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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第13章 天魔大戦 滅びの未来編
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第17話 廃村マインツ村奪還作戦③

 男か女か判断ができない中性的な子供型の魔族――魔将グリダリア。

 コイツは正体不明の魔法を操り、村の建物を浮き上がらせては自在に振るい、飛ばしたり叩きつけてくる。それも詠唱なしに!



 建物が横から勢いよく迫る! それをスライディングで掻い潜りながら、アタシはひたすらグリダリアの元へ進む!

 奴の攻撃が通り過ぎた瞬間、風が髪を揺らす。息を吐いたのも束の間、岩や廃墟の残骸が頭上から降り注いできた!



「ちょっと! これは流石に出鱈目すぎッ!」



 避ける隙間がない! 圧倒的な質量だ。デカさだけなら、この村全体分あるんじゃないの!?



「ゲスト! 俺の後ろに続け!」



 キーパーが前に出る! 何か考えがあるんだろう。アタシは言われた通り、その大きな体の後ろについて走る。

 キーパーが槌を投げ飛ばして叫んだ!



「【吹っ飛びやがれ!】」



 瞬間、降り注ぐはずだった瓦礫の塊の中央に激突して穴が空いた。形を保てなくなったのか瓦解していく。



「えっぐ……」


「惚けてる暇はないぞ! 俺はこいつの攻撃を防御するしかできない! 奴への攻撃はお前の力でしか通らないからなッ! 分かったらさっさと行けぇ!」



 頷き、キーパーを置いて前へ!

 きっと今のが【念力】なんだろう。さすが〈オーバード〉だね。魔法の力だけなら奴に負けてないかも!

 駆けながらクラフトアックスを深く構える!

 迫る子供の体目掛けて突撃あるのみだ!



「へぇ。やるじゃん!」


「そのうすら笑い、泣きっ面に変えてあげる!」



 レギオン共がグリダリアを守ろうと、何十体も前に立ちはだかった。

 邪魔よ! 邪魔邪魔――



「邪魔ぁぁーーー!!!」



 豪快に斧を振るい、蹴散らして進む! 一体一体は雑魚同然! 軽く吹っ飛ばせるレベルだけど、いかんせん数が多すぎる!

 ほら! こうしている間にもグリダリアがフワリと宙に浮いて距離を取ろうとしてるじゃん!



「させるかああ!!」



 アタシはクラフトアックスを地面に突き立て――伸ばした!

 ギュン! と伸びた斧に捕まり、アタシの体は一気にグリダリアの元へ肉薄する――



「無詠唱魔法!? 炎の魔法以外にもこんな魔法が!?」



 初めて奴の引き攣った顔を見ることができた!

 でも、これで終わりじゃないのよね!

 伸び切る瞬間、柄から手を離し、両手に【神気】を纏わせる!



「【鬼哭! 華回しッ!!】」



 グリダリアの鳩尾に肘鉄の破桜がヒットする! とても生き物とは思えない衝撃と音が耳に響く。鉄だ……鉄みたいな音だ。

 だけど確実に当たったぁッー!



 続く裏拳の天蓋衝、喉を突く楓で絶え間なく打撃を与えていく。でも手応えがない!? こいつ、さっきから一切顔色を変えてないんだけど!?



「それだけ?」



 舐めたこと言ってくれんじゃん!



「これならどうだああああ!!!」



 椿落とし! 首をホールドし、地面に愛らしい顔を激突させてやる!



 ドゴォォォォン!!!

 その威力は、辺りのレギオン共を吹っ飛ばすほどの衝撃を生んだ。

 流石にこれは決まったでしょ……地面にグリダリアの顔が突き刺さったはず――かと思いきや!



「たったこれだけで終わったって思われたの、なんか心外だなぁ」



 うそ!? 片手で受け身を取ったっての!?

 カウンターを警戒し、アタシは急いでその場から引き下がろうとする。予想通り――左右から挟み込むように瓦礫が迫る!



 まずい!!

 回避は間に合わない! 咄嗟に防御体勢を取るが、直撃の瞬間――瓦礫の片側が爆発した!!

 爆破と共に瓦礫が崩れる……一体何が――



『サポートはするって言っただろ! 防御は気にするな! お前は攻め続けろ!』


「スコープ!?」



 遠距離からの狙撃! それに、この鼻をつく独特な匂い――火薬ね! さっすが精鋭!

 それ以上は何も考えず、砕けた瓦礫の雨を掻い潜って前へ駆け出す! 伸び切ったクラフトアックスを掴み、【伸縮魔法】でサイズを手頃なものに調整する。



 周りのレギオン共は、キーパーがアタシの邪魔にならないよう間引いてくれているみたい。

 おかげでかなりやり易い。こんな強い2人がこのグリダリアを脅威と断定してるんだ。もっと気を引き締めないと!



「あははは!」



 目の前から無邪気な笑い声と共に石礫がマシンガンの如く放たれる。それを斧をグルングルン回して弾きながら進む。

 一気に攻めたいけど、この弾幕の中をこのまま突っ切るのは難しい! それに――



 頭上から瓦礫の塊がまたも降り注ぐ。これだ――この絶え間ない魔法の波状攻撃が何より厄介すぎる!

 インターバルがないんだもん。魔族って【魔気】に限界はないの!?



 これじゃフロンタイタスで戦った時のサーシャと同じだ。底を尽くのを待つなんて現実的じゃない。だったらもう限界はないって考えたほうがいいわね。



 さっき攻撃してみた感じ、耐久性もかなりのものだ。規格外の魔法に鬼耐久、それと無尽蔵の【魔気】……。

 これはアタシも全力でぶつかるしかないわね!



「【鬼焔羅刹!】」



 瞬時に【覚醒】させ、力を解放した。これで並の魔法程度なら溶かして進める!

 アタシは石礫の弾幕を防御せず突っ込んだ。やはり石飛礫程度の攻撃なら、覚醒した【神気】で融解できる!



「うそ!? なんだよそのデータ量は!? 知らない……知らないデータだ!」



 データだかなんだか知らないけど! 驚いてくれてるなら好都合ってもんよッ!!



「ほらお返しッ!!」



 左手を前に出して【黒炎】を連射してやった!

 グリダリアは石飛礫での防御は無理と見たのか、瓦礫を幾重にも重ねて防御体勢を取り始める! だけどね!



「な、なんだよこれ!!」



 アタシの黒炎が瓦礫を溶かしながら突き進む! それはグリダリアの小さな体にまで届き、その白い体を焼いていった。

 着弾した箇所から黒い粒子が身を削るように舞っているのが見えた。



 ダメージだ! 初めて通った!!

 やっぱ【神気】なら魔族に通るんだ! だったら――



「来て! 【レーヴァテイン!】」



  左手に【神気】を集中させ、炎の大剣――神器レーヴァテインを召喚した。

 レーヴァテインは【神気】で作り上げた純粋な魔の集合体――。これならアンタの無駄に硬い体もスパンと両断できるだろうね!



「それはまずいよねぇ!」



 レーヴァテインを見たグリダリアは身を縮こませる。すると体が瓦礫に包まれていく。まるで繭のように――それでアタシの攻撃を防ぐつもり? いいわよ! 正面からぶった斬ってやる!



「うおおおおおおお!!! 【烈火灰燼剣!!!】」



 クラフトアックスの刃を【伸縮魔法】で伸ばし、大剣型に形を整える。

 そんなクラフトアックスにレーヴァテインを重ねる。すると一体となり、1つの武器へと昇華した。

 このレーヴァテインと融合させたクラフトアックスなら、耐久も【魔気】も関係ない!



「やああああああああーーー!!!」



 アタシの攻撃が瓦礫の繭に激突する!

 ガガガガッ!!

 その鉄塊を砕き、奴の体を目指して斬り込んでいく!



「おっしゃ! いけゲスト!!」


『人類の底力を見せてやれ!!』



 仲間2人の声がアタシを前へと押してくれる!

 任せなさいよ! こんな奴ら、アタシが全員ぶっ倒してやるんだからぁぁぁぁ!!!



 ガキンッ!!



「え……」



 一閃、斬り裂いた! そう確信したも束の間、中央でとんでもなく硬い何かがアタシの攻撃を遮った――それも腕が痺れるほどの!



「この程度で終わらされたら僕の立つ背がないよねぇ。久しぶりにいいおもちゃが見つかったよ」



 余裕のある声……グリダリアの声が切先のすぐ先から聞こえる。これ……アイツにぶつかってんの!?

 そう思った瞬間、瓦礫が破裂し、その衝撃の波にアタシは巻き込まれ吹っ飛ばされた!



「うぎゃっ!」



 ゴツン! と地面に頭を強く打つ。少し視界がグラつくが、致命傷というほどではない。

 頭を振って視界を回復させ、グリダリアがいたはずの場所へ目を向ける。



 そこには白い子供の姿などなく、鉄で作り上げたような大きな人形があった。

 まるでマロンが作った巨大ロボのような――



「お姉さんのその力、かなり危険だからさぁ。僕も全力でお姉さんを叩き潰すことに決〜めた」



 さっきまで本気じゃなかったの!?

 な、なら本当の戦いはここからって事ね……。

 アタシは耳の通信機に手を当て、仲間2人に告げる。



「ごめん。倒しきれなかった……それと、どうやらここからが本番みたいよ……」


『見ればわかる。ゲスト、さっきも言っただろうが俺たちはお前のサポートだ。この力、お前の好きなように使ってくれ』


『スコープの言う通りだ。雑魚はあらかた片付けた。心置きなくお前の補助に回れるから心配すんなよ』



 へへ。心強いこと言ってくれんじゃん。だったらアタシが下向きになることないわよね。



「おっけー。なら取り敢えずはぶつかってみるから、2人は奴の攻撃に注意しつつ見ててくれる? 気付いたことがあれば共有してちょうだい。弱点――探すわよ!」


『『おう!』』

 

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