表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/56

第2話:マントの下の秘密、着膨れのリオン

冬の王宮は、石造りの壁が冷気を蓄え、まるで巨大な冷蔵庫のようだった。

 僕の執務室も例外じゃない。吐き出す息は真っ白で、指先の感覚はとうに消え失せている。


「……ねえ、ハンス。僕のファッションについて、率直な意見を聞かせてくれないかな?」


僕は、自分の丸太のように太くなった腕を、ハンスの方へぎこちなく突き出した。

 今の僕は、マントの下に秋用シャツを三枚重ね、ベストを二枚着込み、古い布を腹に巻いた「着膨れの要塞」だ。


あのグレモリー公爵が冬服の申請を却下しやがったせいの、涙ぐましい生存戦略である。


「率直に申し上げます。殿下、非常に仕留めやすそうでございますな。殿下がもし魔物でしたら、わたくし、真っ先に狙いを定めます。あと、布同士が擦れる音が先ほどから『シュコシュコ』とうるさうございますな。隠密行動もままなりません」


「……ハンス、君はさっきから僕を暗殺するシミュレーションでもしてるの? というか、僕だって好きでシュコシュコ言わせてるわけじゃないんだよ!」


憤慨して腕を振ろうとしたが、服の厚みで肩が上がらない。

 僕が情けない「シュコシュコ」という音を奏でていると、執務室の扉が勢いよく開いた。


「お兄様! お外へ遊びに参りましょう!」


現れたのは、暖かそうなコートに身を包んだリーゼとシルヴィアだった。


「リーゼ、君はいつも可愛いけれど、今日はうさぎさんみたいで特に可愛いね。」


「そうでしょ、お兄様。特にうさぎさんの耳当てが私もお気に入りなのです」


僕がリーゼを褒めていると、シルヴィアも何やらそわそわしている。

(なるほど、そういうことか)


「あー……シルヴィア、君も。なんだか今日の君は、いつもと違って本物のお姫様みたいに見えるね。――あ、それから寒いから、そこ閉めてくれる?」


「……っ! ちょっと、今『いつもと違って』って言った!? それに何よ、開口一番『閉めろ』ですって!? あんたのその格好、シュコシュコうるさいしバカじゃないの!」


シルヴィアは一瞬頬を赤くしたが、すぐにいつもの怒声が飛んできた。

 褒めたのは本心なんだけど、物理的な冷気には勝てないんだ。


「ねえ、リーゼ。お兄様はお外で体を動かそうと思うんだけど、リーゼはどう思うかな? 一緒に遊んで、ポカポカにならない?」


僕がそう問いかけると、リーゼはパァッと顔を輝かせた。


「お兄様と一緒に遊びたいですわ! わたくし、お外に行きたいです!」


天使のようなリーゼの返事に、僕のやる気スイッチが入った。

 可愛い妹が「やる」と言ったんだ。最高のお膳立てをしなきゃいけない。


「よし。分かった、行こう、中庭へ。ハンス、倉庫から適当な木の端材を持ってきて。あと、ナイフも。リーゼのために、僕が『最高に体が温まる道具』を作ってあげるから」


僕の言葉に、シルヴィアが「……道具?」と怪訝な顔をする。

 ハンスは冷徹に「魔物の足音ですな」と呟きながら、主人の奇妙な「冬の戦い」を記録し始めるのだった。

読んでいただき、ありがとうございます。


いかがでしたでしょうか。続きが読みたいと思ったら、

ブックマークと下の☆の評価、よろしくお願いします。

作者のモチベーションが上がります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ