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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第13章 天魔大戦 滅びの未来編 1
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第5話 魔族全力

  さて、啖呵を切ったはいいけど……この魔族って魔獣とどう戦うべきか。

 見た目はグレイシアとジークが見せた悪魔化そっくりだけど、目の前で見せたあの爆発……。あれは魔法かな?


 

「どうした? あれだけ威勢の良いことを言っときながら攻めてこないのか?」

 


 相手の話を聞いちゃダメ。アタシのペースを崩そうとしてる。周りには奴の手下がたくさんいるし、迂闊に攻めたりでもしたら囲まれるのは目に見えてる……。


 

 先に進んだ魔族は後ろの守備隊――って騎士たちが抑え込んでくれてる。だけど倒し切れてない……。いや、復活してる? なるほどね。だからエレオノーラが一人で戦ってたんだ。圧倒的な力で復活させないように。

 


「こないならこっちから行くぞ! 汚染体!」


「なにが汚染体よ! アンタたちの方がよっぽど何かに汚染された見た目でしょ!」


 

 パチンとドミニオンが指を鳴らしたと思えば、アタシの目の前が発光した!

 輝きも束の間、次に襲いかかってきたのは熱と衝撃。

 爆破だ。

 咄嗟に腕に【神気】を纏わせてガードした甲斐あって無傷で済んだ。

 


「ちっ。無傷か……。ガキの癖に大した防御力だな」


 

 だが! と更に指を鳴らし、アタシの周りを爆破してくる。土が舞い上がり、爆煙で視界を防がれた。それにめちゃくちゃ眩しい!

 


「おおおおおッ!」


 爆破を防御していると、爆炎の中を突っ切ってレギオンと呼ばれる魔族がアタシに組みかかってきた。

 その体は爆破で砕け、赤い血が滴り落ちている。

 


「コイツ! 爆破で視界を防ぎつつ仲間に攻めさせてるの!?」

 


 非道! だけどこれが魔族の戦い方なんだ。

 それにこれは命を賭けた戦い……。殺すことが目的だから勝ち方には拘らないってことね!


 

「だったら!」

 


 組みかかってきた魔族を殴り飛ばす!

 幸い、防御のために【神気】を腕に纏わせたこともあって【鬼哭】を瞬時に打つことができた。


 

 たった一体殴り飛ばしたけど、硬い……。

 なんて外郭なの!? 雑魚でこれならアイツはもっと――


 

 ドンドンドンーーッ!

 絶え間なく辺りが爆発し、岩の破片が体を打ち付け、土が目に入ってくる。

 かなり鬱陶しい! だけどなんで直接アタシを爆破しないの?


 

 少し不審に思い、ドミニオンの【気】を探る。

 意外にも魔族も【気】を宿しているようで、容易に居場所を感じ取ることができた。

 


 奴は……。なるほどね。爆破でアタシの動きを抑えつつ、後ろの街を攻める魂胆ってわけ。

 


 奴の周りにいたレギオンの大半が、アタシを囲むように爆破した炎に隠れつつ前進するのを感じ、そう判断した。

 最初からアタシとまともにやり合う気もなかったってわけね……。なんかちょっとムカつくかも。


 

「まあ、アンタたちがそう動くならやり易い!」


 

 握り締めた槍の全長を伸ばし――

 


「うりゃああぁぁぁぁーーッ!!」

 


 思いっきり振り回した!

 槍の先が爆炎を突き抜け、進軍していたレギオンの集団を巻き込み街と逆方向に撃ち飛ばしてやった!

 ホームラン! ってね!

 


「ま、魔法だと!? しかも詠唱も無し……。あり得ない! あり得ないあり得ない!! この世界の汚染体は魔法を自在に使えるほどの知能はないはず!!」

 


 爆炎が晴れ、ドミニオンの姿を捉えた。

 どうやらアタシの【伸縮魔法】に驚いてるみたいだけど! 動きを止めたなら都合が良い!

 


「くだばれ魔獣ッ!!」


 

 グワングワン振り回した槍を一気に縮ませ、遠心力を乗せた投擲を放つ!

 槍は空を裂き、けたたましい音を発しながらドミニオンに穿たれるが――

 


「小癪なッ!」

 


 腕で払われた!? それも簡単に!

 やっぱり強度は雑魚以上みたいね……。

 


「はっはっは! ガキの力でこの体が貫けるものかッ! 多少魔法に精通してるようだが、魔法使いというのであれば体術は不得手と見た!」


 

 意気揚々と肉薄するドミニオン。

 その反応を見てアタシは拳に【神気】のほとんどを集中させる。

 


「英雄ごっこは終わりだ! さっさと消去されろ!」


 

 殴る蹴る薙ぎ払うと、絶え間ないドミニオンの攻撃がアタシを襲った。体術に自信があるみたいだけど、全く基本がなってない。どれも身体能力に頼り切った雑な攻撃――。

 


「ははは! どうだ! 躱すので精一杯のようだな!」


「……」


 

 調子に乗ってくれてるみたいだし、ここはあえて苦戦を演出しようかな。一撃でぶっ飛ばすためにもね。

 


 敢えて何発か攻撃を貰い、痛むふりをした。

 その度にコイツは嬉しそうな声を漏らしたけど……。あれかな? 人を痛めつけて悦に浸る変態なのかな?


 

「ぶっ――」


「ああ。良いねぇ! 汚染体を痛めつけるこの瞬間だけは本当に飽きやしない。服を剥ぎ、辱め、大事な仲間を一人ずつ目の前でバラしていく時に見せるあの情けない顔を見るのも良いが、子供を嬲るのも唆るなぁ……」


 

 血を吐き、更に悦に浸らせてやる。

 途中胸糞悪いこと言ってたわね……。コイツ……今までどれだけの人を手に掛けたっての。

 許せない……。絶対に許せないッ!!

 


「この馬鹿っ! さっさと逃げろっ! もういい、あとは私がやる!」

 


 一方的に殴られるアタシを心配したのか、エレオノーラが叫んだ。大剣を杖代わりに立ってるけどフラついて見える。相当疲れが溜まってるみたいね。

 そんなエレオノーラにアタシは大丈夫と、笑顔を少しだけ見せた。

 


「よそ見とか舐めた真似すんじゃねえか!」


 

 ドカッ!

 頬に良いのを一発貰った。

 ドミニオンは今の一撃に手応えを感じたのか、変なステップを踏みながら「へっ」と笑った。

 


「もう少し遊んでやりたいところだが――こっちも仕事があるんでな。もう仕舞いにしてやるぜ」


「……」

 


 蹲り、下を見続けるアタシ。

 右手に集めた【神気】は十分溜まった。

 


「そうね……もう沢山……」


「はは! なんだ? 最後の言葉か? だが言わせねぇよ! 俺に挑んだ馬鹿さ加減を悔いながらあの世に行けぇッ!!」


「おいッ――!」

 


 エレオノーラの叫びが聞こえる。

 周りのレギオンと守備隊のぶつかり合いに怒号――魔法で大地が砕ける轟音と衝撃が響く。

 ドミニオンは完全に勝ちを確信してる。

 奴は魔法ではなく拳でアタシを殺すつもりみたいだね。思った通りに動いてくれてやり易いことこの上ないわ!


 

「アンタの貧弱な格闘術を受けるのも飽き飽きなのよ! アタシは――ッ」


「なっ――!!?」


 

 ドミニオンの拳を躱し、頬の横を通り過ぎた!

 完全に懐に入った!

 


「【破煌――】」


 

 腕が螺旋を描くように炎で包まれる!

 ギュルギュルと荒々しく回転する炎を見たドミニオンは声を震わせている。

 


「そ、その魔力は――そんなまさか――」


「【拳ッ!!】」

 


 全力の一撃がドミニオンの顔面に炸裂するッ!

 ミシミシバキバキ! と音を立てながら黒の面を砕き――

 


「らぁぁぁぁぁぁ――ッッ」

 


 首の骨が砕け、皮膚をぶち切り、首を胴体からぶっちぎってやった!

 ドミニオンの首が遥か彼方へ吹っ飛び、残された体は力無くその場で倒れた。

 


「最初から魔法でアタシを攻撃してればよかったのに。痛ぶるのを楽しむ変態な趣味を優先するから負けるのよ。ばーか」

 


 崩れ落ちたドミニオンの肉体は塵となって消え始めた。

 同時に守備隊を攻撃していたレギオンも塵となって消え始めている。

 原理はわかんないけど、リーダーを倒せば雑魚も消えるみたいね。分身の魔法みたいなものなのかな? 魔獣の癖に中々厄介な魔法使うじゃん。


――――――――――――――――――――――――


「なにが……起きた……」


 

 エレオノーラの眼前で、フォルティナを名乗る魔族がドミニオンを一撃で葬った?

 ドミニオンは魔将が生み出した、奴一人を討伐するのに人類は三百人で挑まなければならないと言う精鋭だぞ。


 

「それをたった一人で……それに」

 


 やはりあの燃えるような【気】。

 間違いない【破壊の聖女】――最後の【偽神】フォルティナのものだ。

 【気】に全く同じものは存在しない。だと言うのに、あの魔族から感じ取れるのはフォルティナと全く同じものだ。

 


「ならば奴の言葉は真実か?」


 

 『ウチ過去に行ってこの未来を救う手段を見つけてくる! やからその日が来るまで待っといて欲しいねん』


 

 ふとかつての仲間の1人が言った言葉が脳裏に過ぎる。


 

「ふっ。まさかな……」


「おーい! 終わったよ〜!」

 


 奥からドミニオンを倒した英雄が駆けてくる。

 問題は山積みだが、取り敢えずは今目の前の問題に対処しなければな。

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