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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第11章 復讐と未来。帝国編 2
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第25話 Sランク冒険者

「え? 僕以外のSランク冒険者について教えて欲しいって?」

 


 アタシはサルフォッサスに殺されそうになってる今、ふと同じSランク冒険者【悪食美学】ことシルゼルファとのフロンタイタスでの話を思い出していた。


 

「僕が言うのもなんだけどSランクってみんな頭のネジが外れたやつが多いっていうか変わり者が多いっていうか……あっ! 僕は例外だよ? 普通普通!」

 


 どこが普通なんだろ。見た目からして食べれないものをとってきては食材にしようって直結して考えるシルも同じように頭のネジが外れていると思うんだけど――


 

「そうだね〜。一応面識はあるんだよ? それなりに大きな事件や依頼の時なんかは最初の時は一緒に参加してたぐらいだし」

 


 最初の頃は――って事はつまり今は会う機会がないと言う事なんだろう。まあソロでも活躍できるから最高ランクに到達できるんだろうけど。

 


「まずSランクについて僕の所見を話すとすれば――何かに特化した人が多いよね」


「特化って、戦いの腕とか?」


「いやいや。戦闘技術と事件捜査能力は基本だから基準以上持ってて当たり前だよ。それ以外だね」


「それ以外っていうとたとえば?」


「僕なんか食材調達に新たに食べられるものの開拓だよね。自分で言うのもなんだけどさ。この活動で食糧難で厳しい地帯とか集落で活躍したんだよ〜」


「あ〜。なるほどね〜。だったら他の人も同じ感じって事なのね」


「そうそう。僕と同じで分かりやすいので言えば【笑えない芸人】だね。彼の芸は何一つとして面白くないのが多いんだけど、笑顔を大事にしたいって意思だけは誰よりも高くて、貧困地、戦災後、孤児院に足を運んでは支援したりそのつまんない芸で必死に笑顔にしようとしてる。それが認められてSランクになったんだよ」


「へ〜。凄いじゃない! どんな人なんだろ……。ならさならさ! 【無尽】って人もシル達みたいな人だったりするの?」



 シルは首を振った。


 

「【無尽】は違うよ。彼は冒険者協会の上層組織【ピースメイカー】に属してる冒険者だけど、僕たちみたいに優しい部類とは真逆だね」


「真逆……」


「そ。真逆さ。彼の冒険者前の経歴は不明だけど、デビューしてから犯罪関係の依頼を受け持つことが多くて犯罪者の討伐に捕縛をメインにしてたよ。しかも依頼達成率100%ときた」


「100%!? それも凄いわね。だったら強いんだ……今のアタシとならいい勝負できるかな?」


「勝負? ははは無理無理、君じゃ相手にならないよ」


 

 むっ。そんなのやってみないと分かんないじゃない。

 そう膨れっ面をシルに向けた。


 

「ごめんごめん。気に障ったよね? でも事実そうだと思うよ。確かに君は闘争競技ソロの準優勝者だし実力も高い。戦闘力だけで見ればAランク冒険者並みだと思うよ」


「だったら何が足りないってのよ」


「足りる足りないの次元の話じゃないんだ。【無尽】――【ピースメイカーの処刑人】はね、戦闘が卓越してるんじゃなくて――」


 

 そうだ。確かシルはあの時こう言ったんだ。

 


「暗殺の技術が卓越してるんだよ」


――――――――――――――――――――――――


「おっと。まさかあの体勢から抜け出すとは……。さすが闘争競技ソロ準優勝者にして共和国の英雄ですね」


「なによそれ。嫌味?」


 

 首にナイフを押し付けられた状態から、なんとか脱出して向かい合うことができた。

 サルフォッサスの見た目は、帝国軍人とはまた違った風貌でフルフェイスのヘルメットにボディアーマー、腰にはさっき押しつけてきたナイフと小銃、背中にはそんな近代装備とはミスマッチなほど浮いている無骨で大きなハサミを携えている。

 簡単に言えばフル装備の近代兵士といった感じだ。


 

「嫌味だなんてそんな。僕の奇襲を受けて生きてるのはあなたが初めてですよ」


「アンタの腕が鈍ったんじゃないの?」


「そうかも知れませんね。ですが……次はありません。【ゆらり、ゆれり】」


 

 サルフォッサスの周りに白い霧が立ち込め始め奴の姿が霧に飲まれて見えなくなっていく。

 


「オッポ!! 先に行って! コイツの相手するから今すぐに!」


「わ、分かりました姐さん! どうかご無事で!」


 

 あ、あれ〜。もっとこう「姐さん1人残して行けるわけないじゃないですか!」っとかないの?

 


「お仲間さんに見捨てられて随分と人望がないんですね?」


 

 霧の中からこだまするようにサルフォッサスの声が響く。

 


「う、うっさいわね! 人望がないんじゃないの! 寧ろありすぎてアタシの言うことに忠実なだけよ! たぶん……」

 


 自信はない。でもきっとそうだ! だってあのチンピラ共「ボスの言うこと絶対!」って感じしたもん!


 

「なるほどその力を持ってマフィアを従えたと言うわけですか。犯罪者共と結託する冒険者――なるほどこれは悪ですね」


「うおっ!?」

 


 霧の中からナイフがアタシの首に伸びてきた。

 ギリギリ回避できたけど、あと少し判断が遅かったら今ので死んでたわよ!?


 

「一度ならず二度までも。なるほどこれは僕も本気で相手しないといけないみたいですね。【ゆれりゆらり】」


 

 なにかの詠唱をしてることだけは分かる。だけどそれがこの霧を生み出す魔法とは限らない。

 シルから聞いた話だとコイツはいろんな種類の魔法を併用して処刑対象の目を欺くって言ってたし。迂闊に決めつけるのは危険って事よね。


 

 霧の中から四方八方ナイフの斬撃がどれも首を目掛けて向かってくる。殺意が高すぎて余裕が簡単!

 と思っていたら霧のモヤがかき分けられるように何かがアタシの横を通り過ぎた。


 

「ぐっ! な、なに!?」


 

 気付けば腕に傷ができていた。これってランドールの不可避の斬撃? いや違う。似てるけどあれよりもっと鋭い。


 

「【風魔法!?】」

 


 そうだこれは【風魔法】だ。王国の貴族が使ってた感覚に似てる。それによく聞くと風切り音が飄々と聞こえてくるし。でもただ魔法を飛ばしてくるだけじゃないかも知れない。

 


「それより今は奴の居場所を探らなきゃ!」


 

 それが1番難しい問題だった。

 奴の【気】を探ろうにも捉えることができない。

つまり奴はアタシを殺すことになんの感情も抱いていないってこと。作業的に、紙を二つに折るぐらいに、何も考えずに指を動かすみたいに。そんな自然と動けるほどにコイツは今まで人を処刑してきたってこと!?

 


「卓越ってレベルじゃないでしょ! これ!?」

 


 必死にナイフと【風魔法】の斬撃。ここだとカマイタチって言葉が正しいかな。そんな波状攻撃を必死に避けながら、逆転の手段を考える。

 何かあるはず。今までの戦いの経験からこの場で役立つ知識が――なにか!

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