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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第2章 観光都市ランブル編 憎悪を超える愛の歌
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第38話 憎悪を超えた愛

 フォルティナが槍で突くとランドールは涙を流しながら光の粒子となって消え始めている事に気付いた……そんなランドールはフォルティナに初めて語り掛けてくる。


「ありがとう……見知らぬ少女……君のおかげでちゃんとあの子に告白出来たよ……」


 フォルティナは正気を取り戻したランドールから槍を下ろし、優しい笑顔でランドールに答える。


「そっか……よく分かんないけど良かったね! でもアタシだけの力じゃないよ?」

「?」


 フォルティナの言葉に首を傾げるランドールだったが続けて話す。


「アタシだけじゃなくてこの街のみんなの愛が憎しみに打ち勝ったのよ! ほら!」


 城塞入り口広場を見ると様々な人が屋上を見つめているのをランドールは確認し笑みをこぼす。


「そのようだ! 愛が憎しみに打ち勝つ……か……確かにな」


 ランドールはかつて炎でその身を焼かれた際に投げられた憎悪の言葉よりも愛の歌を歌い憎しみに打ち勝っていた事を思い出していた。

 ランドールの体が薄れていく……


「おっと……もう時間みたいだ……妻が畑で待ってるんだ……もう行くよ」

「そっか! 奥さん! 大事にしてね!」


 目を閉じてから目を開き堂々とフォルティナに告げる!


「当たり前だ!俺は世界で誰よりも!妻のエリュシオンを愛しているからな!」


 そう告げ笑顔で消えたランドール……

 フォルティナは空を眺め笑顔で保安官達の安否確認に移るのだった……


 ―――――――――――――――――――――


 数日後……フォルティナはランブルの市民病院で入院していた。

 保安官達は皆重傷ながらも命に別状はなく同じ病院で回復魔法による治療を受けていた。


 病室のベッドで全身包帯に巻かれたフォルティナを見たモルトがマウンテンゴリラのミイラだ!と笑った事をフォルティナは怒っていた。


「ごめんって! プッ! ミイラゴリラ……」

「また笑った!! アンタって本当デリカシーないわよね!!そんなんだからフラれるのよ! ばーか!」

「このガキンチョ! 言いたい放題言いやがって〜!」


 モルトがフォルティナの頭を拳でグリグリする!


「痛い痛い! ちょっと病人なんだから優しくしなさいよ!」

「大丈夫だ! お前はどうせすぐ治るんだろ? 人間じゃねぇんだから! プッははは!」

「ホントムカつくぅ!!」


 そんな言い合いをしていた2人だがモルトが真面目な顔になり話し出す。


「でも良かったな……事件解決できて……」

「むぅ……え? そうね……みんなのおかげで解決できたもんだしね……ランドールも告白出来たみたいだし? そこはアンタの力のおかげね!」

「へへッ! 結局の所……愛より歪んだ物はないと言うが……愛以上に強い力も無いって今回の騒動を通して実感したぜ……」


 モルトがそう上手くまとめようとしていたが病室にあの仲が悪かった夫婦が入ってくる。


「あれ? 夫婦揃ってどうしたの?また喧嘩?」


 何も知らないフォルティナにモルトが小声で耳に顔を近づけ伝える。


「コイツらあの後すっげぇラブラブになったんだよ……あの事件での赤い車あっただろ?あれコイツらの物なんだ……正直1番世話になったかもしれねぇ……」

「へ〜! 仲良くなったのね! 良かったじゃん! で?どうしてここに来たの?」


 フォルティナが夫婦に来訪の理由を聞くと奥さんが答える。


「私達はモルトさんに用があって来たんです! 私達の車! 弁償してくれるんですよね!?」

「え?は!え? でもあれは……お前らが力になりたいって言ってたからじゃ……」


 モルトは汗をダラダラ流しながら話を聞いていた。


「そうですね!私が運転して故障した部分は大丈夫です……で・す・が!!私達が気を失っている間の破損部分はきっちり弁償してもらいますからね!!」

「は……はい……」


 モルトが飼い慣らされた犬のように縮こまっていた……フォルティナはそんなモルトに小声で話しかける。


「奥さんってこんな人だったっけ? もっと大人しかったような……」

「俺様達が帰った後に旦那と話し合ったらストレスのタガが外れて性格が変わっちまったんだよ! だがそれでラブラブになったのも事実だ……旦那は尻に敷かれてるがな」

「へ〜意外〜」


 2人がニヤニヤしながら話している様子を見た奥さんが再度モルトに忠告する!


「モルトさん!!修理代の2万ゴールドきっちり払ってもらいますからね!では!」


 奥さんが病室から出て行き旦那がモルトとフォルティナに話しかける。


「嫁がすみません! お金は私のヘソクリから出しますので気にしないでください 街を救ってくれた人たちにお金を請求なんて私には出来ないですから……」

「良いのか?! 俺様は助かるが……」


 モルトは旦那に申し訳なさそうに話しているがフォルティナには分かっていた……あれは演技であると……


「大丈夫ですよ! 私たち夫婦の仲をより戻してくれた恩人でもありますしね?」


 旦那と話ていると病室の外から奥さんの声が聞こえてくる。


「あなた〜もう行くわよ!」

「はいはーい! 今行くよハニ〜! では私はこれで!」


 旦那が病室から出るとモルトは緊張が解けたように息を吐く。


「ふぅ……事件解決ってのも楽じゃねぇなぁ」

「あはは!この調子だとまだまだありそうね……」


 フォルティナの予想は当たることになるのを今の2人はまだ知らない……

ここまで読んで頂きありがとうございます!

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