第24話 密談
執務室では、6人の大人達が集まっていた。
辺境伯のイズン、その妻レフィーナ第三婦人、執事のカーセリック、従士長バナン
密偵ジュエル、メイド長のレナである。
部屋にある、打ち合わせの席に座り、イズンが5人を見て語りかけた。
「集まってもらったのは他でもない、末っ子のリースの件だ。先日の隣村の魔獣の大量発生の詳細を報告して欲しい。それぞれ気付いたことを共有したい。」
「 …。 」
「リースは、さすが私の息子ね‼
…最近は加工食品を開発する?って言っているけど⁉とってもかわいいと思うの、それに剣術も体術もすごいし。かわいいし!」
「 …ジュエル、詳細はどうだったのだ?」
「…は。 そのあの…。」
「どうしたんです?いつもの報告にキレがありませんが?」
リースに弱みを握られて口の重いジュエルに、執事のカーセリックが問う。
「…レナ、どんな状況で気付いたのだ?」
「はい。娘のプリーツが、リース坊ちゃまがフィオナさんに話していたのを小耳にはさんだことからでした。『魔獣狩りに行きましょう!』とおっしゃったのです。」
「…それは、本当ならまだ早いだろう?」
従士長バナンが意見する。
「はい、その通りです。リース様は体がまだできていません。魔獣討伐は、10歳以上でないと難しいと思われます。いてもたってもいられなくなったプリーツは、隣村の村長を勤める私の兄(プリーツの伯父)の家に行き相談していました。そこに魔獣の群れが襲い掛かり、村人たちが慌てふためいていた時でした、領主方面からくる荷馬車から、リース坊ちゃまが飛び出していき、ゴブリンを蹂躙していったのです。まるで演劇を見ているように流れるように、ゴブリンを討伐し、ゴブリンの小山ができたそうです。しかも素手で‼その証拠に、体表に傷は無く、首の骨を折るか、内臓が破裂していたそうです。また、バラットは、一体につき、剣を一閃しただけで、討伐したそうです‼」
「…………。」「何ですって⁈」「…。」「…。」「…。」
「確かにゴブリンは、外傷はほとんど見られませんでした。ボルデリアさんの言う通りならリース坊がしたと思います。現場ではうまくごまかされましたが…、恐るべき才能ですね。」
従士長バナンは言う。
(あれっ?これって、俺セーフ?じゃね??)
ジュエルは思った。今の話がレナから話されたことに胸をなでおろした。
「ファティマさんもオーガを倒したみたいですし、昔騎士団にいたのは本当だったんですね~、リース様の件も含めて、驚きです。」
カーセリックは最も賛辞の高い事を話し、イズンもボルデリアの話を聞いていたからそうだろうと思っていたが…
「ところで、ジュエル?今の話は本当か?」
イズンは確認のため、現場にいたジュエルに尋ねる。
「っ…。その…。」
ジュエルは額から汗がこぼれる。
「見ていると最初は怖かったけれど、御者さんが最も近くで見ていたようだったから、最後には『迫力があって近くで見れていいな!』ってプリーツが言っていましたよ!」
レナが、ジュエルが緊張でしゃべれないから?とフォローの助言を言う。
「 …はい。そうです。」
ジュエルいや、ジュエリ。ハイ、アウト…。
「そうだな、報告の通り神童か…、おれの息子はさすがだな!」
「 …フフフ。私の息子よ‼」
「「フフフフフフフ」」
(ふふふ、親バカですね!)
◇◇◇
ある国の鉱山跡にその組織のアジトがあった。数十人の者たちが集まり会合を開いていた。
最奥に座る体格が巌のような老齢な男に、使者が先日の作戦の報告をする。
「…何?失敗しただと?」
「はい、アヴァルート王国アドルシーク領で起こした魔獣の発生は村民に被害をあたえることなく鎮圧されました。」
「魔獣は発生しなかったのか?」
「いえ、魔獣発生は小規模だったのですが、魔獣が発生してすぐに鎮圧されたのが原因です。本来なら小規模でも、魔の森に隣接しているため、村民に被害が出たら、魔の森から魔獣が誘引されて、村を襲い、隣の領都に魔獣が襲い掛かる手筈でしたが…。」
「そうか。…とりあえず、アヴァルート王国を攻めるのはしばらく中止だ。やつらに計画が漏れていたのか、魔獣誘引剤を早期に発見されて失敗したのか、わからない状況では危険すぎる!」
「「「はっ!」」」
「多少の計画変更はやもえん。早期に勇者を見つけ、穢れの詩を詠ってもらう!」
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