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無知な田舎娘は未知に憧れを抱く!  作者: ギトギトアブラーン
第5章 恋と友情の王立騎士学校編①
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第31話 王国平等礼

 生徒会室を出て平民棟に向かってフォルティナが歩いていると、後ろから誰かに肩を叩かれて振り返った。


「や! フォルティナさん! さっきは大変だったね?」

「クロノ……さん……何の用?」


 フォルティナは髪を整えながら聞いた。するとクロノは首を傾げながら答えた。


「さん? ああ! 君は貴族だから言葉遣いに気をつけてるのか! いいよいいよ! 僕に敬語は要らないよ? 堅苦しいしね?」

「え……いいの?」

「良いって! いや〜編入するって言ってたから始業式からずっと君を探してたんだけど……髪型変えたんだね? うんうん! 前の髪型も好きだったけど、今のも可愛いよ!」


 「好き」と言われ、鼓動が早くなる気がしたフォルティナは照れたように髪を弄りながら答える。


「あ……ありがと……クロノくん」

「クロノで良いよ〜? フォルティナさんの事情は姉さんから聞いてるから安心して? 誰にも言わないからさ!」

「姉さん……?」


 フォルティナが首を傾げているのを見て、クロノが不思議そうに言った。


「あれ? 名前言わなかったっけ? セブンハーツって?」

「セブンハーツ……あ! マーガレットの弟なの!?」

「シーッ! 姉さんに聞こえるよ!」


 クロノが慌ててフォルティナの口を手で塞いだ。手に口が当たってるんだけど! やだやだ! 恥ずかしい!

 そう思ってさらに赤くなるフォルティナ。


「気をつけてね? 姉さんは貴族以外の人に厳しいから……」

「マーガレットさんもなんだ……でもなんで? さっきも話してたけど、貴族と平民は平等なんでしょ? なんでそんなに平民とか外国に厳しいの?」


 口から手を離されたフォルティナが聞くと、困ったようにクロノが話し始めた。


「フォルティナさんはこの国のことはあんまり知らないよね?」

「うん……まだ来たばっかだしね……」

「なら、20年前に〈オーバード〉が奴隷にされてたことも知らないよね?」

「それは……聞いた……アタシの友達が〈オーバード〉だから……」

「マロンちゃんとイデアちゃんのことだね? なら、そこから話すとしようか」


 クロノはフォルティナと歩きながら話し始めた。


「20年以上前、王国には貴族、平民、〈オーバード〉の奴隷、3つの役割に分かれていたんだ。貴族は平民と奴隷を……平民は奴隷を見下すように扱っていた時代があったらしいんだ」

「酷い……なんでそんなことを……」

「人は誰かを下に見ないと生きていけないからね……そんな体制が何百年と続いた時……ある組織が大陸で生まれた……」

「組織……もしかして……」


 フォルティナが思い当たる組織を言おうとして、クロノが頷いた。


「そ。〈エクリプス〉だよ。〈オーバード〉で組織された〈エクリプス〉は全大陸で〈オーバード〉達の身分解放、テロ行為をたくさん引き起こしてね。それが20年前ぐらいかな? 〈エクリプス〉に触発された力ある〈オーバード〉の反乱を恐れた現国王が、〈オーバード〉の奴隷身分を取り払ったんだ」

「なるほどね……それで貴族も平民も平等にしたってわけ?」


 フォルティナが言うと、クロノは頷いた。


「そうだね。奴隷がいなくなった貴族は、より平民をこき使うようになったんだ。でも平民にはもう奴隷がいない……まるで自分たちが奴隷になったような時代と言う人もいるぐらいね? そんな話が広まり始めて、国王は遅れて貴族と平民の平等……〈王国平等令〉を出したんだ」

「平民の反乱を防ぐために……」


 クロノが頷いた。


「で、今があるってわけ。王立騎士学校も貴族だけの学校だったけど、平民も入学できるようになったのも最近だね? みんなが平等な時代の到来だ!……でも貴族は誰かを下に見る習慣が抜けきれなくてね……未だに貴族は平民より立場が上だと教育する所もあるみたい……僕の家がそうだしね……」

「だからマーガレットさんも、最初のノーラもあんなツンツンしてたんだ……」


 でも、いつまでもこのままじゃ駄目だと思う……いつかは変わらなきゃ……じゃないといずれ反乱が起こっちゃう……

 そうフォルティナが考えていると、クロノが手を握ってきた。


「だから僕は君が編入して、貴族相手に挑む君を見て思った! 君がこの生き辛い国を変えてくれるんじゃないかって!」

「え……そんな、アタシはただの外国から来た田舎娘だし……そんな力ないよ……」


 クロノがブンブンと首を振って答える。


「いや! フォルティナさんにはあるよ! 君ならきっと変えられる! だからエレオノーラさんも君を編入させたんだと思うよ! 自信持って?」

「そ……そうかな〜?」


 フォルティナは嬉しくなったように鼻を指で掻いた。


「そうだよ! あっ! そろそろ戻らないと……姉さんに怒られちゃう……僕、戻るね?」

「待って!」


 クロノが手を離し生徒会室へ戻ろうとするのを、フォルティナは止めた。


「どうしたの?」

「あ……いや……なんでアタシを追いかけて来たの? 生徒会室に戻るならここに来なくてもよかったんじゃない?」

「え〜? 確かにそうだけど……君と仲良くなりたかったから……これが理由かな?」

「え!……なら!……」

「じゃ! またね!」


 フォルティナの言葉を待たずにクロノが走り去った。

 今生の別れでもないし……次会った時に言おう。

 どこかに遊びに行こ! って!

 フォルティナは笑顔でZクラスまでスキップして帰った。

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