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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第11章 復讐と未来。帝国編 2
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第29話 覚醒フルパワー

 今まで【覚醒状態】になってこんなに安定したのは初めての事だった。調子が良いってものじゃない。体が炭化もしなければ痛みもない。

 いつか聞いた話だと、アタシの今の体では【スルトの神気】に耐えられないと聞いていたのに。

 つまり今のアタシは肉体が強化された状態ってこと?


 

「はは。そうなるとこれはミシェルの歌の効果ってわけね」

 


 それしか変わったことなんてない。あの【目覚めの歌】が聞こえてからアタシの体と心が高揚し力がみるみる漲ってくるのを感じ始めたからね。


 

「まさか、ここまでの力を秘めていたとは――想定外です」


 

 大きく凹んだガードレールから立ち上がるサルフォッサス。ヘルメットは砕け最早着ける意味がないとみて彼はヘルメットを脱ぎ棄てる。

 彼の素顔は存外優男だった。銀髪で蒼い瞳の青年だ。頬を撫でながら首の骨を鳴らして、こっちにゆっくりと歩んでくる。

 アタシの全力の一撃を受けてなお健在ではあるものの、相当なダメージを負ったからか、体がふらついている。


 

「炎のように揺らめく髪、溢れる黒炎のオーラ……なるほど今目で見るまでは信じられませんでしたが、本当に鬼の姿まんまですね」


「そうよ。アタシは鬼。【破壊の鬼火】のフォルティナよ。もうアンタの好き放題にはさせない。こうなったらもうアタシは止められないんだから!」


「そうですね……ですが私もここで退く訳にはいきませんので……全力で当たらせてもらいますよ」


 

 言ってサルフォッサスは背中の大鋏を抜いた。

 驚いたことにそれは2対の片刃の剣だった。

 2つ重なってハサミのように見えていたらしいが、見たところ、結合、分解可能な武器らしい。

 そんな2対の剣を両手に構えている。

 どうやらここからアイツも本気を出すってことらしいわね。

 


「【ゆるりゆらり】」

 


 サルフォッサスが詠唱し霧が辺りを包み込もうとしたが、アタシの燃えるような黒炎の【神気】によってそれは阻まれる。そんな様子を見てサルフォッサスは「やはりですか……」と吐き捨てた。

 


「こうなれば影に紛れてあなたを倒すのは無理ですね。まさかこんな力技で私の魔法を押し切るとは」


 

 彼は深めに腰を落として剣を構える。

 来る。

 そう思わせるような挙動にアタシは彼から目を離せなかった。

 彼の奥には歌うミシェルの姿があった。彼女の瞳はアタシを見つめているもののその目に焦りも不安もない。

 信じているみたい。アタシが勝つってことを。


 

「ふう。参ります」

 


 スッとサルフォッサスの姿が消え、瞬間アタシの眼前に現れた! 一対の剣が顔面に斬りかかってくる。

 だがその動きは全て見えていた。

 姿が見えたら視線、筋肉の動きの癖、武器の構えから奴の動きを大体予測してイメージする事ができる。

 アタシはその攻撃を躱し腕を絡め取って背負い投げた!


 

「むっ!」

 


 空中で体を捻り着地しようとしたようだけど、アタシの方が早い!

 彼が地に足をつけたと同時、腹に肘鉄をぶつけた! 【破桜】だ。

 【神気】と速度を乗せた楼凛拳高速の接敵技がサルフォッサスの体を更に向こうへと突き飛ばす。

 


 逃がさない! アタシは更に追撃を試みる。

 全身から炎を爆発させて吹っ飛ぶサルフォッサスへ飛ぶように向かう。

 彼はそんなアタシの接近に気付き必死に剣を振るって対抗してきた。

 大振りの斬り払いに、ナイフを使った細かな攻撃。


 

 吹っ飛ばされながらで尚、その卓越した動きはもはや感服ものね。

 だけど、コイツは暗殺者であって武人じゃない。良い?

 0距離だとね。下手に武器を使うより素手で戦った方が圧倒的に強いのよ!


 

 サルフォッサスの攻撃を全て手で払い、危険な剣の攻撃は盾で防いでみせた。

 決して弱くはない。アタシの【覚醒状態】が彼の身体機能を遥かに上回ってるだけだ。

 そんな彼の体、急所にアタシの拳と足技をぶつけると血を吐いた。

 


「どうしたの! 本気出すんじゃなかったの! もっと見せてよアンタの本気を! 燃えたぎるような熱々の戦いをしようよ!」


「こ、この!? バトルジャンキーめ! 【サプラメントシザース!】」

 


 サルフォッサスの鋏を使った絶技がアタシの左右から挟撃される。

 紙を鋏で切るような挙動故、対処も簡単だ。

 片方を盾で防いで押し込み、逆側の攻撃を腕を掴むことで防いでやった。

 これにはサルフォッサスもギョッとしたように目を剥いたようだ。

 


 【絶技】が防がれたと見るや、サルフォッサスは二刀を巧みに使い斬りかかってくるが、全て防ぎ拳を撃ち返した。

 全ての武は格闘術が基本。いくらコイツが武器の扱いに慣れていても基本がなってない分、挙動が読みやすい。

 ま。これもシスターの鍛錬の賜物ってことよ!


 

「もう分かった。アンタの底はもう計り知れたわ!」


 

 そしてアタシはコイツの体を上空へ放り投げた!


 

「ぐっ! ……私の底ですか!?」


「ええそうよ! アンタはやっぱり武人じゃない! この数秒のお手合わせで分かったけど、アンタは【覚醒】に至ってない! そんなアンタがいくら本気を出したところで【覚醒】したアタシに勝つことなんて不可能よ!」


「そんなもの! 無くたって!」


 

 空中でアタシに向かって急降下してくるがもう遅い。


 

「アンタは姿を見られた時点で逃げるべきだったわね」


「なにを! まだ戦闘は終わってませんよ!」


「いいや。もうお終いよ!」

 


 アタシは柄を取り付けた腕をサルフォッサスに向ける。

 そして左手を右手に添えるように構え、柄の先端にエネルギーをチャージし始める。


 

「そ、それは!? 競技で見せた高出力砲撃!?」


 

 奴は器用にも空中で移動しようとしたが――


 

「【伸びろ】」

 


 チャージ中の柄に【伸縮魔法】を施し瞬く間にサルフォッサスの体に叩きつけ体を捉えた。


 

「なっ!?」


「残念。アンタはもう少し武術について学んでおくべきだったわね。

 そんな見え見えな動き、アタシみたいな子供でも簡単に見抜けちゃうんだから」


「くっ……よもやこれほどとは――」


 

 腕のスイッチを押してアタシは【マロン砲】を作動させた。

 そのチャージされたエネルギーは柄を押し付けたサルフォッサスの体を包み込んで――

 


「ぶち抜けっ!! 【マロン砲――ッ!!!】」


 

 改良に改良を重ねったその砲撃はサルフォッサスの体を覆い尽くす光となって空高く打ち上げられた。

 0距離砲撃だ。その威力は凄まじく、辺りに熱が拡散し雪が一気に溶ける程だった。

 ってか、ぶっ放しといてなんだけど――アレ生きてるわよね?

ここまで読んで頂きありがとうございます!

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