彼女の豹変への対策。10ページ
ざわざわと、騒がしい教室。だが、俺が扉を開けて中にはいると、教室で喋っていた声が少なくなった。
俺は特に気にかけず、藤田と昨日のバラエティ番組の話をしながら、窓際の自分の席につく。教室の空気は、どうせ少ししたらまたざわつくのだろう。と楽観視して。
だが、そんな俺の処に、一人の男子生徒が近づいて来た。中途半端な長さの黒髪の、普通な顔した男子だ。
「朝道……ちょっといいか?」
「なんだ岩倉。神妙な顔をして」
話しかけて来た岩倉は、普段からよく喋っている。俺は軽く受け答えした。
「お前……橘さんと白羽さんとどういう関係?」
岩倉は、そう、遠慮がちに聞いて来た。俺は昨日、白羽が教室に堂々入ってきた事を思い出す。
「どういう関係って言われてもな……」
秘密仲間。とでも言えば良いのだろうか?
「だって昨日、白羽さんと橘さんが、わざわざ俺達の教室にやってきたんだ。そして何故かお前を連れて行った。これは赤の他人に対する行動じゃない!」
何故か強い口調で、岩倉は喋る。確かに、知らない奴を急に呼び出すのは珍しい。俺は部活にも委員会にも所属していないから、用事があったってのも通じない。
「積極的に女子と話す様な奴じゃないと思っていたが……お前の狙いは橘さんか?白羽さんか?」
ちょっとまて、なんでそうなる。確かに俺はクラブの女子とはあまり喋っていないが、たったそれだけで白羽か橘さんを狙ってるって事になるんだよ。
そう言うと岩倉は何故か畏れた様に身体を震わせて、それから確認する様にゆっくりと
「あの二人と話しておいて、あの二人を狙っていないのか?」
と聞いてきた。
むしろ俺には、あの二人の事を喋るお前の口調が狙っている様に感じる。
「んなっ!」
それはさておき、あの二人、周りの人達からそんな印象を受けてたのか。女子の方は知らないが。
ただ少なくとも橘さんには、そんな目線もストレスになってたりするのかな?
「朝道!とにかくお前は、橘さんと白羽さんとどういう関係なんだ」
多分、秘密仲間と言えばこいつは詰問してくるだろう。どこまでも。
友達と言うにも無理がある。だってであったのおとといだから。
恋人……は無いな。さっき否定してしまったし、向こうに不快感を与えてしまうかもしれない。
さて、どうしようかーーーー。
ふと、視線を感じて廊下の方を見ると、白羽が居た。白羽は俺と目が合うと、頑張ってと言う様にサムズアップ。ウインクしながら、完璧なサムズアップを魅せた白羽に、俺は正直怒りが湧いた。
「さぁ!どういう関係なんだ?」
……もう仕方が無い。なる様になれ。勝手に回れ。俺は半分開き直って、溜息と共に口を開いた。
「…………従者みたいな……感じか?」




