第11話 実体
リースは、自室のベッドで仰向けに横たわりながら、問いかける。
第三者から見たら、見えない何かに話しかけている痛い子のように見えるだろう。
「ねぇ、フィーヴァ」
「なんだリース、我は今、貴殿の記憶の中のテレビの解析をしているのだが…」
「いやいや、人の記憶を見るのはやめようよ。恥ずかしいからさ」
「創造と破壊を司るものとしては、どんな世界があったのか気になるのでな…」
「こわっ‼」
「…それでなんだ?要件は」
「フィーヴァの実体化ってどうしたらできるんだ?いい加減頭の中で話すのもなんか独り言っぽくてさ、傍から見たら寂しいやつに見えるし、この前も姉さんが変な目で見るし…」
「我の実体化には、魔力が大量にいる。現在8割方は蓄積できたと思う。もうしばらく待て」
「…もうしばらくって、どれくらい?」
「そうだな、リースの魔力を朝食に含まれるくらいづつ分けてもらっているのだが、すぐだぞ。 時間計算するとあと80年くらいだ」
「おい‼ なげぇ~よ!その前に寿命が来るよ‼ 他に方法が無いのかよ⁈」
ついつい言葉を荒げてしまう。
「冗談だ…。あるぞ、人の身ではあまりお勧めはしないが、魔力を鍛えることと、一石二鳥ではあるな?」
「…。」
「どうした?」
「フィーヴァって、冗談言うんだ⁈」
「リースの中の記憶の一部、「仲間との日常会話偏(高校生偏Ⅲ-2)」で学習した」
「うぉい!見るなよ‼」
アオハルの時代。恥ずかしいよね。
◇◇◇
リースは、ベットに座り、枕を抱きながら、問いかける。
第三者から見たら、甘えん坊の人恋しいお子様の姿に見えるだろう。
「それで、フィーヴァ」
「なんだリース、我は実体化の手段について計算中である」
「実体化の方法で…。からの内容を聞かせてもらっても?」
「リースの魔力を実体化に使い切る。そうするとリースは魔力は空の状態となり、回復時に前回より魔力が増える。そして我は実体化に近づく」
「良い事づくめじゃん?なんでお勧めしないの?」
「魔力が無くなると、回復の為眠くなる。そして頭痛がひどい」
「まじか? …でも魔力が強くなっていくんだよね?」
「ああ、それは保証する。それと、有事は魔力が少ない時があると危険だ。今のような平時のみの鍛える手段だな。と魔力が少ないと記憶が見れない…」
「それは見ないでいいんだよ!」
◇◇◇
実体化に向けての訓練をはじめて3ヵ月。
リースは、執務室という名の勉強部屋の窓にすがり、紅茶を飲みながら、問いかける。
第三者から見たら、恰好をつけている人寂しい幼児に見えるだろう。
「おーいフィーヴァ。もうそろそろかい?」
「今日の魔力操作で、多分実体化は可能だ。待たせたな?」
「いや、3ヵ月くらいか?大変だったよ。頭痛はなくなったけど、眠気はひどいね。そういえば、実体化って、どんな姿なんだ?」
「 我も忘れたな… 」
「 おい⁈ 透明ってオチじゃないよね?」
「それは出来るが、実体化すると我自身がモノに触れるのが良い。この世界のモノに触れたい。」
「おお。まともな意見だね?まず何に触りたいんだい?」
「本だな」
「本棚か、変わってるな?」
「そうでもない。人がまとめて整えたものだ。興味はある」
「なるほど、さすがは創造と破壊を司る聖魔。造形品から入っていくのか⁈よし、それじゃ魔力を込めるぞ‼準備はいいかい?」
「ああ、いつでもいいぞ」
「むん~~~」
リースは、両手を前に突き出し、いっぱい魔力を込める。
リースからあふれ出た光の粒子が、前方に収束して形作る。
「おおおおお…?」
「ふっ、…この世界に顕現できたな…」
「おーカッコいいじゃん!っていうか、足無いんだね?まあ宙に浮いてるし必要ないのかな?」
「ああ、我も思い出したが、足は無い。両手は必要だからあるがな?」
「早速、何からしたいんだい?」
「本を読む。書庫に行くか?リース案内を頼む」
「本を読みたいのか?」
「さっき興味があると言ったろう?」
「ん?本棚じゃなくで、本だったのか?」
リースは聞き違いで恥ずかしかったのか顔を赤くした。
「何をしている。早くいくぞ」
「あ、ああ、いや、壁をすり抜けられると、ついて行けないのですが…」
◇◇◇
リースは、書庫という名の図書室の机に座り、積み上げられた本に肘をつきながら、問いかける。第三者から見たら、勉強を言いつけられている児童に見えるだろう。
「ところで、フィーヴァ」
「なんだリース、我は今、本を読むのに忙しい」
フィーヴァは、領都実家の書庫の蟲(いや聖魔)となっている
「実体化を手伝ったんだから、幼児から始められる、楽しい魔法を教えてよ…」
「ふむ。この歴史書を読んだらな」
「いや、さっきも違う本でそう言ったよね?」
「…聞き間違えではないのか?」
「へぇ~、いけないんだぁ~⁉聖魔ってうそつくんだ?誇りの高さはどうなったのかなぁ~?」
「なに⁉聞き捨てならないことを言う。聖魔は嘘などつかん。確率論を述べているにすぎん。魔法を習いたいのだったな⁉どんな魔法だ?」
フィーヴァは、勢いをつけてごまかしに入った。
「へへ、そう来なくちゃ! 習いたい魔法は、取り急ぎ支援魔法かな?」
「むぅ。 なぜだ…? 魔法の華は直接魔法だろう?」
「直接魔法の攻撃魔法とか、防御魔法だとかは、僕が魔法を使ったって、周りにバレちゃうじゃん。まだ4歳だし、目立たず、おとなしく過ごしたいんだよね。」
「なるほど、万が一の時、誰かを支援して、その難を逃れるというわけか?」
「うん、そう‼それに万が一の時は、フィーヴァが隠れて守ってくれるんでしょ?」
「…まあな。友達…だからな?」
「そ、友達。 だから早く教えてよ」
「友達とは、遠慮が無い要求もする…か⁈」
「ん?そういうときもあるね~⁈良く知ってるじゃない?」
「ああ、「友情は作るものじゃない、できるもの (高校生偏Ⅰ-8)」で学習した。」
「わっ、おい⁈恥ずかしいな‼禁止!記憶を見るのは禁止!これからは許可制とする!」
「何。それは困る。貴殿が寝ている間に、シリーズ物のドラマ?を見ていたのだが…。だめか?」
「だめだめ、ぜ~たいだめ!」
「…そうか。次の機会を待つとしよう。 …だが、遠慮はしない…だったな」




