プロローグ?
キーンコーンカーンコーン。
4時間目の終業のチャイムがなると、一気に騒がしくなる教室で、俺こと 朝道 木陰は大きく伸びをした。
入学式の時に満開に咲いていた桜はもう大分散ってしまって、高校生活が本格的に始まる事を感じさせる。まぁ、本格的に始まるからと言って、別に努力はしないんだけどな。
「朝道ー!」
そんな事を考えていると、後ろから男子が襲いかかって来た。俺は素早く立ち上がってそれを躱す。かわされた男子は、そのまま机に突っ込んだ。
「朝道!なんで躱すんだよ!」
「逆になんでかわさねぇんだよ!」
無様に机に突っ込んだ男子は犬飼 健。阿呆だが馬鹿ではない。
「ねぇ木陰」
俺の横から声がする。みれば 藤田が隣に居た。
「なんだ?」
俺は藤田の方を向いた。藤田は俺のほうを向いて言った。
「さっき白羽さんが購買スペシャルメニューを買いに階段ダッシュしてたんだって」
「知るか!」
何いってるんだこいつは。
「それはそうと金は渡すから購買でなんか買って来て」
藤田は、その後笑顔でこう言った。
「なんの脈絡も無くそう言う事言うなよ」
俺はそう言って肩を落とす。すると先程倒した机を元に戻しながら健も、
「じゃあ俺の分も買って来て」
と言って来た。
「ちょっと待て、俺は買いにいくと言ってねぇぞ」
ここで俺の反論。
「は?細けえな。だったらジャンケンで負けた奴が他の二人のメシを買って来いよ」
健は呆れた口調だが、妥協案を出してくれた。
「よーし良いだろう。俺の力を見せてやる!」
「健。お前に買いに行かせてやるからな」
「よーし行くぞ、…最初はグー!」
「「「ジャンケンポン‼」」」
「ああくそぅ」
結局、ジャンケンに負けた俺は、パンを片手に、校舎の階段を駆け上がっていた。別に急ぐ理由は無いのだが、早く行かないと、あの二人がどうにもいちゃもんをつけてきそうだからだ。
一年の教室がある四階まであと少し、そう思った時、階段の上から、声が聞こえてきた。
「アンタ、この前のテストの成績良かったんだってねぇ~?」
「私は周りよりいい子なんですぅ~って?」
「そ…そんなことは……」
……どうやら、踊り場のところで堂々と、女子生徒同士のややこしい事態が起こっている様だ。
「そんな風に清楚っぽくしたって、気持ち悪いだけだから」
「ってかウザイんだけど、私はかよわい乙女ですぅって感じがぁ~」
「あ…あうぅ……」
……どうやら、いがみ合いや口喧嘩などではなく、気の弱い子が絡まれているといった構図らしい。絡んでいる方は先生に見つかったらどうするんだろうな。
っととにかく、ここは絡まれている方の女の子を、それとな~く助けてみるか。ふっ。そしたら、俺の行動に心打たれた女の子が、尊敬の眼差しで俺を見てくれるかもしれないな。もしかしたら、これは俺の人生の転機かもしれない。
そんな事を考えながら、俺は階段を登って行った。
確かに、俺のこの行動は、俺の人生の転機となった。




