、お疲れ様。道中疲れたでしょ?」
「お母様」「アールティナ母様」
「やっと、つきました‼」「お腹すきました!」
「ふふ、直ぐお食事にしましょう!アークも、もうすぐ帰ってきます。」
「うん、アーク兄さまは元気ですか?」「久しぶりだね!アーク兄さま」
「元気よ!でも、二人が来たら、アークは寮に住みたいんだって。」
「え~!なんで?ですか?」「どうしたの?」
「男の友情を深めたいって?」
「なんなの男の友情って?」「さぁ~?」
◇◇◇
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい。」「お帰りなさい。」「おかえりー。」
「フェル、ティナ、着いてたのか?道中は、大丈夫だったか?」
「はい」「うん」
「そうか、あとで学校の事を話そう。」
「「ありがと。」」
◇◇◇
「それで、アーク兄さまは、寮に引っ越すんですか?」
「ああ、今後、領主になっていくとき、同期の者や、家臣たちとの繋がりを築くためには学校にいる時間だけでは、本当に腹の割った話はできない。寮で寝食を共にすることが大事なんだ。」
「そうですか?」「そうなんだ!」
「それよりおそろいのネックレスか?かわいいな?どうしたんだそれ?」
「リースが、プレゼントしてくれたの!」
「何か付与してあるらしいから、外出時は身に着けて欲しいって!かわいくない?」
「かわいいよね~!」「かわいい~!」
「なんだそりゃ?」
「離れていく姉を心配して、僕を忘れないでっ!ってな感じよ!」
「ね~っ!」
(「…。それはない。」とは、言えんな。)
「そうか、良かったな!どれ、見せてみろ。鑑定してやろう。」
「え?鑑定できるようになったの?」「ほんとに?」
「ああ、ジュラン王子ができていてな?やり方を習ったんだ。むっ?これはっ‼」
「どしたの?」「なに?」
「 …。 国宝級だ。最高級の…な。」
「え?」「は?」
「これには五つ付与されている。」
「「五つ⁈」」
「魔法防御・物理防御・完全治癒力・幸運増大・現状回帰に超補正機能が付いている。」
「「 …。 」」
「…良かったな。」
「良かったけど、いいのかな?」「逆に危なくないのかな?盗まれそう!」
「大丈夫だろう。個人登録してあるし、たぶん盗まれても戻ってくるな。これは。」
「え?そうなの?」「すごいね。」
「大切にしろよ?(…うらやましいぜ。)」
「「あっ!」」
「ん?」
「そういえば、リースから、アーク兄にこれを預かっていたんだった!」「ナイフだって?」
箱に入ったナイフを渡す。刃渡りは50cmの大型ナイフだ。
「なんだと⁈」
「なんか、仲良くなった鍛冶屋さんと、領の特産販売用のナイフを作っていたらしいけど、どんな性能になるかいろいろ実験したら、一般では売れないものができたからって?言ってたよ?」
「なに?鑑定!こっ、これは⁈」
「どうしたの?」「どんなナイフ?」
「刀身に状態異常付与、物理遮断、自己再生能力、現状回帰」
「…つまり、凄く切れて?投げても戻ってくる?とか?」「切った相手が状態異常になるっていう事?」
「…そうだな。あの可愛かったリースが…。どういった経緯で、こんな凄いナイフを…。」
「「大事にされてるね!」」
「(いや、普通は出所に疑問を持つべきだが…。)まあ、手紙を書くか…。」
アークは頭を掻きながら、想像を絶する性能に、出自をどうごまかすか悩んだ。
◇◇◇
魔法防御超補正:魔法的攻撃に対する防御、魔力がある限り防御可能
物理防御超補正:物理的衝撃に対する防御、魔力がある限り防御可能
完全治癒超補正:身体に対する病気・傷害を完全に治癒する
幸運増大超補正:全体的な運気向上
現状回帰超補正:元あった場所に帰る機能
状態異常付与 :対象に状態異常を起こす機能
物理遮断超補正:物理系魔法使用時の効力を補正する
自己再生超補正:刀身が欠けても、元に戻る
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