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ウェア イズ WC

作者: 珠虹

駄文ですが、楽しんでもらえたら嬉しいです。

オレの名前は尿井藻世男(ニョウイ モヨオ)。現在アメリカに留学している高校生だ。

今は巨大ショッピングモールで買い物を楽しんでいる……予定だった。

そんな予定は見事に崩れ、オレは今、人生最高のピンチに直面している。

それは、非常に強烈な尿意だ。たちの悪いことに小の方にお節介になっているわけだ。

そんなのトイレに行けばいいだけじゃないか、と思う人もいるかもしれない。しかし、それが出来ていればオレだって、こんな所で油なんて売っていない。

なにせここは外国なのだ。日本とは言語も文化も全く違う。そんな中でトイレを見つけるのは、そんなに簡単な事じゃない。

しかも、このショッピングモール。大きさが尋常じゃない。これは予想でしかないのだが、恐らく東京ドーム50個分はあるだろう。名古屋ドームなら53個分だ。さすがアメリカ、規模が違う。遠くの景色が霞んで見えない

しかしながら、こんな所で漏らすわけにはいかない。そんな事をしてしまったら日本の恥さらしである、切腹ものである。なぜなら、今日のTシャツは堂々と日の丸を背負っているのである。

どうにかして、トイレを見つけなければ。しかし、これ以上歩いて探す余裕はない。尿意はもうそこまで来ている。時間が無い。やはり、ここは人に訪ねるのが一番いいだろう。だが、英語で

「トイレはどこですか」

ってどう言えばいいのだろう?

てか、トイレは英語でなんて言うんだ?

ベンジョー?違うな。

ベンキー?いや、違う。ウォッシュレトー?違う違う!!

トートー?なんか惜しいかも……でも違う。

トイレ、トイレ、トイレ……

あ!分かったぞ!WCだ!

これでいける。トイレに行ける。これでトイレで逝けるぞ!!

お!向こうから赤毛のオバサンが歩いてくるぞ。よし、あの人に聞こう。

「エクスキューズミー!ホワット イズ WC?(すいません、トイレは何ですか?)」

よし!完璧だ。早く!早く教えるんだ、オバサン!

「WC イズ ウリネーションスポット(トイレは排尿する所だよ)」

はい?ウリネ……何を言ってるんだ、このババアは。トイレの場所を教えろと言っているんだ!さっさと教えてくれよ。

「ホワット イズ WC?リアリー?ホワット イズ WC!オーケー?(トイレはどこなんだ?言ってる事分かってる?トイレはどこかって聞いてるんだ、クソババア!頭大丈夫か?)」

「ホワイ?アーユーオーケー?(人が親切にしてやってるのに、なんだその態度は!?波田陽区みたいに存在かき消してやろうか?このファッキンジャポニカ!!)」

う……なんだこのババア、かなりできる。オレを恐怖させる程のオーラだと!?こいつには……勝てない。

「ソ、ソーリー(ご、ごめんなさい。せめてケイン・コスギくらいで堪忍して……)」

「オゥーノー(ちっ、分かればいいんだ。これに懲りたら、二度とアメリカ人なめるんじゃないよ!)」

オバサンは刺すような視線でオレを貫いた後、肩を怒らして去っていった。

外人こえーよ。オバサンこえーよ。

もう内心のガクブルに押せれて、オレの股間はマジMAXに近づいてきた。 さっきのは何がだめだったんだ?くそ、神様はなんて極悪非道で殺戮無慈悲なんだ。

――テロリーン♪

奇妙な効果音と共に、オレの中に神様が舞い降りてきた。

「迷える子羊よ。そなたの望みを1つだけ聞いてやろう」

おぉ〜、神よ!オレは信じてたよ!

「お願いします、神様。オレをトイレまで連れて行って下さい!」

「うるさいわ、ボケ!私は極悪非道なんだろ?トイレぐらい自分で探せぇ、この小便たれ」

あぁ、コイツ根にもってる!神のくせに、心狭っ!

「まぁ、ワシも鬼じゃねぇけん。ヒントぐらい教えてやるけんのぉ。ウェア イズ WCって言ってみぃ。そしたら後は自分で何とかせぇ。ほなな」

そう言って神様は煙と共に消えていった。

てか怖っ!何故に広島弁?

でも、神様のおかげで正確な英語が分かったぞ。ありがとう、神様。

しかし、オレの股間はフルスロットルをきっている。時間との勝負だ。

前の方から感じの良さそうな金髪の青年が歩いてくる。

今こそ、決戦の時!!

「エクスキューズミー。ウェア イズ WC?(すいません。トイレはどこですか?)」

「オゥ、フォローミー(あぁ、着いてきな)」

青年は手招きしながら、歩いていく。

着いて来いってことか。やったー、ついにトイレに行けそうだ。

オレは青年の後ろを、内股で歩いていく。油断したら氾濫しそうだ。

すれ違う人々はオレを見て、

「ルックアット!クレイジーボーイ」

「サムライ!ハラキリ!全て想定の範囲内です」

えっ!?想定の範囲内?すべて想定していたのか、あの人は!すごいよ、細木数子なみだよ。

そんなこんなで、いつの間にか大きな青いドアの前に辿り着いていた。

「ヒア!(ここだよ)」

こ、ここかっ!助かった、彼は命の恩人だ。

オレは青年と固い握手を交わして、お礼を言った。

そして、ついにドアノブに手を掛け、開く。

――ざぱ〜。

ドアの中から大量の水が溢れ出してくる。

青年はとびきりの笑顔で、親指をたてながら、

(ウォーター)(クローゼット)

WC?ウォータークローゼット?貯水庫?

ぬわにー!?

間違いだよ!お兄さん、コレ間違いだよ!

しかし青年はどこ吹く風、にこやかに手を振って去っていく。その瞳の奥が黒光りしたように見えるのは気のせいか。

……いや、遠くからあの青年の高笑いが聞こえる。

あの野郎!確信犯だな!鬼だ!絶対訴えてやる!

さぁ最強弁護団の判決は?

慰謝料を……取れない・取れな・取れない・取れる。

慰謝料を取れない三人に、丸山だけが真っ向反論!なんて頼りないんだ!

はぁっ!?あまりの怒りに幻覚を見てしまった、いかんいかん。

流れる水のせいで、オレの体は全身びしょびしょだ。この状態でしちゃっても、水だかなんだか分からないんじゃないだろーか……なんて悪魔の囁きにはオレは負けない!……多分。

さぁ、そろそろオレのサラブレットは第四コーナーを曲がりきってしまった。限界点はすぐそこっ!

次がラストチャンスだ!ギブミーチャンスだ!最後に掛けてみたいんだ!電波少年的トイレ探しの旅〜♪

てな事をやっているうちに、向かいから体格のいい黒人の兄ちゃんがやってくる。

お!なんかコイツ、エミネムに似てるな……よし、ラップっぽく聞いてみるか。

「YO!ジェン・トル・メン!YO!ウェア・イズ・WC?」

「あ!ぼく日本人なんで、日本語で大丈夫ですよ」

ずるっ!

不覚にも一昔前のリアクションとってしまったYO!

てか、この人日本人!?こんなに黒くてデカいのに!?てか、見た目によらず物腰低っ!仮にも、あのエミネムに似てるんだぞ?

「あ、すいません。トイレってどこでしょうか?」

「トイレですか?案内しますよ、こっちです」

そう言うと、エミネム風の兄ちゃんは歩いていく。オレは後ろから着いていく。

やほーい!やっとトイレに行ける!

オレの中の蛇口はギリギリ閉じているが、代わりに魂の蛇口は全開だ。きっと一週間のくらい意識不明ですむだろう。

そして、オレはやっとトイレらしき場所についた。だけど、まだ油断は出来ない。きっと何かある。

オレはエミネム風兄ちゃんに別れを告げて、トイレらしき場所に入っていく。

おぉ!あれこそまさしく便器!便器がこれほどまで愛おしく見えたのは初めてだ。今、便器と上戸彩のどっちを選ぶと言われたら……うん。それはそれ、これはこれ。

オレは便器へと駆け寄る。そして、おもむろにベルトに手を伸ばした。と思ったであろうが、オレはそんな初心者じゃない。まずは便器をじっくりと観察し始める。

って、そんな余裕があるかい!!今のオレを一言でいうと『表面張力』。爆発寸前だ。オレはベルトに手を掛ける。

さぁ、至福の時だ。

ザァーーー。

皆さん、今までありがとう。オレはようやく使命を果たせた。これもひとえにオレの才能の賜物だと自負している。

しかしながら、緊急事態だ。

実はここのトイレ、小便器しか存在していない。

そしてオレは、強烈な便意を催している。

もちろん……大だ。

脂汗が滲み出て、背中の日の丸はすでにびしょびしょだ。

後は言わなくても分かると思う。

じゃあ、またどこかで逢おう。アディダス!

最後まで付き合っていただき、本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] ホワットイズは面白かったです。おばさんの答えは決して間違ってはいませんでしたが。 貯水庫ってウォータークローゼットっていうんですね。知りませんでした。 ちなみに僕は慰謝料は取れると思います。…
[一言] 神様の広島弁違いますけど、いい加減な広島弁は広島人に失礼ですよ
[一言] 早朝から、激しくワロタ ホォアットイズ WC? はありえそうwwww
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