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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第13章 天魔大戦 滅びの未来編
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第28話 なぜ殺すの?

「あははお姉ちゃん今度はあれ! あれが見たい!」


「ちょっと待ちなさいよグラ。ったく元気なんだから……もう」

 


 詰め所を出たアタシとグラは紅龍を散策しているところだ。歴史資料館とか、龍神像などの観光名所はこのご時世ということもありどこも無料で開放されていて、そこらで人が木の残骸や瓦礫でテントを張って過ごしていた。


 

 どうやら付近の村から流れてきた戦争の被害者みたい。表からでは見えない被害がこんなところで見えるなんてね……。

 そんな龍神像に辿り着くとグラが像の台座にある文字盤に顔を近づけている。

 


「こうりゅ……う。もとの――」


 

 文字が読めないのかな? もう読めてもおかしくない歳なのに。きっと教えてもらえる機会がなかったんだ。


 

「紅龍。元の地名はリーチェン。武道の盛んな都市国家であり闘いを何よりの誉とする強者が住まう地」

 

「お姉ちゃん?」

 

「ごめんね。グラ文字が読めないみたいだったからさ。代わりに読んじゃった」


 

 見上げてくるグラに言った。「大丈夫だよ」と答えてくれたからアタシは続きを読むことにした。

 と言ってもここに書かれている内容はアタシがランブルで見た資料とあまり変わらない。

 一点知らない部分があるとしたら旧リーチェンは龍神様に見守られていたと書かれているけど。龍の神様? そんな伝説聞いたことないよ。


 

「共和国って広いなぁ」


 

 大陸中を巡っていて何言ってんだかって感じだけど、自分の住んでる国ですらまだまだ知らないことだらけ。こんなに広かったんだって今更思い知らされてるよ。


 

「広い? ううん。そんな事ないよ」

 

「グラ?」

 

「共和国も王国も帝国も。真ん中にある街もみんなみんな小さいよ? 摘めば潰れちゃうぐらい小さな世界。それがこの世界だよ?」

 

「な、何言ってんの? 大陸はめちゃくちゃ広くて――」

 

「ううん。小さいよ」


 間違ってないと自信ありげな強さの言葉。そして疑いのない真っ直ぐな目。アタシは何故かその瞳の中に吸い込まれそうな気分になる。

 なに……なんなの? この子……。

 そんな言われようのない不安を感じているとグラは笑い出した。

 


「あはははは! お姉ちゃん変な顔〜」

 

「へ、変って……グラ〜。アンタね〜!」

 

「あははは! 変な顔変な顔〜」

 

「待ちなさいグラ〜!」


 

 逃げ出したグラをアタシは追いかける。さっきのは気のせいだったのか、今のグラからは何も感じない。年相応の子供に見える。

 そんなグラが足を止めて見渡せる公園の端に立ってアタシに振り返る。


 

「お姉ちゃん達は魔族が嫌い?」

 

「嫌いって、いきなりどうしたのよ」

 

「答えて。お姉ちゃんは魔族が嫌い?」


 

 突然真面目になっちゃって……。

 


「そりゃ嫌いよ。だって魔族はアタシの大事な友達を悲しませたり人間を殺しちゃうんだもん。どうしても好きになる要素がないよ」

 

「ふ〜ん。なら魔族はどうして人間を襲うか知ってるの?」

 

「はい?」


 

 何言ってるの? まるで魔族の味方みたいな事言って……。

 


「魔族も神様から人間を殺せって言われてるのかもしれないよ。神様がそう言ったらそうするしかないでしょ? お姉ちゃんも違う?」

 

「神様が殺せっていうから殺すってのはおかしくない? それだったら神様に言い返してやるわ。なんでそんなこと言うのって」

 

「なら聞きたいんだけど。なんでお姉ちゃん達人間は魔獣を殺すの? なんで?」

 

「なんでって……それは――」


 

 人を襲うから――

 そう言おうとしたけどそれよりも前にグラが言った。


 

「魔獣はただ生きているだけなのに。お姉ちゃん達が無駄に住む場所を増やして人を増やしたせいで住む場所が減ってるだけなのに。住んでた場所に入ってきたのはお姉ちゃん達の方じゃない? それなのに殺されるなんて可哀想」

 

「は、話をすり替えないで! 魔獣の話じゃなくて魔族の話してたじゃない」

 

「同じだよ。お姉ちゃん。きっと魔族も同じ。ただ人間を殺す事に意味なんて考えてない。それなのになんで嫌うのか。私には分かんないな。子供だから? 生まれて間もないから? そうだとしても私はお姉ちゃん達が魔族を嫌う理由がどうしても分かんないな」


 

 なんだか今のグラが得体の知れない大きな何かに見える。ただの子供じゃないの? この子……一体何を見てるの?


 

「っと真面目な話はおしまい! お姉ちゃん次はあっち! あっち行こ!」


 

 トテトテと駆け出したグラ。今度は人通りの多い中央へと向かっていった。まるで子供のように。さっき感じたのは錯覚だろうか。いやあり得ない。2回もおかしいって感じることなんて早々ないもん。


 

「あはは! あはははは!」

 


 魔族を嫌うのが分かんない……か。アタシ達ってそう言えば魔獣を殺す時何も考えた事なかったや。ただ人に迷惑をかける存在としか見てなかった。

 魔族もそれと同じだって? 人間を殺すときに何も考えてないって? なら魔族はアタシ達のこと魔獣と同じように見てるってことなの?

 


 『汚染体』


 

 グリダリアやドミニオンがそうアタシ達を呼んでた。

 それって魔獣と同じ……。人間として見てるんじゃなくて害を与える何かって見てるの?

 アタシは駆け回るグラを追いながら考える。

 魔族ってどこから来たの? 何がしたいの?

 なんで――

 


 人間を殺すの?

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