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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第13章 天魔大戦 滅びの未来編
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第24話 方舟とガジェットと出会い

「任務の概要は以上だけど、何か質問はあるかな?」


 

 ガジェットの話によると、今回の任務はアタシ達3人で海に浮かぶ塔の中に侵入して、魔将の1人を討伐するといった流れだ。

 道中、塔に向かうまでの魔族の相手は警備隊にモンクと呼ばれる修行僧達が担当してくれるらしい。


 

 よくガジェットにこんな信頼を集められたもんだと思ったけど、どうやらエレオノーラの文を各方面に手渡していたらしい。この世界のエレオノーラってかなり有名人なの? すごいよね。

 


「質問!」


「はいはい新メンバーのゲストさん」


 

 まるで学校の先生みたいに呼ばれてアタシは答える。

 


「海の上にあるあの塔にはどうやって行くの? まさ泳ぎじゃないよね?」


「大丈夫泳ぎじゃないよ。大体あそこまでかなりの距離があるんだよ? 泳いで向かったら辿り着いた時には体力はすっからかんさ」


 

 普通に考えればそっかそうだよね。侵入するメンバーの体力はできるだけ温存してないと魔将と戦って勝つことなんてできないよね。

 


 マインツ村にいたグリダリアと戦った時なんて体力はほぼマックスあったのにギリギリだったんだもん。今回もそう簡単には行かないはず。

 


「だから今回は船で行くことにしたんだけど……」


「だけど?」


 

 なにやら不安げなガジェット。ここがこの任務での厳しい所なんだろうか。

 


「船だと速度が足りなくてどうしてもレギオン共に会敵してしまうんだよね〜」


「あー。なるほどね」


 

 この世界の船がどうかは知らないけど、アタシの知ってる船はゆっくり進むイメージがある。魔導エンジンって魔具を搭載したとしても音がうるさくて隠密には向かないだろうし。

 


「だったらさ。アタシ達が乗ってきた船を使えば良いじゃん。スコープはどう思う?」


「そうか。確かにあれなら速度も船以上で、音も静かだ。何より海路じゃなく空路だからな。敵と戦闘する事もないだろう」


 

 どうやらスコープはアタシの意見に賛成みたいだね。

 ただガジェットは方舟を知らないから、なんのこっちゃと首を傾げている。

 


「まあお前は見ていないから分からないだろうが、今回の作戦にうってつけの船があるんだよ。俺たちはそれに乗ってラングから紅龍まで1時間で移動できたんだぞ」


「1時間だって!?」

 


 やっぱりとんでもない事なんだ。ガジェットも机を叩いて立ち上がるほど驚いちゃってるよ。


 

「なんだったら今から見にいくか? 時間ならまだあるだろ?」


「ああぜひ見せてくれ! 作戦予定日は明後日の夜だから内容の変更もまだ効くよ」


「そうと決まれば行こう!」


 

 そうしてアタシ達は近くの教会で停泊させた【ノアの方舟】に戻る事になった。


――――――――――――――――――――――――


 紅龍の街から少し離れた場所にある教会にアタシ達は戻ってきていた。【ノアの方舟】を停泊させる教会は大体街から外れた場所にいくつかあって、【偽神】はその場所を目安に移動をしていたらしい。


 そんな教会の地下に静かに止まる方舟を目の当たりにしたガジェットなんだけど。まるで子供のようにはしゃいで、へばり付いたり頬擦しているんですけど。


 

「なんだよなんだよ! これは……見た事ない技術だよ。こんな菱形の岩が空をどうやって飛ぶんだい!? 加速器も無し、翼も無しでどうやって……」


 

 そんな1人はしゃぐガジェットを尻目にスコープはアタシに「な?」と聞いてきた。


 

「確かに興味津々ね……」


「まああいつは本帝国魔法技術推進研究員だったからな。魔具に関する話をさせちゃ、俺たち連合軍の中でもトップレベルの知識者だと思うぞ」


「マジですか……」


 

 帝国ってどの世界でも凄いんだね〜。ここがアタシの世界ほど発展してなかったとしても最先端の国には違いないって事なんだもんね。

 


「おーい! ゲストさんや〜い!」


「ん? なに〜!」


 

 方舟の前から手を振ってくるガジェット。

 


「中を見たいから案内してよ〜」


 

 あ。そういう事……。


 

「いいわよ〜」


 

 そんなこんなで中を案内して、ついでに空を飛ばしてあげるとガジェットは大興奮だった。

 これで次の作戦に投入するのは決まりだろうね。

 それを決めるのはガジェットなんだけど。

 方舟を教会に降ろして、すぐにアタシ達は話し合う事になった。

 


「で、使えそうか?」


「うんうん。機動力、隠密性、サイズ感。どれを取っても任務には最適だね〜」


「なら!」


「うん。これを使わせてもらおうかな」


 

 よっしゃ! この世界に来てアタシが少し役立った事に胸が高鳴る。でもまだダメ。この程度じゃキーパーは認めてくれない。何としても任務を遂行してアタシも力になれるって証明しなきゃ。


 

「そう言えばだけど。魔将ってどんな奴なの?」


 

 何度か魔族と戦闘してるのなら、出張って来たことがあるはず。

 だけど帰って来た返答は――

 


「それが情報がなくてね……」


「うそ!? 今まで一回もないの!?」


「いいや。無いことはないんだよね。遠くでとんでも無い魔法の発光も見たことあるし……」


「ならなんで!」


「答えは簡単。誰も生きて帰ってこなかったからだよ」


「生きて……」


「そう。つまり全滅さ。だからしっかりした情報がない。噂話は腐るほどあるけどどれも信憑性に欠けたものばかりだ。相手は魔将。そんな根も葉もない話を信じて挑むにはリスクが高すぎる。それだったらなにも知らないで挑んだ方がまだマシってもんだよ」


 

 そこまで強い相手なんだ……。グリダリアも村で戦ってあの強さだった。もしあの子がフロンタイタスみたいな大都会であの【接続魔法】を使ってたら? 最新兵器に装備を身体中に引っ付けた巨人なんて、絶対苦戦するはず。

 前のは運が良かった……。

 そう思うと全身に鳥肌が立ってしまう。


 

「怖いか?」

 


 スコープがそう言ってきた。

 確かに怖い。運さえも味方につけなきゃあの世に行っちゃう可能性が高いんだもの。

 この世界のアタシが死んで、今のアタシよりも強い【偽神】のシスターにリトゥンも殺された訳でしょ。

 


「怖いけど……。やるわ。だってアタシ、エレオノーラの力になるって言ったんだもん。口で言うのは簡単。だから絶対に成し遂げてみせるわ!」


「ふん。よく言った。それでこそ【破壊の聖女】だ」


「【破壊の聖女】だって!?」


 

 ガジェット本日2度目の驚きだ。

 

 

「ああ。そう言えばお前は知らなかったな。ゲストは、別の世界からきた【破壊の聖女】――フォルティナ・ロックスの過去の姿だ」


「別の……世界……。あー。だめだ。さっきは酔いが覚めたとか言ったけど、どうやらまだ酔いの中にいるみたい……」


 

 とうとう現実逃避し始めたよ? まあいきなり別世界とか過去の姿とか言われたら混乱するわよね。アタシは当事者だから全然受け入れられるけど、そっち側だったらもう気絶してるよ。


 

「大丈夫だガジェット。これは酔いでも夢でもなく現実だ。そう夢みたいな現実。だからゲストを連れて来たってわけだ」


「たしかに【破壊の聖女】の力があれば魔将にも手が届く。これは最後のチャンスでもあるって事だね」


「ああ。そう言うことだ」


 

 その時、地下の奥からカランと石が転がる音が響いた。


 

「誰だ!」

 


 スコープの声にアタシ達は一斉に武器を構えた。

 ガジェットの武器はどうやら身につけていた装備を手も使わず展開できる代物らしい。まるでイデアの【理想の鎧】みたいだ。


 

「あっ……」


 

 地下のこの停泊場に入る入り口から顔を覗かせたのは少女の姿だった。

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