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第13話 志望

「リースは将来、大人になったら、何になりたいと思っているんだ?」

珍しく家族全員が揃った夕食で、領主である父のイズンがリースに尋ねた。


「えっ?僕ですか?大人になったら…ですか?」

末弟に当たるため、父親の席から離れたところに座るリースに、自分が尋ねられた事に意外な感想を抱いた。


今までにぎわっていた食卓だが、皆、聞き耳をたて注目する。この世界の世襲制は、基本的に長子の男子が引き継ぐ。長子以外の男子が家督を引き継ぐ場合は、王家に申請して承諾を得る必要がある。そして他の男子は、未成年者と、国の職務に就いた者は、準貴族扱いで、爵位が与えられたら独立貴族となる。それ以外はほぼ平民となる。したがって、平民になりたくないものは、王都の学園に行き、学業を修め、しかるべき試験を受け王宮勤めか、騎士団所属か、教会勤めとなり、武芸・魔法に自信のあるものは、冒険者か狩人、傭兵となる。また、あまりにも優秀な場合は、推薦または勧誘により王家、貴族の臣下、騎士団、教会に所属する。

ちなみに貴族の女子は、基本的に男子の仕組みと同じだが、未婚の場合は、準貴族になる。これは、出生率が低いこの世界にあって、女性を守ること(貴族間の婚姻を促すこと)が出生率の向上を図るためである。また、一夫多妻制も認められているのは、扶養する財力がある男性が、妻が一人だと子供が生まれる数も少なく、万が一の場合は断絶することもあるという考えからで、財力が多ければ、養える妻も多い。多くの妻がいれば、多くの子供が生まれ、家督を引き継ぐことが出来るという考えからである。


「僕は、旅する商人になろうと思います。この世界のいろいろなところを見て、国を豊にし、国民、領民を幸せにしたいんです。(前世の仕事は、こちらではポーションと魔法で代替できる。前世ではできなかったことをしてみたい。)」


商人は、身分的には平民に近く、商会を経営している者は、貴族に近い敬意を持たれる。アヴァルート王国では、3大商会があり、伯爵級のチカラを持つとされている。


「なんだと?貴族でも、騎士でも、冒険者でもないのか?ふーむ…」


「だめでしょうか?領主はアーク兄様と言う優れた方がこの領にはいますし、法衣貴族は、キース兄様がいます。騎士はカーズ兄さんが居るので、僕は商人になりたいのです。冒険者になると、国や貴族の縛りが有って面倒なので…」


「ふむ、まぁ良いだろう。まずは学校には入ってもらう。そして(大人になって)商人になりたいなら、この領を豊かにしてみなさい。それが条件だ」

イズンは大人になってから、領を豊かにしてから好きな事をしなさいと言ったつもりだが、リースは、今すぐでも良いと受け取った。


「ありがとうございます!では、ひとつお願いがあります。独り立ちするためにはある程度自立したチカラが必要となってきます。魔法に剣術、武術、学術は納めたいと思い、指南役を付けてください。お願いします。」


「わかった。手配しよう。」

リースはこの年にして先のことを見据える目があることに、イズンは驚愕しつつも親としては嬉しくもあり、頼もしさを感じていた。


「ありがとうございます!」

リースの家族は、驚きを持ってリースを見ていた。


「リース。剣術はアーク兄様から教えてもらったら?」

長女のフェルリナが言う。


「ダメですよ?アーク兄様は忙しいですし、優しいから本気で扱いてくれません。それに来年から王都に行かれるので、剣術の指導が中断します。同じ理由で、キース兄様も難しいです。子どもの内に基本を学び、大人になって自由に生きる。その為には、今学ぶことが必要なのですよ。…って、あれ?」

シーンとなった部屋を見て、リースは言い過ぎたと反省した。


「凄いよ!リースちゃん。お姉さんも頑張る!」

三女のレティールが言う


「「「「私も!」」」」

他の姉妹たちも賛同した。


「それにしてもすごいよね?4歳にしてその考え。カーズはそのころ、『魔人を倒す』って、言っていたのにね?」


「ラティナ姉!そんな恥ずかしいこと今、言わなくったって!」ブーブー

次女のラーベルティナがカーズをからかう。


その日も暖かな団らんを過ごしていくのだった…。



◇◇◇



「フィーヴァ」


「なんだ?」


「今日は、楽しかった」


「家族の団欒っていうやつか…」


「ああ、そうだね。ふふ、この団欒は今しか味わえない。知っているんだ。俺は。…時が過ぎれば誰かが欠ける。全員揃うのはなかなかない。だから、今日は楽しかった」


「そうか」


「おやすみ。フィーヴァ」


「ああ」



◇◇◇



リースは、夢を見ていた。決して目覚めない時間。前世のトラウマか、神の縛りか、一日のうち2時間は、決して目覚めない。


ここではない、どこかの国で、人が魔物に蹂躙される。


目からは、涙が頬をつたう。今なのか、昔あったことなのか?確かめる術も、チカラもない。これから起こることならば、防ぎたい、助けたい、救っていきたい。自らのチカラを高めていこう。せめて自分に関わった人たちを 護る。

強くなろう。もう、こんな未来は過去で十分だ。



俺は、強くなる。



◇◇◇



「…リース、貴殿は…。」


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