彼女の豹変への対策。11ページ
俺の言ったその一言は、何時の間にか静まっていた教室に、ポーンと通った。
で、周りの奴等の反応はこうだ。
まず、教室で話していた奴等は、再び会話をし始めた。ただし、俺の事をチラチラと見ながら……
次に、廊下にいた白羽。俺が言葉を発すると、ガクンと大きくずっこけた。その後、呆れた目で俺を見てくる。
で、岩倉。ポカンとした表情で、俺の目の前で固まって居る。さっきから本当に動かない。
「木陰、従者みたいなって何だよ」
健が何故だかキョトンとした顔で聞いて来る。止めろ、蒸し返すな。実際俺も馬鹿な事を言ったと思ってるよ。
だが、訂正しようとすると、周りからとてつもない威圧感が襲って来た。
誰もが俺を見ている。何かを期待した、燃え上がる様な目で。
「…………………」
いや、さっきのは違うんだ。
と言う言葉を飲み込んで、俺は押し黙る。廊下に居る白羽は、何がおかしいのかニヤニヤした顔で俺を見ていた。殴るのはダメかもしてないが、後で頭にチョップはしてやろう。
「朝道、答えろよ」
岩倉は更に問い詰めてくる。諦めて全て正直に話す訳にはいかないので、俺は滅多にしない脳みそフル回転を発動し、
「従者ってのは……その……学校内で二人が何の気兼ねもなく安らげる……場所?……雰囲気?を提供……する感じ……?」
酷い言葉の羅列を創り上げた。もちろんこんな言い訳が上手くいくわけがない。
焦る俺に岩倉は、
「落ち着いて、ゆっくり喋ってくれ」
と、素晴らしい対応を見せてくれた。そのおかげで俺も落ち着く事ができ、「あーすまない」と言ってから、もう一度説明し始めた。
「従者ってのは、一種の比喩だよ。実際に付き従っている訳じゃない。俺は何故だか、二人を日々つきまとう日常に潜む危機から守護しなければならない。と言った任務を承ってな」
今度はスラスラと言葉を出せた。言ってる事は酷いが。
「何だ。そう言う事か」
だが岩倉は、何故だか納得した様に頷いて、それから振り返る。
「岩倉?今ので……わかったのか?」
自分で言っておいてなんだが、俺の言った言葉は全く説明になっていないんだぞ?
「詳しくはわからなかったが、お前が橘さんと白羽さんに手を出す事は無いと解ったからな。安心出来る」
岩倉は、妙なキメ顔でそう言って、俺の席から離れていった。
所で、何で俺が橘さんや白羽に手を出さない事がお前にとって安心なんだ?
お前が安心するのなら、さっきからお前のことをみている子、美人ではないがブサイクでもない普通の子、桜木さんと羨ましい関係になれば良いじゃないか。
教室から廊下へ出て行った岩倉の背を見ながら、俺はそんな事を考えた。




