↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/24

国家非常事態

こんにちは、薬師実です!

コミュニティに入り込んだ主人公たちは、どのように行動していくのか!?

お楽しみください!

 俺たちは休憩所に案内され、ここの一室を借りることになった。


 「本当に食料を取ってきてあげなくて良かったのか槙野?」


 小野寺が話を切り出す。


 「逆に聞くがお前はあの十数人の面倒を一生見ることが出来るのか?」


 「槙野!? 一体何を⋯⋯ 」


 このお人好しめ、この状況で人を助けるなら一生面倒みるくらいの気概(きがい)が無いと中途半端になるに決まってんだろうに。


 「今回だけの話なら俺は考えていたかもしれない、けど、ここで俺らが食料を取ってきてしまったらそれこそ大変な事になる」


 「槙野くん、大変な事って?」


 「あいつらは自分で行動する気なんてまるで無い、いつまで面倒を見る気だ? 明日? 一週間後? 一年後?」


 「おいおい、そりゃ大袈裟じゃねえのか? あいつらだって立派な大人なんだし、いつまでも頼ってるなんてあり得ねぇと思うんだが」


 「本当にそうかな? 誰が命の危険を冒して、俺たちに任せろ!って言うと思うんだよ、頼れる奴がいるならそれに依存し続けるに決まってんだろ」


 「ん、光の言うとおりかもしれない、救助がいつになるか分からない以上、いつまで力を貸すのかの目安が推測出来ない」


 「美遊先輩!? 槙野くんのこと光って! 名前で!!」


 「ん、光は光、何か間違ってる?」


 「そうですけど、そうじゃ無いんです〜!!」


 二人の事は放っておいて、俺は話を続ける。


 「そういうことだ、あいつらが俺たちに依存しようとする気がある限り、俺は手を貸さないことにする。望月先輩と小野寺と中山はまだ飯食ってないだろうし、今のうちに食っとけよ」


 「おー、お前の事だから俺たちにも飯はやらねぇ!って言うと思ったぜ」


 「お前たちとは協力していきたいと思うし、いざという時動けないんじゃ死ぬ確率が高くなるからな」


 「素直じゃないな槙野は」


 「とにかく話は終わりだ。 ところでスマホを持っている奴はインターネットが使えるか確認してほしい、情報を集めないといけないからな、インターネットが使えないならラジオだ、放送局が生き残っているなら何か政府からの情報が聞けるかもしれない」


 俺は休憩所から出ることにした。スマホの電源を入れ、ラインや着信履歴を見るが家族からの連絡は来てはいなかった。外にゾンビがいる状況では、公衆電話も使いにくいという事実に今頃気づいてしまう。


 「美乃梨の奴は大丈夫なのか⋯⋯? あいつはちゃっかりしているところがあるから、何とか生き延びてると信じたいが⋯⋯、 それに母さんと父さんも⋯⋯ 」


 スマホを開くとインターネットに繋げることが出来た!つまり、今は日本中にこの騒動が起きていないという証拠にもなり、電話基地局がまだ生きているという事になる。しかし、家族にラインや電話をかけたが一向に繋がる様子は無い。


 俺は3ちゃんねるやツイッターを開くと、籠城していて身動きが取れないやら、レジの金を盗み放題だとかのログが流れている。ようつべを開くとゾンビと戦ってみたやら、ゾンビのいる地域に潜入してみたなどの動画が急上昇していた。


 俺はケータイを見ながら、情報を検索しようとすると数人の男子学生に囲まれる。バールは置いてきたし、どうするかな。


 「どけよお前ら、俺は暇じゃ無いんだけど」


 「お前が食料渡さねえって言ってた奴らしいな? ちょっとツラかせよ」


 「食料が無いなら自分で取りに行けばいいだろ、この根性無しどもめ」


 「んだとこらぁ!」


 一番前にいた男子学生が殴りかかってくる。俺はひょいと交わして、足をかけてやると面白いように転んでいく。


 「痛え!」


 「予備動作が分かりやすすぎ、腕振りかぶりすぎ、重心が前に倒れすぎで全然なっちゃいないな」


 「てめえ調子乗ってんなよ!」


 ガタイのいい男子学生が掴みかかってくるが、カウンター気味に中段に突きを入れてやる。


 「ごはっ!」


 「腹殴られるのが分かったら腹筋を締めろ腹筋を」


 「ぶっ殺す!」


 最後の男子生徒に腕を掴まれるが、すぐに手首の関節を極めてやる。


 「いだだだだだ!!」


 「お前ら俺が一番弱そうだから数人で絡んできたんだろ? 言っとくけど素手の喧嘩ならあの二人にも負ける気がしないよ俺は」


 運動能力面ではあの二人に劣るが、技術面では負ける気がしない。俺が厨二病こじらせて入った拳法部の三年間舐めんなよ。


 「お前たち何やってんだ!! すぐに喧嘩を辞めるんだ!!」


 すると騒ぎを聞きつけた長澤先生が喧嘩の仲裁に入る。俺は関節技を極めていた奴の手を離してやる。


 「槙野くん一体どうしたんだ、なんでこんな事を」


 「こいつらがいきなり絡んで来たんですよ、俺が一人になったのをいい事にね」


 「そいつが食料を渡さねえから俺たちは⋯⋯ 」


 男子学生達は息を荒げながら苦しそうにしている。


 「よく言うよお前ら、自分一人じゃ何も出来ないで、つるんでばっかいるからそんな事なってんだ」


 俺は今まで一人で問題について向き合っていたため、一人でどうするか、何が出来るかを把握している。でもこいつらは一人で何かをするという事は無かったのだろう。その結果がこれだ。


 「長澤先生、食料を取りに行くつもりなら情報は渡しますよ、けれど俺に出来るのはそこまでです」


 「そうか⋯⋯、 確かに君たちにだけ頼る事は出来ないな! ゾンビの情報を教えてくれるかい?」


 俺は長澤先生に上迫さんとの実験の結果を伝える事にした。おそらくすぐにでも彼らは食料を調達するためにラウンジへ向かうのだろう。俺は休憩所へと戻っていった。



 「おい槙野、おめぇ三人相手に喧嘩したんだって? 漢らしいところあんじゃねえか」


 あんなのは喧嘩とは言わない。ただ降りかかる火の粉を払っただけだ。


 「ところで何か情報は入ったのか?」


 すると小野寺がラジオをこちらに持ってくる。


 「ちょうど今から政府委託による公式放送が開始されるところだ、みんな集まってくれ」


 俺たちはラジオの前に集まる。


 『本日正午に、内閣総理大臣が国家非常事態宣言をし、日本の全空港を封鎖。自衛隊へ治安出動を命令しました。専門家によると治安出動には二十日以内の国会の招集が原則ですが、事後承認も可能との意見も出ています。現在、この暴動は干葉県(ひばけん)鳴田(なりた)空港を中心とする半径15km内を中心に発生しているとの事です。twitter などのSNSによると干葉県中部でも同じ暴動が起きているという情報が発信されました。当該地域にお住まいの皆さまは、窓を施錠し、屋外に出歩かないようにしてください。まもなく、自衛隊による暴動鎮圧が開始されます』


 「やったよ槙野くん! 自衛隊の救助が始まるんだって!! 私たち助かるんだよ!!」


 「ん⋯⋯、 これでいつも通りになる」


 「んだよ、呆気なかったなあ、これで平凡な日常に逆戻りだぜ」


 「いい事じゃないか、それは死んでしまった人たちに対して不謹慎だよ」


 全員の声音は明るくなる。対して俺はこの鎮圧がうまくいくのかを必死に考えていた。


 どうやら空港の封鎖は成功したらしい、上手くいけば島国は助かるかもしれない、けれど本島でのこの騒動がそう簡単に収まるのだろうか。それにアメリカは壊滅状態なのだ、日本の初動が良かったとは言えこのまま終わるとは思えない。


 「槙野くんどうしたの? もっと喜ぼうよ!」


 「いや、自衛隊は本当にゾンビを倒せるのかなって思って」


 「どういう事だ槙野、俺にも分かるように説明してくれ」


 俺はこの場の全員の注目を集めながら話をする。


 「なら聞こうか、自衛隊とゾンビ、数が多いのはどっち?」


 「えーと、自衛隊って何人いるんだっけ⋯⋯ 」


 「ん、自衛隊の総数は全国で約22万人」


 「このまま干葉県全域にゾンビが溢れて、人口614万人の八割がゾンビになったとすると?」


 「491万人⋯⋯、 自衛隊一人当たり22人のゾンビだって!?」


 「単純計算だとそうなるな、自衛隊は団体で動くだろうが、普通に考えて一人が22人のゾンビを相手に出来るわけないだろ。 それに、自衛隊が成和空港周辺を制圧しようとしている間に、ゾンビはどんどん数を増やしていく、このままいけば本島はゾンビだらけになるだろうさ」


 休憩所内には一転、重い雰囲気が漂う。しかし、この事実を受け止めなければならない。日本より軍隊の質や量も遥かに良いアメリカでさえ急激なスピードで壊滅へと向かってしまったのだから。


 「ま、そうだろうとは思ったぜ」


 中山はふんぞり返りながらバットを上に掲(かか)げる。


 「で、どーすんだよ隊長サン、何か策はあんのかね?」


 隊長とは俺の事だろうか。


 「一番の解決方法は時間だ、日本⋯⋯、 いや本島にいる人間が限りなく少なくなって、ゾンビどもの餌が無くなれば、奴らは栄養を取れなくなって死ぬ。 映画のように何年も生きているなんて事はあり得ない。 体を動かすにはエネルギーが必要だし、エネルギーを得るには食べなきゃいけないから」


 「なら私たちはゾンビが入ってこなくて、長く暮らしていける場所を探せばいいって事だよね!」


 上迫さんがガッツポーズをする。


 「ん、私もそれに賛成」


 「ははは⋯⋯、 簡単に言ってくれるね全く」


 「要はゾンビどもの頭をかち割ってやりゃあいいんだろ」


 室内は再び明るい雰囲気になる。言うは易し行うは難しって奴だけどな、言った本人が言うことでもないか。



 「イヤ! 放しなさい!! もうこんなの嫌なのよ!!」


 突然の叫び声に俺たちは固まってしまう。それは中の方から聞こえており、俺たちは状況を把握するべく声の方向へ向かうのであった。

今回も読んでくださりありがとうございます!

これからもサイハテの先へをよろしくお願いします!!(^O^☆♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。