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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第13章 天魔大戦 滅びの未来編
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第14話 精鋭のおじさん2人

 アタシは今ラングの街を出て、ある村を目指している。目的はここから少し東北にある隔絶された村――

 そう、マインツ村である。

 村を目指す平原を歩く道中、アタシは出発前のことを思い出していた。


――――――――――――――――――――――――


「お前には精鋭を付けてやる」


「精鋭?」


 

 ラング作戦本部でエレオノーラから言い渡された言葉に首を傾げる。

 精鋭――つまりエレオノーラは一緒に来ないって事だ。

 まぁ団長だしね。ここから離れるわけにもいかないから、アタシが一人で作戦を実行するって思ってたんだけど。そんな人を着けてくれるんだ……。


 

「強い人なの?」


「まあな。何せ私と同じか、それより長く生きた者達だ。実力は保証するぞ」


 

 エレオノーラの自信ありげな顔……。よっぽど信頼してるんだね。


 

「でもそんな人達が居るなら、なんで今まで作戦に投入しなかったの? 強いんでしょ?」


「確かに強い……。レギオン、ドミニオンレベルなら難なく攻略出来るはずだ。だが魔将となれば話は別だ。蟻が象に立ち向かうような物だからな……。相手にならんのだ」


「魔将……ねぇ」

 


 確か魔王に次いで魔族の中でもトップクラスに強い奴らの事だったわよね。確か倒すにはかなりの戦力を投入しなきゃいけない程の……。

 しかもそれでもかなりの犠牲を払って、勝てる確率が二割だって……。どんなに強い精鋭だとしても無理なのか……。【神気】――これが無いと相当キツイみたいね。


 

「お前の考えてる事はわかるぞ。魔将を倒せるレベルの者がいない事を憂いているのだろう?」


「い、いや……そこまでは……」


「だが安心しろ。彼らは確かに魔将には敵わんだろうが、戦闘の経験値は段違いに高い。今までは単独で敵地の調査や潜入任務に充てていたが……お前と言う最大の戦力を手にすることができた今……。ここで一気に攻勢に出る為に呼びつけたのだ」


「おー。マジですか」


 

 単独で生き残っただけで、アタシの中ではかなり信用が上がったわよ?

 


「ふふふ。期待していると言った目だな。まあまだ現着してないから、あとで紹介してやるとする。では早速作戦についてだが――」


 

 そこからは食糧難を解決する為の村奪還作戦のブリーフィングが行われた。

 おふざけは許されない。ガチで取り組まなきゃいけない案件だ。人類の存亡がかかってるからね……。


――――――――――――――――――――――――

 

 そんなアタシ達が街を出てからと言うもの、魔族が徘徊している魔境で一度も敵とかち合う事なく、村にもうすぐの所まで来られたのは、アタシの前を歩く人のおかげだろう。


 

「前方目標地点確認。一度ここで状況を確認する。待機だ」


 

 黒い防護服――迷彩服と言うらしい装備を着用したサングラス男が地に伏せてロングボウガンを構える。

 男がハンドサインでアタシに「伏せろ」と指示を出してきたから、アタシも伏せて村の様子を眺める事に――

 まぁ肉眼じゃ何も見えないんだけど……。

 


「スコープ。何か見えた?」


「確認中だ……」


 

 ロングボウガンを携えた男の名はスコープ。本来の名前ではなくコードネームと言う名で紹介されたこの人は元帝国軍人らしい。

 帝国らしい比較的近代的な装備だ。

 ボウガンも鉄で製造された狙撃銃的なデザインで、予備の矢は腰のポーチに大量に入れてある。

 


「目標地点に魔族確認。数は50……。奴さん、10単位の部隊を5個も投入してやがる」

 


 スコープの言葉に反応したのは、アタシの後ろから匍匐状態で双眼鏡に目を当てる大男だ。


 

「俺達が村を奪還しにくる事を想定した配置だろうな。ドミニオン級……それ以上の脅威は確認できるか?」


「まあ待て。キーパー。まだ確認中だ……」


「そうか、そいつは失礼した」


 

 キーパー……。この大男のコードネームだ。

 彼もスコープ同様の黒の迷彩服だが、武器は透けて見える大盾と槌を装備している。

 この三人小隊の隊長だ。

 彼も元帝国軍人で、スコープとは同僚だったらしい。見た目通りタンク役だね。

 そんなキーパーがアタシに双眼鏡を渡してくれた。


 

「ほら、こいつを使え。村の畑が多く並んだ場所――あそこが見えるか?」


 

 キーパーが指差した場所を見てみる。

 そこにはレギオンが数多く配置されているのが見えた。


 

「見えた! あそこは確か……村長さんの家の前だね」


「オーライ『ゲスト』。ならざっと見渡して、村の中に安全に侵入出来るルートはあるか?」


「待ってね……」


 

 ゲスト――それがアタシのコードネームらしい。なんでもコードネームで呼び合うには理由がある。

 魔将の中に名前を知られちゃダメな存在がいるとか何とか……。どんな魔法か不明だけど、名前を呼ばれたら最後、呆気なく死んじゃうらしいんだよね。おっかない……。


 

「頼むぜゲスト……。この村を選んだのには、あんたがここ出身だって理由がデカいんだからな」


 

 キーパーの言う通りだ。本来エレオノーラの立てた作戦目標の村はどこでも良かったらしい。

 だけどアタシがマインツ村出身と知ると『ならここだ』と決まった。

 地の利があるなら活かすべきだ。使える手は何でも使う。でないと食料の確保は出来ず、飢え死ぬことになるからね。

 


「う〜ん……村の反対側……森の中からの侵入ならいけるかなぁ?」


「ゲスト、それはどうだろうな」


 

 スコープが言う。


 

「この配置自体、俺達がここにくる事を想定した物だとしたら、森を空けるなんて真似はあり得ないんじゃないか? 少なくとも俺には、あそこに溜まる奴らがわざと姿を晒してるように見える」


「って事は……森に誘うためって事?」


「だろうな」


「ん〜……そうなのかなぁ?」


 

 双眼鏡を外し、訝しんでスコープの後ろ姿を見る。

 


「スコープの言葉は信じた方がいいぞ、ゲスト」

 


 するとキーパーがアタシの横まで前進して背をポンと叩いてきた。まるでイライラすんなと言わんばかりに。


 

「こいつの口は棘があるが、言ってる事は間違いない。今までこいつはこうした判断で生き延びてきたんだからな。それに俺もスコープの意見には同意だ」


「むー……」


「むくれんなって。常に最悪を想定しなきゃ生き残れないって、老兵からのアドバイスって受け取りな」


 

 分かってるよ……分かってはいるけど……ならアタシに聞かないで欲しいんですけどぉ……。

 むくれながらアタシは頭を働かせる。

 森以外に村の中に入る道があったかな? 外壁は小さいし……畑だらけだから見晴らしが良すぎる。

 う〜ん……。

 


「あっ! そうだ!」


 

 アタシは双眼鏡で村の中にある教会を探した。

 確かあそこは坂になってて、下からじゃ目に入らないはず。

 シスターは村人と距離を置いて、子供の頃のアタシですら存在を知らないほどだったんだもんね。

 多分それは――


 

「やっぱり――」


「何か見つけたか? ゲスト」


「ええ、見つけたも見つけた大発見よ。スコープ」


 

 アタシは前進してスコープに教会の方を指差した。


 

「あそこが見える?」


「ああ、確認した」


「あそこ教会なんだけど、村長の家のある場所から坂の上にあってね。道中に畑の道具倉庫が幾つかあるの分かる?」


「確かにあるな……」

 


 アタシがシスターの存在を知らなかったのは、まず下から教会自体が見えないからだ。

 坂はそれほど高くは無いけど、間にある倉庫が盾になって教会自体が見えないんだよね。

 だから足を運ばないとシスターを見つけられなかったってわけだ。


 

「教会のすぐ裏手に村の外に通じる坂道があるわ……。今見た感じ、魔族もそこには配置されてないみたい」


「ふむ……確かにいい場所だ。あそこなら俺の装備も役立つかも知れん……でかしたぞゲスト」


「えへへ」


 

 嬉しくなって鼻をかく。

 厳しい仲間に褒められるのって良いよね?


 

「なら決まりだな。俺達はここから教会側に迂回して侵入……。スコープは高台を確保しろ。俺とゲストは村長宅広場に向かい奇襲を仕掛ける。ドミニオンはここからだと見えないが、レギオンのあの数だ……一、二はいると見た方がいいだろう」


「それと森だね」


「ああ。ゲスト、お前の言う通り森には注意を払え。残りのレギオンが配置されてるかも知れんからな」


「りょーかい。何かあったら撤退はアタシに任せて? 村の中に入ったら隠れる場所とか沢山知ってるからさ」


「はっ。その必要はない」


「なんで?」


「ここに俺たちが来た。それが理由だ」

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