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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第14章 天魔大戦 滅びの未来編 2
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第28話 和解

 決闘はアタシの勝利で幕を閉じた。ギャラリーだった皆はそれぞれの持ち場に散っていく中、司令部に戻ったアタシとキーパーはエレオノーラの前に立たされていた。



 エレオノーラの隣には顔を腫らしたモルトが……。

 まるでタコみたいな顔だ。左右に佇む、過去と未来のエレオノーラの拳から煙が立ち上っているところから察するに、キーパーとアタシを煽りに煽りまくったモルトを成敗した、といったあたりだろう。



「なんで俺様がこんな目に遭わにゃならんのだ」


「黙れ! 今は皆が手を取り合って脅威に立ち向かわなければならん時だというのに、仲間同士で戦わせるように仕向けたのだから当然の報いだ」


「そうだぞモルト。この際だから言っておくがお前は人をなんだと思っているのだ。大体お前はいつもいつも――」


「ひ、ひぃん。ノーラが2人……鬼だ、助けてくれぇ」



 そんな目を向けられても……。

 アタシは隣のキーパーと顔を合わせて、プッと笑い合った。

 あれだけ高圧的にキーパーに絡んでいった癖に、今では情けないタコのような顔で泣き言を言っているのだから、面白くないわけがなかった。



「笑ってねぇでなんとかしろよ……」


「いやすまんすまん。久々に愉快なやつを見たからか、面白くてな」



 笑いすぎたのか目から涙が出ているキーパー。

 そんなキーパーにぶつぶつと何か文句を垂れているモルトだが、なんて言っているか聞こえない。どうせ悪口だから気にしないでおくことにしよう。



「だがお前のおかげで、ゲストの……嬢ちゃんの力を改めて知ることができた」


「キーパー?」



 キーパーがゲスト呼びでなく、アタシのことを、初めて知り合った時みたいに嬢ちゃんって呼んでくれた。

 それってつまり――



「アタシのことを認めてくれたってこと?」


「認めるも何も、俺は最初から実力だけなら認めてたさ。お前に足りなかったのは覚悟だ。だが、スコープからの話を聞いて、あの頃とは違うことも聞いていたんだ」


「ならなんで……」


「そ、それは……」



 キーパーが言い淀んだところに、スコープが小さく笑って代わりに答えた。



「プライドが邪魔して素直になれなかったんだとさ。クソみたいな理由だよなぁ、ゲスト?」


「プ、プライドぉ!?」



 キーパーを見ると、恥ずかしさを誤魔化すように明後日の方向に目を向けている。

 そ、そんな理由でアタシは嫌煙されてたってわけ? そう思うと、なんだか腹が立ってきたが、モルトがアタシに肩を組んで答えた。



「男には引くに引けねぇ時があんだよ。察してやれ、ティ〜ナ」



 コイツ、もう顔の腫れが元に戻って、いつもの顔立ちに戻ってるよ。

 男には後に引けない時があるねぇ。

 そう言えばマインツ村でのジルも似たようなこと言ってたっけ。男には後に引けねぇ時があるって。

 あれってこんな使い方もできるってこと? そう考えると男って勝手すぎる。

 アタシ、怖かったのに、キーパーが怒ってるんじゃないかって。

 そう思い、プーと膨れた。



「これに関してはキーパーが悪いな。ゲスト、お前は文句を言ってやっても良い立場なんだ。ボロクソに言ってやれ」


「そーだそーだ。言ってやれティナ。この情けねぇおっさんにガツンとよぉ」



 またも煽るモルトの頭に「お前は黙ってろ」と拳骨が2つ落ちた。うん、エレオノーラとノーラの拳だね。

「なんで俺様だけ……」と泣きべそかいてるけど、まああんたの言葉はタチが悪いから仕方ないよ。



「もういいわよ。済んだことだし、アタシもあの時はかなり迷惑を掛けたって思ってるしね。それに、信頼を勝ち取れなかったから失った命もあったわけだし」


「ゲスト……」



 スコープが小さく呟いた。

 そうだ、アタシがマインツ村でグリダリアにトドメを刺していれば、今頃この場にガジェットもいて笑い合ってたはずなんだ。

 だけど彼はもういない。気にするなとスコープは言ってくれたけど、どうしてもその可能性が頭から離れなかった。



「嬢ちゃん。ガジェットのことなら気にすんな。あいつはあいつなりに筋を通しただけだ。仮に信頼を勝ち取ったとしても、奴は同じ選択をしたはずだ」



 キーパーの言葉にエレオノーラが頷く。

 


「キーパーの言う通りだ。私にも知らせずに決行した自爆作戦なんだ。奴は日頃からあの魔族の巣をどうにかしたいと話していたからな。自分の中に解決できるだけの力があって、それを使った。ただ合理的な選択をしたんだと思うぞ」



 そうは言ってくれるけど、どうしても割り切れなかった。だが――



「そう悩むなって。確かにこの世界のガジェットは死んじまったが、お前の世界、過去の世界だとまだ生きてるはずだ。だったらお前は、この世界と同じ道を辿らないようにしてさえくれればそれで良い。教会の教えにあったろ? 輪廻でまた巡り会うってやつが」

「そ、そうね、分かった。過去でアンタ達が戦争に巻き込まれないように絶対にする。そのためにもまずは、この世界の魔族を追っ払う予行練習といこうか」



 その意気だ、とキーパーとスコープが頷いてくれた。

 そんなアタシ達を見て、ゴホンと咳払いをするエレオノーラ。



「これで一件落着だな。であれば中立都市潜入作戦についてだが――」



 ようやく本題に入れるというわけだ。

 蟠りを解決したアタシ達は、真の意味で共に脅威と立ち向かう仲間として話し合うことになった。

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