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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第3章 夢と浪漫の闘争競技 マイナーリーグ編
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第7話 ランブルの英雄

「んーっ!! 良い天気! もう夏ね! アンタもそう思わない?」


 ビルの宿〈野鳥の巣〉から出たフォルティナは背伸びをしながら後ろからゲッソリした顔のモルトに語り掛ける。


「そだな……良い天気だな……昨日は酷い目にあったぜ……何もしてねぇのにあんなに詰められて……うっ……怖かったよぅ……」

「おーよしよし……もう大丈夫よ?」


 相当恐ろしい尋問を受けたのだろう……あの破天荒なモルトが泣き出していた、自分のせいで連行された事もありフォルティナはモルトのショートリーゼントを優しく撫で励ます。

 昨夜フォルティナが警察署に駆け込み自身が冒険者であり連行されたモルトがパートナーだと言う事を証明して取調室に入るとモルトが目を輝かせながらフォルティナを見て……そこで誤解が解け解放されたのだ。


「今からあの子達のとこ行くんでしょ?ほらモルト?お金よ〜? 大金の匂いがするわよ〜?」

「金!! そうだ金だ! 目が覚めたぜ!!」


 金と言う言葉で元気を取り戻したモルトはフォルティナを置いて駆け出し始め後ろのフォルティナに向かい手を振りながら叫ぶ。


「ティナ早くしろ〜! 置いてくぞ〜!」


 そんなモルトを見て呆れながら笑い


「全く単純なんだから? 待ってよ! 今行くから〜!」


 そうして2人は鍛冶工房〈ガンテツ〉に向かい駆け出した。

 ―――――――――――――――――――――


 鍛冶工房〈ガンテツ〉前まで走って来た2人、入り口をモルトが激しくノックする。


「なんやなんや? 宗教の勧誘と新聞の契約ならお断りって何回言うたら……ってあんたらかいな!?」


 水玉模様のぶかぶか水色パジャマを着たマロンが目を擦りながら出て来た。

 帽子から垂れる髪はボサボサで起きたてというのがよく分かる。


「おはよ!マロン! 来たわよ! イデアは?」


 フォルティナがマロンに挨拶しイデアの姿が見えない事を気にしながらマロンに尋ねる。


「イデアなら工房やで? あいつは毎朝、仕事で集められた近所の魔具修理をやっとるわ……」

「マロンは修理しないの?」

「ウチか? ウチは修理よりも新しいの作る方が得意やねん……逆にイデアは修理とか仕上げの作業の細かい事が得意でな? 修理系の仕事はイデアに任せてんねん」

「なるほどね〜」


 2人が話をしているとモルトが痺れを切らし2人の間に割って入る。


「そこまでだ! マロン!さっさとイデアを連れて来な? 依頼……受けるぜ?」

「ホンマか!? ほなイデア呼んでくるわ!」


 マロンは帽子を投げ捨て工房に走りだし……戻って来た……


「家に入っとってええよ〜! 昨日の場所におって〜!」


 そして今度こそ工房に入っていく。

 フォルティナとモルトは顔を見つめ合い……


「凄い喜びようね……」

「全くだな……とりあえず入らせてもらうか」

「そうね……にしても……」

「?」

「マロンめっちゃくちゃ可愛かったんだけど!!持って帰りたいぐらいよ!!」


 先程のパジャマ姿のマロンの可愛さに叫ぶフォルティナにモルトは呆れながら家に入っていく。


「はいはい可愛い可愛い……」

「はぁ〜……イデアもパジャマだと可愛いんだろうなぁ……」


 そう話しながらフォルティナも家に入り昨日の場所で椅子に座り待つ。

 30分ほどして昨日と同じ服を着たマロンとイデアがやって来た。


「待たせてしまってすまんなぁ」

「おはようございます……ティナさん……モルトさん」


 2人は部屋に散らかっている魔具の部品を引っ張って来て座る。


「良いの良いの! イデアもおはよ!」

「おう! 来たな?」

「早速やけど依頼ホンマ受けてくれるんやんな?」

「お……おう」


 マロンが食い気味にモルトに詰め寄る! モルトは若干引き攣った顔で答えていた。昨日警察署で同じような詰め寄られ方をしたのだろう未だに恐怖が残っているようだった。

 そんなモルトの様子をよそにマロンは喜びイデアと手を取り合っていた。


「ほらなイデア!ウチの言うた通りやったやろ?」

「ほんとだね! 良かったね? マロンお姉ちゃん」


 イデアはうっすらと涙を浮かべながら喜んでいた。今までの苦労がその光景から伝わってくる。

 マロンは喜んだまま話を続ける。


「ほな早速やけど! 競技にはどっちが参加するん?それとも2人か? ウチはどっちでもええんやけど?」

「俺様は参加しねぇ 参加するのはこいつだけだ」


 モルトが親指でフォルティナを指す。マロンが頷き、イデアがフォルティナに質問する。


「ティナさんは……見た所武器を持っていませんよね……格闘主体で戦う方なんですか?」


 イデアの問い掛けにフォルティナは首を横に振りながら答える。


「ううん! 格闘も得意だけどアタシは斧を武器にしてたんだけど……ランブルで折れちゃって……今は武器が無いのよ……」

「ランブル……ですか……?」


 ランブルで斧が折れたと言うフォルティナにイデアも何か思い出したが同時に思い出したマロンがフォルティナに食いつく!


「ランブルってちょっと前に【エクリプス】がテロを起こしたあの観光都市ランブルか?」

「そ……そうだけど……」


 そう答えるとイデアはマロンに予想していた考えを話し始める。


「マロンお姉ちゃん!まさかとは思うけど……」

「待て待て!イデア……そんな奇跡があるかいな! ランブルのテロを防いだ冒険者2人がこないな場所に来るかいな!」


 そう姉妹2人が話しているとモルトが姉妹に答えを出す。


 「ランブルのテロ事件を防いだのはお前らの考えてる通り俺様達だぜ? なぁ? ティナ?」

「え?あぁ……うん そうなんだよね……」

「マジか!」「ほんとですか!」


 ガンテツ姉妹が同時に驚きの声を出す。マロンは手が震えていた。


「マジでか……そないな奇跡がホンマに起こるんかいな……【エクリプス】とやり合える力を持った冒険者が……今……目の前に……あかん……興奮して来たわ」

「お……お姉ちゃん……分かるけど落ち着いて?話を聞こ?」

「せやな……スマンスマン2人とも まさかランブルの英雄がこないなとこに来るって思わんかったからつい興奮してもたわ」


 ガンテツ姉妹が何故ランブルでの騒動を知っているのか分からないフォルティナは尋ねる。


「なんでアタシ達の事知ってるの? あの街に2人とも来てたとか?」


 その問いに答えたのは姉妹ではなくモルトだった。


「ティナ? こいつらはテレビのニュースを見たんだと思うぜ? そうだろ?」

「はい……」「せやな」

「テレビってあのでかいの? ほぇ〜……」

「テレビは大陸中のありとあらゆる情報が流れるからな共和国じゃ、まだ普及してないがラジオみたいなもんだ」


 ラジオと聞いてラングの街でカインズ家にあった魔具を思い出す。


「なるほど……ラジオもニュース流れてたもんね……あんな感じなんだ」

「それにあの事件はかなり大物案件だったし取り上げられていてもおかしく無いからなぁ……名前こそ出てないと思うがある意味で俺様達は有名人だな!」

「へ〜……有名人か〜」

「キリが無ぇから話を戻すぞ? マロンとイデアはこいつに装備を提供してくれるんだよな?」


 脱線した話をモルトが戻し2人に聞く。


「せやな? タダで提供するで?」

「はい……ただ……私たちの企業ロゴを付けて欲しいんですが良いですか?」

「ロゴってああ!あれね?あのマークみたいなの! 良いわよ!」

「シャァ!」「やったねお姉ちゃん!」

「そうと決まれば早速どんな武器にするか話し合うとしようか」


 ロゴを付けてもらう許可をもらえた2人は喜び、モルトが次の話に進めようとする。それはフォルティナに持たせる新たな武器の話に進む事になる。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

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