空色狼
しかし、凄く綺麗か。確かに、なんとなくではあるが凄みのようなものが、その後姿からでも伝わってくる。どんなものでも一線を越えると、不気味さが漂ってくるらしい。この世ならざる美しさ、とでも言えば良いだろうか。幻術で感覚を狂わせる女郎蜘蛛やセイレーンなどとは、根本的に何かが違う。墓狼に取って、美しさとは副産物にしか過ぎないのだろう。特に、腰から腿にかけての、程好い丸みを帯びている部分に、自然の神秘を感じる。
そのとき俺は、神は存在するのだと悟った。
「けれど何故、こんな寂しい山の中を、お一人で?」
俺が一人静かに悟りの境地を噛み締めていると、前方を歩いている女が静かに語りかけてきた。
「旅の途中ですか? それとも、この地に何か御用でも?」
いきなり核心を突いてくるか。表面的には自然な質問のように思えるが、これは一種の誘導尋問だな。ここで適当に肯定してしまえば、次に飛んでくる質問は「何故、こんなところを旅しているのか」だ。目と鼻の先に魔の領域がある地域は、お世辞にも観光に向いているとは言えない。学者を装うには、背格好が合わない。道に迷ったは、そもそも何処に行く気だったのかと。
どうやって誤魔化そう。あまり会話の間を開けたら、余計に怪しまれる。
「旅と言えば、旅かもしれません。人は誰しも常に孤独で寂しいものであり、生きると云う旅路の途中にあるのですから」
人生、山あり谷ありだからな。これは上手いこと言えたと思う。名言として後の世に遺そう。
「あら、やだ。それ、上手いこと言ったつもりですか?」
キツイこと言うんだな。ちょっとだけ傷付いたぞ。ちょっとだけ。
「……貴女こそ、こんな時間に、こんな山奥で何を?」
「私は薬師をしておりまして。里より離れた山奥の方が、様々な薬草が手に入りやすく、都合が良いのです」
「土が違う訳でもなし、採取して栽培すれば良いのでは?」
「日当たりが違うのです。あと、水も」
えらく、特定の環境下でしか生きられない植物だな。是非、見てみたいものだ。
●
そんな調子で無秩序な会話を続けながら、数分は歩いただろうか。疾うに峠道からは逸れ、道なき道を進んでいた。足元は比較的平らで、あまり草も生えていないから、歩き易くはあったが、日当たりが好くないため、陰鬱で物淋しい道程だった。その割に目立つ木々も少なく、何やら妙に開けていて、落ち着かない。
……そうこうしている内に、その空気に圧されるように会話も途切れ――こちらが警戒しっ放しだったからでもあるが――ただ女が前を歩いて、俺が付いて行くだけになっていた。
この状況に既視感を覚える。と云うより、つい先日のことだから、思い出すまで間もなかったが。まぁ、少なくとも、イリーシャよりかは会話は弾んだと思う。弾ませる必要もないけどな。これは、俺とエルゲネコンの距離が、少しは縮まったと受け取っても宜しいのだろうか。あるいは、もう食われた後なのかもしれない。
本当の俺は昨日の内に死んでいて、今見えているのは、死後の夢なのかと……。
はたと、何もないところで女の足が止まる。それは、俺の思考が無意味な妄想で止まりかけたのと、ほぼ同時だった。
「ここが私の家です。どうぞ、お入り下さい」
んっと、目を凝らしてみる。と、随分、ファンキーで小ぢんまりしたロッジを発見した。
まず目を引くのは、玄関扉の上にある鹿の頭の剥製だ。こう云うのを、確かスタッフド・ヘッドと言うのだったか。いや、これが自ら狩ったものなら、ハンティング・トロフィーになるのだっけ。まぁ、それは良い。こう云う森の深くにあるロッジなら、自然なことだ。
だが、それ以外のことに関しては、このロッジはイメージとは、あまりにもかけ離れていた。
壁や柱が木の趣を残しているところは、中々良い趣味をしていると思う。それに苔や茸が生えているのも許そう。蜂が巣を造っていても構わない。蔦が這っているのも涼しげだ。どう考えても現在進行形で、ぐんぐん伸びている木が大黒柱になっているのも、もう斬新で前衛的な何かだと割り切れば、味があって良いような気がしてくる。ロッジの周囲に色取り取りの小さな花が咲いているのも可愛気だし、それに蝶や何やらが群がっているのも微笑ましい。だが、しかしだな、これは、どうしたものか。
「どうやって入るんだ?」
訂正しよう。小ぢんまりと云う話ではない、人が入るにはあまりにも小さい。下手をすれば、玄関口の上に引っ付いている鹿の剥製の方が大きいのではないかと思う程の大きさだ。苔と蔦と蜂が領地の取り合いをしているところに、どかんと木が貫いていてだな。
蜂も、このミニチュア・ロッジではなく、そこの木の方に巣を造れよ。あまりにも巣が大きくなりすぎて、下の方が地面に付いてるし、蔦が巣に絡まり放題だぞ。
いや、ちょっと待てよ? 今こいつ「ここが私の家です」などと言いませんでしたかな? どうやって棲む気だよ。いや棲んでるんだよ! あれか? 蜂に「邪魔すんでぇ」とか言いながら同居してるのか? 蜂の巣に居候とか、何そのキャッチコピー。全然、心がキャッチーされないのだが。
「……ああっ! 言われてみればっ!! やだ、どうしましょう!」
言われなければ気付けないことだとは、思えないのですけど。もしかして俺が間違ってます?
「仕方ないですね……」
仕方ないな。何が仕方ないのか分からないが。
「それでは仕方ないので、少しだけ目を瞑って下さいませんか?」
何に目を瞑れと? 現状に、と言うなら、別に瞑っても構わないが。問題は何も解決されないぞ。
「目を閉じて下さい。少しの間で済むので」
「接吻か?」
空色の女が微笑む。
「して差し上げましょうか?」
その笑みに、殺気が込められているような気がした。ここは潔く、目を瞑った方がいいのだろうな。
●
それは何処かの室内だった。
ピンキッシュでポップな世界は、ここが山中であるとは思えないものだった。実際に……山中ではないのかもしれないが。
「わー、どうやって入ったんだろー」
「それは、少し目を瞑ってくれると、ありがたいです。マジックのタネは明かされないから、意味があるのです」
これは手品なのか……? いやまぁ、魔術なのかな。正確には、幻術かもしれないが。似たようなものか。
そこには淡黄色のモダンな丸机と、それとお揃の椅子が二脚。家具らしい家具はそれのみで、生活用品らしい生活用品も、何一つとして見受けられなかった。
その代わり、あまり可愛くもない無数の置物が、壁一面に広がっている。あるものは五寸釘で打ち付けられ、またあるものは不格好な棚の上に、雑然と積まれている。猿だ。それは全て、眼鏡をかけた猿の形をしていた。恐怖に慄いているのか、それら両手で目を覆い、耳を塞ぎ、そして口に蓋をしていた。よく見ると、幾つか鳩時計らしきものも存在したが、針の数が多かったり少なかったりで、時計としての機能は皆無だった。そして、そこにいたのは鳩ではなく、これまた眼鏡をかけた猿だった。
「可愛らしいでしょう?」
何が。と言葉にしかけて、呑み込む。
もう一度、猿たちに目を向ける。……ふむ、言われてみると、そんな風に思えてきたかもしれない。単純接触効果かな?
にしては、スパンが短いような気もするが、気のせいだろう。気のせいと云うことにして置こう。その方が幸せだと思うから。
「どうぞ、座って下さい」
俺の前に、女が椅子を落とす。
俺は女との間に机を挟み込むようにして、腰掛けた。
向い合っての沈黙が続く。居心地が悪い。
ってか、茶も出さないつもりなのか。まぁ、良い。出されたとしても、口など付けないだろう。今、口にすべきは、何かの言葉だ。
そう思い、言葉を紡ごうとした次の瞬間――
「そう云えば、まだ名前をお訊きしていませんでしたね。伺っても宜しいですか?」
……こいつ、俺がしようとした質問を。
「ダレンだ」
「ふぅむ、よく分からない名前ですね」
普通、初対面の人間にこんなことを言うものはいない。
「……ダレンは本名ではない」
逸らかしても無駄だろう。執拗に追求されるのも面倒だし、種明かしはしておこう。
「あらあら、私のこと警戒してます? 今の時代、名前程度の情報が分かったところで、アドレスまでは辿れませんよ」
この空色は、今までの応答だけで、俺の精神の有り所を大まかには掴んでいるか。そして、その結果と名前に食い違いが見えたから、こう言ったのだろう。怖ろしい奴だな。
これは油断していると、食い殺されるな。
「私は少数民族の出でね。エガリヴでは、この名で通っているんだ」
ここはなんとしても、本名を教える訳にはいかない。検索されたら、場所がバレる。防御の意味で、こちらも攻勢に出てみるべきか。
「貴女のお名前は?」
「アセナです」
あっさりと答えられてしまった。
その声には、嘘や偽りの色がなく、驕っていたり、油断している様子もなかった。ただ単に、訊かれたから答えただけ。それ以外に意味はなく、それ以外のことを考えようともしなかったらしい。
余程の自信があるのか、もしくは、名前など他称でしか成立しないものだと、割り切っているのか。
どうにかして、問答の内に隙を見出さなければならない。こいつが何をして、何を企み、何をし、何をしようとしているのか。しかし真の探り合いは、相手に探られていることを悟られないようにすることから始まる。既に、こちらが探り倒した後だけあって……分が悪い。
次の言葉が見付からない内に、また相手が喋ることを許してしまった。
「けど、本当に危ないんですよ? かなり以前のことですけど、この山脈を越えようとした旅の人が、熊に追い立てられたこともあります。ここは、そう云った危険なところなんですよ。そのときは、私たちが人里にまで案内して差し上げたんですけどね」
しかし、こいつは何を企んでいるんだ? こちらの出方を伺っているのだろうか。それとも、正面切って俺を食い殺すのは危険と考えて、隙を見出すために、俺を誘い込んだのか。なら今は、お互いに相手の出方を探っている状態なのだろうか。
「貴女こそ、こんな暗い森の奥に一人で住むなど、あまりに危険では?」
狼に襲われるかもしれませんよ?
「私には、家族がいますから」
「家族?」
「はい。沢山いますよ」
きっと大所帯なんでしょうね。
「しかし何処に? そんな陰、全く見当たらないが」
足跡以外はな。
「今は、遊びに行ったり、狩りに出かけています」
「こんな人の寄り付かない深い森と山の中を? 厄介な獣も彷徨いているだろうに」
例えば、狡猾な狼とか。中々、隙が見当たらない。
「大丈夫ですよ。私の家族は、それは立派な武器を持っていますから」
「その武器には興味があるな。それは、どんなものですか?」
「鎖で編まれた鎧をも貫き通す、鏃のように尖ったものです」
まるで牙のようですね。
「それは槍衾のように並んでいて、敵を気後れさせるのだろうな」
「いいえ、それが向くのは敵ではありません。それは明日のご飯ですから、苦しまぬよう、止めに使うのです。敵ならば、悪戯に用いるのは、肉を抉る鉤だけで事足ります」
まるで爪のようですね。
「悪戯とは、また怖いことを言う」
「この辺りで、私たちに敵うものなどいません。ですから、悪戯でしかなくなるのです」
この物言いは、俺を気後れさせ、動揺させる魂胆か? だが、お生憎だな。そう簡単に、隙を作るような教育は受けていない。我が恩師には、人喰い狼もいるのでね。そんな脅かしには慣れている。
「ほら、熊だって、人を襲うことがあるでしょう? けど、人の味を知らない熊は、捕食のために襲うのではありません」
幼子を説き伏せるような色で、赤子を愛でるような顔で、空色の女は言葉を続ける。
「始めは熊も、少し怖かったと思うんです。だから、ちょっとだけ指先で突いてみる。そうして『ああ、人間は熊より弱いのだ』と思うと、忽ち、もっと人間が知りたくなって来る。だから悪戯に、その指先や舌で遊び出すんです」
まるで、自分は遊ばれる側ではないと言うかのように。
「熊の心境にお詳しいのですね」
「知り合いに、熊がいるものですから。つい昨日、鍋にされかけたらしいのですけど」
それはそれは……結構なことで。
「それに人間だって、熊とそう大差ないんですよ? 人間なら誰しも、もっともっとって、思ったことがありますよね? 特に、幼い内は。あれと同じようなものなんです」
「なるほど。それでか」
「何がです?」
「貴女はそれで、私のことを知りたくなった訳だ」
「まあ!」
その大胆な言葉は、流石の彼女も予想外だったのだろう。空色の女に虚ができた。俺はその隙を見逃さず、彼女の心に、自分の感覚を滑り込ませる。
「確かに、そうかもしれません。そうですね。もっと知ってみたいです。流石に、熊のように舌を使うことは、ないかもしれませんが……」
心の枝や葉先から、その根までに指を這わす。案外、順調に深層まで……いや? これは、葉先と根の区別がないのか? 常識外れな精神構造だな。基本的な概念すら、遺伝子を持つ生物とは違うとは。おそらく、人類や昆虫、ウィルスなどとは、発祥が異なる存在なのだろう。これでは、多くの術式が……原始術式以外の手段が通用しない。更に、物理的なものからの干渉も受けないときている。やはり、人外は一筋縄では行かないのか。魔族が怯える理由も解る。
「私の子供たちは、その首筋の匂いが気になるかもしれません。癖になったら、どうしましょう」
その言葉にゾクリとして、俺は現実に引き戻される。そこには、柔らかな微笑みを湛える、空色の女がいた。
首筋の匂い。無意識に、緑色の襟のことが思い浮かぶ。
緑襟は、最下位救道者を示す証だ。当然、力も弱い者が多く、未熟で壊れやすい存在。俺は例外だが、それが悪戯の対象になった日には、もはや命はないだろう。
これは脅しか。
こう云うとき、俺の特技がポーカー・フェイスで良かったと思える。危く、唾を呑みかけた。自身を悟られることは、そのまま死に直結する。
「それで――」
俺は余裕を示そうと、口を開く。
「私に向くのは鏃だろうか? それとも鉤だろうか?」
「まあ、面白いご冗談」
空色の女は、くすくすと笑う。今度は、虚が生じる隙など皆無だった。
「冗談が好きでね」
それどころか、こちらが入り込まれそうな程だ。麦穂のようなものが、ビシビシと俺の肝を打っている。
「他には、どんなものが好きなんですか?」
「さぁ、いきなり言われても直ぐには思い付かないが、そうだな……」
慄いてはいけない。この際、虚勢でも構わない。嘘から真に転じることもある。虚勢の殻で、自分を覆ってしまえ。
「最近は頻繁に、化物退治などをしている。化物退治が好きな訳でもないが、嫌いでもない。寧ろ、人々に感謝されることは、喜ばしくもある」
「あらあら、それは危険なことをなさっているのですね。今まで、どんな化物を退治して来られたのですか?」
空色の女は、全く意に介していないようだ。こちらの焦りが伝わっているのか? ……獣は敏感だからな。だからと云って、ここで虚勢をやめる訳にもいかない。要望もあったことだし、応えてやるのが礼儀だろう。
「一番の大物は、ドラゴンだな。その次は獣の群を相手取り、巨大な殻と鋏を持つ水生生物と、人語を解する馬などを……。列挙していけば暇がありませんが、代表的なところは、そんなところか」
「その中で、最も梃子摺ったものはなんです?」
「やはりドラゴンだな。あとは軒並み雑魚でしかない。それは、これからも」
自信を持つことは、精神の安定には大切なことだ。
「ドラゴンの鱗は硬かったでしょうに」
空色の女は、余裕綽々の声。ドラゴンなど、お前の敵ではないのだろうな。
「鱗など、大したことはありませんよ。狼の狡猾さに比べれば」
「あら、相手取った獣の群とは、狼の群のことですか?」
「いや、それは岩礁に巣食う鳥人間のこと。狼と云うのは、今、狙っている獲物です」
「へー……狼」
露骨な刺が見えた。声や態度から、その笑みにすら現れていた。その様子が、少し面白く思える。
「ええ、なんでも、世にも珍しい空色の狼らしい。脚は四本。体躯は牛よりも大きいが、猫のように伸びやかに跳ねる。口には頬がなく、鼻先と耳は尖がりで、尻尾は麦穂のよう。毛は夜でも映える空色で、瞳は星の如く煌いているそうだ」
「不思議な狼ですね。一度、拝見してみたいです」
「案外、近くにいるでしょう」
「でしょうね」
否定しないか……。
「もしかして、この山には狼を狩りに?」
「ええ、この辺りに寝床があるのを掴んだのですが、そこから中々、達者な狼のようで」
「それは、私としても心配になりますね。狼は狩猟者ですから――」
「ドラゴンも狩猟者では?」
「いえ、違うでしょう。ドラゴンは群を作ることはありませんし、糧を得るのに策を弄しません。ですから、英雄譚に憧れた人々が、単身でドラゴンの巣に潜り込んでも、これを討つことができたのです」
今から約二百年程前の時代。増加傾向にあった人類は、あらたな居住地を求めて前人未到の地へを踏み入った。そのとき、彼らの前に立ちはだかった存在に、ドラゴンがいる。
卵から還った直後から生態系の王者であることの多いドラゴンは、基本的に群れることを嫌って、入り組んだ山や谷、洞窟に樹海などの奥深くに居を構え、幾多の外敵を寄せ付けず、財宝と知恵を秘匿しながら、その地にいつまでも居座る存在だった。そんな龍を討伐し、財宝と知恵を持ち帰る人は、大変な誉れになった。
タルナドの民も、龍から知恵を取り出した人々の末裔なのだと聞かされている。そうやって、古代文明が滅んだ後の混乱期を生き抜いたのだと。
「ですが、そんな人たちが最も恐れたのが、狼でした。何故だか解りますか?」
「策を弄するからでしょうか? 狼は狡猾だと聞いていますから。しかし獣の策など人間には――」
「策は手段の一つにしか過ぎません」
空色は笑みを浮かべている。先程のような刺のある笑みではなかったが、その声には未だ、鋭い何かが潜んでいた。
「狼が最も得意とするのは、連携です。他の肉食生物のように、ただ数で襲いかかるだけとは違って、指揮を執る役割のものがいます」
帝国軍の調査では、指揮官の有無で損耗率が九割以上も異なると云う結果が出たと、クリスが偉そうに講釈を垂れていたことを思い出す。
「人間と変わりありませんね」
「ですが、狼は人間にはない武器を、元来から持ち合わせているでしょう?」
今度は声が笑っていた。だのに……目が笑っていない。
「貴方に向くのは、鏃でしょうか? それとも、鉤でしょうか?」
食われるか、悪戯に殺されるか……。
「……キツイ冗談だ」
「好きなんです、冗談」
される側からしてみれば、どちら大差ない。殺す側がどう理屈を捏ねたところで、やっぱり嫌だ。美味しく食べて貰えるなら殺されても良いなんて、とてもじゃないが俺は思えない。そう思える人だけ、どうぞすんなり食べられて下さい。俺は最期まで抵抗しながら、美味しい肉を堪能したいです。
都合が良くて何が悪い。都合が良い生物だけが繁殖し、地に満ちているのだ。遺伝子や生に意味などない。ただ死ぬのは痛くて怖いから嫌で、だから消去法的に生きている。死ぬのが痛くなくて怖くもないから嫌ではない生物など、疾うの昔に絶滅しているだろう。そして、どうせ生きているのなら、気持ち良くいたいではないか。
だから、雑食性の人間としては、こう応えるべきだ。
「牙があるのは狼だけではないぞ?」
次回は来月の11日か18日にあげます。あげられるようにします。
以下、骨々による不規律な自分語り。
どうやら、何人か読者がいるらしい。といっても十数人なんですが。
最近、ユニークアクセスなる機能があることに気が付き、少し震えています。
……遥か遠い昔のことです。義務教育をボイコットしてまで本を読み漁る少年がいました。その少年はある日のこと、パーソナルコンピュータなる文明の利器と邂逅したのです。
少年は、貴重な余暇をめいっぱい使って、手で書き散らしていた雑文や詩などに代表されるイタイ文章を、デジタルな情報に変換し、以後の創作もキーボードをカタカタするようになりましたとさ。
めでたし、めでたし。
と、いかなかったのが現実で。デジタル情報が飛びました、ええ。物理って怖いよね。
※今ではなく遥か昔の話です。
幸い、元が手書きだったとか、他のUSBメモリやSDに保存していた情報は喪失を免れたのですが、そうではなかった多くのエロ画像もとい文章が破滅しました。
さて、これの対策をどうしようと考えていた元少年は、あるときにオンラインストレージなる、新たな文明の利器があることを知ります。
「さっそく使ってやるぜひゃっほい!」
当時、無意味に新しいものが好きだった元少年は、まぁ利用するわけですよ、オンラインストレージを。
それに限界があることを知らずに。
いや、そりゃそうですよ。当たり前じゃないですか。あって当然じゃないですか。
容量限界まで使うなんてことは滅多にないにしてもです、限界があるってなると、ほら、なんか心配になるじゃないですか。それにサービスが終了したのも、結構ありますし。
そんな元少年が「なんか他にねーもんかな」と、思うのは、まあ必然で。
それに、できるだけ多くのところに保存しておいた方が、リスクが分散されますからね。
画像と動画は諦めました。いや、何をって、管理をです。無理です。
なんせ、どんどん膨らんでいくし、その度にHDを買うのも馬鹿らしいっていうかね。だから「特にこれは」ってもの以外は、もう保存しない方向になりました。
雑文はブログに上げることにしました。
衆目に晒すことには抵抗がありましたが、どうせ見るやつなんかいねーよと。他人の覚書みたいなもの読んで喜ぶやつがどこにいるんだ、はははーって。
いたとしても、それは迷い込んだ人で、固定客なんか生まれるわけねーべと。
まあ、いたんですけどね、固定客。極小数でしたけど。
何故それに気づいたかって、わしのブログのURLが某所に張られたからでしてね。それで試しにアクセス解析を導入してみたところ、固定客がいることが判明。
それに気づいたとき「ネットは広大だわ」って、どこかの少佐みたいに呟きました。
そして同時に、そのとき自分がどれだけ自分のブログを読んでくださっている数人の方々に失礼なことをしていたかと、思い知ったわけです。
だって、読み手のことなんか一切考えてなかったわけですし?
更新もかなり不定期で、毎日のように更新したかと思えば、三ヶ月近くも音沙汰がないみたいなこともやらかしまして、ふと今まで気にもしてなかったコメント欄を見れば「死んだの?」なんて書かれてる。
これはいけない。
たとえ極小数の、両手の指からちょっとはみ出るぐらいのユーザーでも、いくらなんでも、これはちょっと失礼だわ。金にならないこととは言えども。
だから、ここではそうならないように、初めから「読んでいる人がいると思いこめ……!」「最悪の場合を考えて行動するんだ」と念じながら、あとがきとかまえがきを書いていたわけですが……。
いや、普通に飽きる。おままごとしてる気分になりましたわ。
それでも結局、ここでも性懲りもなく、半年以上放置しやがったわけですがね。
それでひとつの形になっている雑文とは違って、これは完成させないと、なんの意味もないというのに……。
そして現在。
「ん? ここアクセス解析がデフォであったのか」(ポチー
「……ユニーク……アクセス……?」
どうも、今月の13~15日に、人が来ていたらしい。黒恐慌の方にも何人か。
はは、なるほど。一ヶ月だもんね。だいたい今まで、月一のペースであげてたもんね。それも土曜とか日曜にね。なーる。
それで先月のうpがバレンタインだったから、この日に次がくるだろうって、そういうね、予想は立てるよね、普通。
無駄足を踏ませて、まことに申し訳ございません。
今後は次話のうp予定日を予告し、可能な限り、その日を遵守します。
遅れた場合は……活動報告書きます。
つまり11日に遅れたら、その日に書くことになると思います。
っていうか、これってそういうことのためにあるんですよね?
初めは「なんでこんなもんがあるんだ……」とか思ってましたけど、今、悟りました。
しかし性根が性根なので、今はこんな誓いを立てていても、将来的にどうなるかは解りません。
けれど、作品を完結させないってことだけは、絶対にないです。私が生きている限り。
何故って、そりゃ、長年の趣味をそう簡単にやめるかって話なんで、そこは保証します。他にやることないですしおすし。
更新が一年以上も停まったら、「あっ骨々、死によった」と思ってください。冗談抜きで、マジで死んでると思います。




