街の中での豹変。4ページ
ボウリングを十分に楽しんだ俺達は、お昼御飯を食べようと大通りに出ていた。ボウリング場があった場所から少し歩いたが、誰の顔も、疲れているようには見えなかった。
白羽も、橘さんも、ボウリングの景品らしきストラップを不思議そうに眺めている。何か感じるものがあるのだろうか。俺にはただ、ボウリングの玉が団子の様に三つ並んでいるだけにしか見えないのだが。
「? どうかした?」
ふと、こちらの視線に気が付いた白羽が声を掛けて来た。
「あ、いや、なんか熱心にそのストラップを見ていたからさ」
急に声をかけられて、慌てて視線を逸らしてしまう。別に悪いことはしていないが、なんかこう、つい。
「ああ、このストラップ? これ、団子みたいに連なっているのに、どこにも串がないなぁって話してたの」
そんな俺には気付かず、ストラップを顔まで持ち上げる橘さん。良かった団子みたいに見えると思ってたのか。
「うーん、これはどうして串が無いのかな?ボウリングの玉だから貫通させるほど強い串を作れなかったのかな……」
そしてストラップをしげしげと眺めながら、もう片方の手を顎に添えてうーむと唸る。彼女のいつもの状態での容姿は、愛嬌のある優等生と言ったところ。深く何かを考えている時は、そんな印象が一層際立つ。さっき白羽さんや本人と話したら実際の成績は残念な事に優等生と誇る程ではなく、俺よりも少し上くらい。当然、白羽にはどうやっても届かない。
今だってまぁ、俺には到底思い付かない様な疑問に頭が振り回されている。
こんなもしかしたら天然が入ってるんじゃないかと疑うような女の子が、怒ったりパニックになったりしただけであそこまで変わるとは。性格や言動のみならず、容姿まで大きく変化する。そこにどんな物理法則が関わっているのかは俺の頭脳如きでは全くわからないが、少し、あの橘さんの事も考える。
柔らかな印象は消え、力強く大人びた容姿、キツイ印象の中に見える悲哀の雰囲気。見るものを寄せ付けない硬い壁があった。
それがどうして、白羽曰く俺には手加減をしてくれるのだろうか。手加減しても怪我を負っている現状を思うと、まぁお守りを指名されている身としてはありがたいが。
「ちょっと思ったんだけどよ」
そんな事を考えていると、健がわざわざ近寄って来た。しかも、小声で話しかけてくる。
「お前、橘さんの近くにいると怪我しやすいよな」
「まぁ、確かにな。場合にもよるが、白羽の言い方だと橘さんが暴走状態になった時に突っ込んでく役割だし」
なんだ、心配してくれるのか? と小声で聞き返せば、健はバツが悪そうに「そりゃあな」と返した。
……流石に健も、あの怪力の近くにいる事に少しは危機を感じているらしい。それでも今日一緒に来たのは、美少女に近づけると言う思いがまさったから。では無いのかもしれない。
ただ、
「でも俺は、もう二人と距離話す気はねぇよ」
「………そうか」




