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ユリアとの日常



未だにベッドに倒れ込んでいる俺の上にはユリアが乗っている。


「そういや、聞いてなかったんだけど。なんであの時婚約なんて言い出したんだ。」


「そ、それは……身内になれば嫌でも魔法教えてもらえるかなって。」


この娘ちょっと考え方ぶっ飛びすぎじゃない?


「魔法ってわかったのは?」


「私、魔素が視える体質なの。」


なるほど。滅多にいないがそういう人がいるというのは聞いたことがある。


「じゃあ、魔法が教えて欲しいからあんなこと言ったってことね……」


「ち、ちがうの!!その、あなたがメイドがこけそうになったところを助けたのが、す、すすす、すごくかっこよくて、そのみ、見惚れてちゃって、って私何言ってるの!?あぅ……」


と、真っ赤になった顔を手で必死に隠している。


俺は思った。なんだこの可愛い生物はと。違う。俺は決してロリコンではない。


「さっきまであんなに堂々と抱きついてきたのに何恥ずかしがってるんだよ。」


「それとこれとは別よ!バカっ!」


「グホッ!」


拳の威力に重力が乗った攻撃が俺の鳩尾に綺麗にはいる。


「ユ、ユリア。そろそろどいてくれないか?」


「あら、ごめんなさい。今、どくわ。」


そう言ってユリアがどこうとしたその直前。


ーーガチャッ!


「ソロ〜、ユリアちゃんが来てるって聞いたから一応紅茶とお菓子持ってきたんだけど……ってあらあら、どうやらお母さんは邪魔みたいね。うふふ、今夜はお赤飯かしら。」


ーーガチャン!


母は盛大な勘違いをして出て行ってしまったようだ。5歳児がそんなディープなことできるわけがないだろ。


と、ユリアを見るとまだ俺の上でさっきよりもさらに顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。


この娘は耳年増のようだ。


「ユリア、そろそろどこうか。」


「ね、ね……したい?」


は?何を行っているんだこの娘は。


「そういうことはもっと大人になってからだ。まず、俺たちは子供だから身体が出来上がってない。今はそういうことをするのは危険だ。」


「そうよね〜。今はまだ無理よね。今は。」


なぜ今はを強調したのかは触れない方が良さそうだ。


「ほら、早くどいてくれ。」


「むぅっ。わかったわよ。その代わり魔法教えて。」


「え、嫌だよ。」


「えー。おしえてーよー。お願い〜。」


そう言って俺の襟を掴んで俺の脳を揺さぶってくる。気持ちが悪くなってきた。


なんて卑怯な技なんだ。


「わ、わかったから。やめてくれ。うっぷ。は、吐きそう……」


「え!ほんと!!やったぁあああ!!」


ううう。やばい出る。


◇◆◇


数分後……


トイレで色々出してきた。俺は、ユリアの前に例の5冊の本を出していた。


「まず、この猿でもわかる魔法の基礎知識を読むといい。」


「ん〜。これ読めないわ。なんの言語なのかしら?」


は?読めないだと?俺が読めたのでこれも普通に使われている言語なのかと思ったがどうやらこの本の言語は少なくともこの国では使われていない言語らしい。


うーん。どうするか。俺も自分の魔法の勉強したいからユリアの指導にあまり時間を懸けたくないからなぁ。


あ、最近開発した魔法がある。


早速俺は〈無属性魔法・並列思考〉を使う。


これは、〈無属性魔法・思考加速〉の魔法陣を弄っていたらたまたまできたオリジナル魔法だ。この魔法により俺は〈脳内図書館・小〉で勉強しながらユリアに魔法の指導をすることができる。


我ながら完璧な作戦だ。


「わかった、ユリア。俺が読むから分からないとこがあったら言ってくれ。」


「え!つきっきりで教えてくれるの?」


「ああ、もちろんだ。」


「わーい!さすが、ソロモン!」


そう言ってユリアはまた抱きついてくる。


まあ、つきっきりというのは嘘ではない。


そして、勉強をしていくと3時間後にはユリアが言語を覚えてしまい、各々勉強するような形になったのだった。


◇◆◇


6時間後……


「殿下、そろそろお時間です。」


そう言って部屋の外からユリアの護衛だろう騎士の声が聞こえてくる。


「うぅ。もう帰らないといけないわ……」


ユリアが少し名残惜しそうにいう。


「どうせ明日もまた来るんだろ?それなら早く帰って明日に備えとけ。」


「そ、そうね。それにしても魔方陣やら紋様やら覚えるのですっごく頭が痛いとだけれど。これ一冊覚えるのに何年かかるのかしら。下手したら10年以上かかるわね。」


「まぁ、俺は……いや何でもない。」


ここで、2年で覚えたとか言ったらかなり異常なやつに思われてしまう。まぁ、もう遅いかもしれないが。


「むぅ。何を隠してるのよ!」


「あ、いや、俺は一度見たら忘れない体質だからさ。」


「え!?なにそれ!そんなのずるいじゃない!!ずるいずるいぃ〜!」


いや、あなたの魔素が視えるのとか十分ズルいよ。人のこと言えないよね?


「殿下、そろそろ。」


どうやらもうお帰りの時間のようだ。


「ほら、ユリアもう時間だ。また明日来い。その本持って帰ってもいいぞ。」


その本は、俺が写本したやつだからな。


「ほんと!ありがとソロモン!それじゃまた明日!」


「ああ、じゃあな。」


そうして、俺の部屋はまた俺1人になり静寂が訪れた。


ユリアは騒がしいやつだが一緒にいて楽しいやつだ。


あまり邪険にするのも良くないなと思った。


「あら、ソロ!ユリアちゃんはもう帰っちゃったの?」


「ああ。」


「あらあら、そうなの。今日の夜ご飯はお赤飯を用意したわよ〜。」


その日の夜ご飯は本当にお赤飯だった。





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