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そうだね

作者: ばなあ
掲載日:2026/06/18

ほんとにあったことです。

こういうこと,みんなはないのかなとおもって,

共有したくなりました。

手に取ってくれてありがとうございます。

木曜日。

私はいつも通りスマホを見ていた。

今日は約束の日だった。

前から決めていた約束。

だから私は何気なく聞いた。

「ユアムのどこ?」

既読がつく。

少しして返事が来た。

「え!」

「まって、今日だっけ」

その瞬間、胸の奥が少しだけ冷えた。

今日だっけ。

忘れてたんだ。

私との約束を。

でも、そんなことくらいある。

そう思おうとした。

すると相手は慌てたように言った。

「友達がいるんだけどちょびっといい?」

「お願い!」

私は画面を見つめた。

今日だっけ、と言った直後に友達の話。

なんだろう。

言葉にできない違和感があった。

私は、

「今日はいいや」

と返した。

すると、

「じゃあ私行くから」

と言われた。

でも私は首を横に振った。

会いたくなかった。

会えないんじゃなくて。

会いたくなくなった。

思い返せば、ずっとそうだった。

「ひまー」

というLINE。

何度も何度も届いた通知。

恋愛相談。

元親友の愚痴。

好きな人の話。

泣き言。

相談。

不満。

私は聞いていた。

長い時間。

何時間も。

何日も。

何ヶ月も。

その子はよく言った。

「さつきは私のもの!」

冗談みたいに笑いながら。

腕を組んで。

ベタベタしてきて。

私は少し困りながらも笑っていた。

嫌じゃなかった。

だって友達だったから。

仲良しだと思っていたから。

でも。

いつからだろう。

連絡が減った。

気付けば,

この人には。

年下の,生意気な,厨二病の彼氏ができていた。

LINEも来なくなった。

前は毎日のように来ていたのに。

「ひまー」も。

「聞いてー」も。

「電話していい?」も。

なくなった。

最初は気のせいだと思った。

でも違った。

私は少しずつ分かってしまった。

ああ。

私はもう必要じゃないんだ。

その日。

私は送った。

ずっと飲み込んでいた言葉を。

もう少し謝ってほしいとか。

前の恋愛沙汰のこととか。

他の子と話してる時にベタベタしてきたりとか。

面倒くさいこと言ってきたりとか。

なんていうか色々。

もういいかなと。

最後に、

色々求めすぎたかもだけど

と付け足した。

少しだけ。

本当に少しだけ。

期待していた。

「ごめんね」

とか。

「ありがとう」

とか。

「今まで楽しかった」

とか。

そんな言葉を。

返信は十分後に来た。

「そう」

その次。

「薄々気づいてたからいいよ」

私は画面を見つめた。

しばらく。

何も考えられなかった。

そうなんだ。

薄々気づいてたんだ。

じゃあ。

私が寂しかったことも。

悲しかったことも。

気付いてたんだ。

気付いてて。

何もしなかったんだ。

なんだか急に疲れた。

怒りじゃない。

悲しみでもない。

空っぽだった。

私は最後に打った。

「そうだね」

送信。

既読はつかない。

たぶんブロックされている。

それでもよかった。

本当は。

引き止めてほしかったわけじゃない。

戻りたかったわけでもない。

ただ、

「ごめんね」

とか。

「今までありがとう」

とか。

その一言が欲しかっただけだった。

スマホを伏せる。

静かになる。

友達だった時間が全部嘘だったとは思わない。

一緒に笑った日もあった。

相談に付き合った夜もあった。

楽しかった思い出もある。

それは本当だ。

きっと。

たぶん。

だけど私は初めて知った。

人との別れは、

好きだった人を失うことじゃなくて。

自分だけが大事だと思っていたかもしれない、という事実を受け入れることなのだと。

そしてその痛みは、

思っていたよりずっと静かで、

思っていたよりずっと長く残るのだと。


読んでくれてありがとう。

次回作はないかもです。

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