彼女の豹変への対策。12ページ
今日も昼休みになると、橘さんと白羽がやって来た。
多分、今日も橘さんの事についてだろう。二人の誘いを、俺は快諾した。
「今日は屋上じゃないのか」
廊下を歩きながら、俺は誰に向けた訳でも無く呟く。
「屋上はこの前壊しちゃったからね。業者の人が居て近づけないよ」
俺の言葉が聞こえていたのか、白羽はそう言った。
廊下から階段をゆっくりと下り、適当に購買でパンを買い、橘さんに袋を開けてもらってから食べ始める。ジャムの味がした。
「で、今日はどこを壊すんだ?」
「ちょっと!それじゃまるで私達がわざと学校を壊しているみたいじゃない!」
「冗談。で、なんの為に呼んだんだ?」
パンを喰らいながら、俺は白羽に尋ねる。歩きながら話していたので、何時の間にか中庭に来ていた。
「朝道君……この前優香が変わるのは、ストレスから来るみたいな事を言っていたよね。だからさ、どうしてそんな事を思ったのか聞いていいかな?」
中庭の木漏れ日が当たるところにシートを広げながら、白羽が聞いてきた。
「私のあの状態の事は、感情から来るものって言われてたけど……ストレスからって言うのは無かったから」
橘さんも俺を見る。
なんか言いにくいな。実際たいした意見じゃないし。
「いや、結局は感情から来るものだと思うよ。ただ、ストレスが溜まると怒りやすくなったり、自嘲気味になったりするだろ?
だから、ストレスをうまく吐き出せれば、暴走状態になる回数も減らせるんじゃないかなって」
ストレス解消が上手くいくと気分がいい。『気分がいい』という感情なら暴走状態になる事は無い。ストレスが溜まるのは仕方がない事だから、そのストレスを上手く使おう。
俺の言っている事はこんな感じだ。
「なるほどねぇ。普通、感情が抑えきれなくなるだなんて滅多にある事じゃないのに、優香は何回も暴走状態になるから、だいぶストレスがたまっているのかもね」
手のひらより一回り大きいだけなんじゃないかと思ってしまう小さなお弁当を抱えながら、白羽は言った。パンをすべて食べきった俺は、腕組をして、中庭に生えている木に寄りかかった。
その時、橘さんが不思議そうな表情を浮かべて、小首を傾げて言った。
「でも、私はそんなにストレスを感じてはいないよ?それにストレスを解消って言ったって、どんなことをするの?」




