彼女の豹変への対策。13ページ
橘さんは戸惑った様な顏をせず、むしろ当然の事を言う様に言った。
橘さんは、ストレスを感じていない。
それは、ストレスをストレスと感じていないのか、それとも日常で受ける最低限のストレスしか感じていないのか。とにかくそうなると、ストレス解消、なんて言う方法は意味がなくなってしまう。
ストレスはストレスと感じなければストレスではない。なんて言う人も居るのだ。
俺はガシガシと頭を掻いた。
まぁ、ストレスって考え方も俺の想像だったし、原因が違うってのも分かる。ただ、せっかく前進していたのに、振り出しに戻された気分だ。
「……じゃあ、この考えは無効か。本当、橘さんが変わる理由ってなんだろう」
橘さんと白羽が話しているのをみながら呟く。二人は、お互いに顔を見合わせて居た。
考えてみれば、俺は二人のクラスも知らない。昨日も今日も、白羽と橘さんが俺のクラスに乗り込んで来たんだ。だのにいきなり、橘さんが豹変してしまう事を聞いて、その解決策なんか探してる。
俺は思った。これじゃあ、何を悩んでいるのか分からない人にアドバイスをする様なものじゃないのか?
出会ってまだ三日なんだ。俺は橘さんについてどうこう考えるべきじゃないのかもしれないな。じゃあ、せっかく集まった昼休み。俺はどうしようか。
ここまで頭で考えて俺は橘さんと白羽を見る。二人はお弁当を食べながら、クラスメイトの様に会話をしている。
「あーなぁ、二人共」
そんな二人に向かって、俺は明るい調子で声を掛けた。
「何?朝道君?」
白羽が顔をあげる。前髪がやや目にかかってしまっているが、本人は気にしていない。
「あーいや、何となくなんだが、今度の土曜日辺りに、何処かに遊びに行かないか?」
昼休みの残りの時間をどうしようか。そう思いながら俺は適当に言葉を出した。
「別に良いけど……どうしたの?急に」
橘さんが、不思議そうに俺を見た。
「言ったろ?何となくだ。何となく、二人と遊びたくなっただけだ」
俺は軽く微笑みながら言葉を繰り返す。白羽と橘さんは、顔を見合わせ、はてなと言った風に首を傾げた。
キーンコーンカーンコーン。
そしてその時、昼休み終了の合図を告げるチャイムが響く。
「えっと……じゃあ、朝道君。何時に集まれば良いだとか、どこにあつまるかとかは、また後で話しましょうか」
鐘の音を聞いた白羽は、了承の意を述べて、俺に確認を求めた。
「ああ、そうしよう」
俺がそう言うと、白羽は橘さんを連れて教室へと戻って行った。
「ふぅー」
二人が中庭から校舎の中へ入っていったのをみてから、俺は肺に溜まっていた空気を吐き出した。
「木陰ぇ。凄いな木陰!」
「は?」
その時、俺の後ろの茂みから健がのそりと現れた。




