第1章 ギフト 第1話 物語の始まりは
第1章の始まりです!
物語が好きだ。
英雄が悪者を倒す話。
才能の無いものが努力をする話。
悪魔と契約する話。
勇者に捨てられる話。
魔王になる話。
異世界に転生する話。
どれもこれも夢がある。
誰かに夢を与えれる。
今読んでいる物語も、才能のない人が急に力を手に入れて英雄になる話だ。
ぼく、蒼谷創始が生きている世界では、15歳になると新世界Yggdrasillへ旅に出ることができるようになる。
詳しくは知らないけど、ぼくが生まれる前にできた世界らしい。
それと同時に、今の世界をLiveと呼ぶようになった。
そして、初めて新世界に行く時に新世界の神様から貰えるギフト。
そのギフトがあれば、物語の英雄にもなれる。
ぼくは明日、その新世界とやらに初めて行く。
「ソウシ!〈ドゴオォォン!〉あれ、扉があかない!」
ぼくの部屋の扉から…腕が生えている。
腕の先には取っ手が付いていた。
「よいしょ!〈バリッ〉邪魔だなぁ〈バリバリッ〉あ、おはよう!扉壊れてたよ!」
「…壊したの間違いだよね。」
「やだなー、俺程度がさわって壊れるぐらいだし、壊れてたんだよ!」
朝から軽快にぼくの部屋を破壊して現れたのは、同じ寮に住む佐藤健斗。
「いやいや、ケントさ、昨日ギフトもらったの覚えてる?」
「……あ、やべっ………この扉はすでに死んでいた!!」
「いまやべって言ったよね!!」
ケントのギフトは怪力で、名前の通り力が強くなるらしい。
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ギフト「怪力」
怪物のような力を使うことが可能。
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「あれほど制御は意識することって注意されたじゃないか!部屋のドア壊すとか、ぼくが怒られるんだよ!」
「力の調整難しいんだよ、ソウシもギフトもらったらわかるよ。」
そしてこのギフト最大の不思議…
新世界で与えられたギフトが、こちらの世界でも使えること。
「まさに物語だな…」
「なに言ってるんだ?ブツブツ言わずに、ご飯食べにいくよー。」
「扉ァ!!」
この後、扉が壊れた音で心配になり、ぼくの叫び声によって現れた管理人さんに一人だけ怒られた。
管理人さんは途中途中に「君がしたんじゃないのはわかってるんだけどね…ごめんね、わたしにも…」と挟みながら怒っていたが、わかっていても周りの目もあり、怒らないといけない管理人さんと被害者なのに怒られるぼくという不思議状況になっていた。
10分後管理人さんから解放され、食堂に向かうとそこには壊れた扉らしきものが散乱しており…
ケントが火の玉に囲まれていた。
「ケントさん、扉とはどの様に使うかご存知ですか?」
「知ってます、存じてます、把握してます!!」
「ではなぜ扉がボロボロになっているのでしょうか。」
「その扉はすでに死んでいた!素手で壊れただけに!」
〈ブチッ〉
ケントを中心として円を描く様に火の玉が回り始めた。
「やめっ!熱い!熱いよ!やめアッツ!!」
火の玉メリーゴーランドの完成である。
ケントがまた扉を壊したのはすぐにわかったが自業自得だ。
ぼくの部屋の扉も壊して逃げたのだから。
因みに、火の玉を操っていたのは1年先輩の片桐鈴音先輩である。
ギフトは知らないが、きっと火関係であると思う。
本来他人にはギフトを教えることは禁止されている。
ケントはわかりやすいから怪力ではないかと言われているが、実は…
もらえるギフトはひとつとは限らない。
もらえるギフトの個数と呼び名
1個 シングル
2個 ダブル
3個 トリプル
4個以上 マルチ
普通は1から2個もらえる、4個以上はレアとされている。
ギフトは後から追加されることはない。
ぼくが今居る寮は、生まれた時に検査を行いトリプル以上の可能性がある人が集められ、それ相応の教育を行う機関の寮となっている。
なぜその様な機関があるのかというと、新世界には物語のようなモンスターやダンジョンが存在する。
そのダンジョンにはLiveでは作れないオーバーテクノロジーのアイテムが存在するため、それを取得し解析を進めるために優秀になりゆる人を集めている。
さらに、Liveでギフトが使えるという事はギフトによる犯罪が少なからず存在する。
それを抑止するための機関でもある。
「カタギリ先輩、おはようございます。」
「ソウシさん、おはようございます。」
「ソウシ!カタギリ先輩に止めるように言ってよ!不可抗力だって!」
「カタギリ先輩、うちの扉の分もお願いします。」
「承りましたわ」
「アッ!アッ!アーーーーッ」
ケントの叫びをバックに朝ごはんをチョイス。
和風定食A
鮭 味噌汁 白米 納豆 ほうれん草のおひたし
和風定食B
タラコ 味噌汁 白米 タマゴヤキ ほうれん草のおひたし
洋風定食C
ナポリタン オニオンスープ
肉肉肉
ステーキ トンカツ 山賊焼 白米
相変わらず、極端なメニューがひとつだけある。
この間は魚魚魚だったきがする…。
まぁぼくはいつも通りの、
「和風「和風定食Bか?」びぃ…」
「………?違ったか?」
「正解です。おはようございます、アカミチ先輩」
いま話しかけてきたのは赤道直広先輩で、趣味がにんげ…
「俺の趣味は人間観察だからな…」
「人の心を読まないでください。」
「読心はしていないが、予想はする…予測の積み重ねを行い未来を予測する、修練とは常に考えること…」
「………」
「……?」
「…アカミチ先輩もご飯ですか?」
「いや、私はもう食べ終えた所だ。今からあの火の祭典に赴き、人間観察だ…」
「あー…あのメリーゴーランドですね、頑張ってください。」
「………!」
アカミチ先輩はサムズアップをしながらカタギリ先輩作、ケントの火の玉メリーゴーランド会場に消えていった。
消えていったと言う例えではなく、本当に消えていった。
きっとアカミチ先輩のギフトなのかな。
食事を終え、同学年が集められる部屋に移動した。
ぼくが入っている寮は、15歳まで年齢で分けて組み分けされており、15歳でギフトをもらい、来年のテストによって改めて所属先がきまる。
すでにギフトをもらっている人は自主練を行なっていたり、他人に自慢をしたり、勝手に順位付けをしていたり好き勝手している。
ちなみに人気ギフトは、
武力アップ系
知能アップ系
生産系
この3つのジャンル。
昔英雄と呼ばれた人は
剣帝 魔法:火 身体能力強化 魔法:光 魔法:魔法剣
四種類以上、マルチのギフト保持者と言われている。
やはりその人も何のギフトがあるかは、死んでもわからなかった。
しかし、DNA情報の解析が進み、その情報から英雄と似た数値をもつ人を判別できるようになった。
我こそは次の英雄に!
その思いはみんな持っている。
もちろん、ぼくも英雄に憧れる。
明日にはぼくもギフトをもらい、みんなと同じ物語の世界の仲間入りする。
トリプルかな、もしかしたらマルチかも!!
複数のギフトを使い、ぼくも物語の英雄になるんだ!
そして当日…
ぼくは15歳になった。
ぼくは物語が好きだ。
「ソウシ君、準備はいいかい?」
白衣の男は、ぼくにそう話しかけた。
英雄が悪者を倒す話。
「はい!大丈夫です!」
才能の無いものが努力をする話。
「新世界に着いたらまずは〈ギフトオープン〉と唱えるんだ」
悪魔と契約する話。
「はい!」
勇者に捨てられる話。
「唱えるとソウシ君のギフトが確認できる。効果については書いてないから自分で確かめるんだ。」
魔王になる話。
「わかりました!」
異世界に転生する話。
「いってらっしゃい」
どれもこれも夢がある。
………アクセス権限を確認
……初回アクセスを認識…
データベースへ情報を登録………
12%
24%
…………
92%
100%
………Yggdrasillへアクセスします。
誰かに夢を与えれる。
青い空間に、女性が一人。
複数の端末を操作しているようだ。
「はじめまして、あなたのお名前を教えてください。」
そして、物語が始まる。
もしよろしければ、評価、感想お待ちしてます。
書きだめをしていないので、モチベに直結します!