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第18話 ダンジョンNo.115

 ミーティングを済ませた俺……ジーク・ヴァールハイトとエレナ、アーサー、リアの4人。モドキ竜車の中で揺られてギルドから(くだん)のダンジョンNo.115を目指す。


 そんな中、アーサーは琥珀の瞳を細め、俺とエレナを興味深げに眺めていた。


「アーサーさん、どうかしたんですか?」

「ああ、いや。中々やるなぁって思ったんスよ」

「ふーん?ま、別にいいわ。それで?お眼鏡に叶ったかしら?」

「おう!それはもう!」


 エレナの問いかけにいい笑顔でそう述べるアーサー。


「見ただけでそういうの分かるんだな……」 

「おう。息遣い、佇まい、歩き方とか色々あるけど……まあ1番は魔力だな」


 アーサーは持論を語っていく。


「普段歩いたり走ったりする時にも魔力纏ってたりするだろ?その延長で、普段ずっと纏ってる人居るんスよ」


 魔力は纏っているだけで身体能力を上げる効果がある。だから街中でも魔力を纏っている人は多い。


「纏い得だと思われるけど、その状態の魔力も消費されてるんスよ」

「そうなんだ……」

「魔術学院でもそういうのは居るわ。その内矯正されるけど」


 俺は魔力については詳しくなく、あまり気にしたことか無かった。しかしエレナにもそういう人間に覚えがあるようだ。


「そういう人は素人っスね。あと、中級者に多いんスけど、魔力をわざと揺らめかせて魔力操作が下手な素人アピールしてる人。そういうのもぶっちゃけダメダメっス。揺らす分、素人より魔力の無駄遣いしてるようなもんだし」

「同感ね。1の魔力を無駄にする者は、1の魔力に泣く。魔術学院で初めに習う事よ」


 上級者ほど1の魔力で色んな事が出来る。有限であるリソースをより効率的に扱う為、細心の注意を払うのだ。


 故に……素人に見せかけて油断させる為に使うなど、費用対効果が薄い無駄な使い方は言語道断。


「その点、2人はまさに上級者って感じスね。魔力を一切纏っていない。けど必要とあらば直ぐに引き出せるようにしてる。ジークの方は魔剣の指輪みたいですけど」

「っ!そこまで分かってるとは……」


 俺の驚く顔を見て微笑むアーサー。その観察眼は伊達では無い。

 

「まあ、ジークは魔剣の修練の為に自前の魔力は封じさせたからね」

「なるほど。常日頃から鍛錬ということッスね」


 魔力が使えない俺の事情をさり気なくフォローするエレナ。


 あくまで自然に説明を……サンキューエレナ。


 エレナに感謝しながら目配せをする。それを見た彼女は感謝の気持ちを察したのか顔を赤くする。


「ふ、フン……!」


 照れ隠しだろうか?顔を背け、窓の外を眺めるエレナ。


「仲良しなんですね」

「師弟って感じッスね」

「ま、まあね……」


 リターナー兄妹は事情はよく分かっていないが、俺たちが良好な関係を築いている事に微笑むのだった。


 そうこうしている内に件のダンジョンNo.115に来た。目の前には大きな石造りの扉がある。その中に1歩でも踏み込めば、そこは魔物が作り出した迷宮だ。


 外からでも漏れ出す雰囲気は重苦しく、嫌でも一同は身構えてしまう。そんな中、俺は指輪に意志を込め、黒衣に変身する。


「そんじゃあ行きますか」


 俺の言葉にエレナ、アーサー、リアが頷く。そして一同はダンジョンの入口に入るのであった。


「暗いな……」

「任せなさい。『光子(フォトン)』」


 エレナが周囲を照らす光を灯す。これにより暗かった洞窟も問題なく進める。このように暗がりを警戒するのは冒険の基本だ。


 松明を使って魔力を節約する冒険者もいるが、それでは片手が塞がってしまう。ゆえに、魔力に余裕があるならば両手を空けておける魔術を使うのが効率的だ。 


 冷たい岩肌が周囲を覆った洞窟。それをアーサーと俺を前衛に、エレナとリアを後方に配置した布陣で4人は奥へと進んでいく。


 暫く歩くと、4人は同時に足を止めた。


「来る!」


 そう、立ち止まったのは魔物の気配を感じ取ったから。前方からは20匹はいるゴブリンの群れが迫ってきた。


 だがただのゴブリンでは無い。その動きは非常に俊敏、そして手に持った石の棍棒は禍々しい魔力が纏わりついている。


 並の冒険者が出逢えば苦戦を強いられるのは明らか。


 聞いてた通り、だいぶ強化されてるみたいだな……!


 俺は事前情報に納得し、アーサーと共に抜剣する。

 

「いくッスよ!」

「おう!」

 

 俺とアーサーは迫るゴブリンへ駆け出す。後衛へ通さないつもりだが、突破されても後衛が魔術を使う時間は稼げる距離を作る為だ。


 ゴブリンが飛びかかる。それに俺は突きを繰り出す。魔剣を解放していなくとも片手剣程の長さはある。そして腕の長さも、俺とゴブリンではまるで違う。


 故に、リーチが長い俺の攻撃が先に届く。鋒は喉に直撃して即死だ。


「次!」


 刺さったゴブリンを蹴り落とし、最小限の動きで1匹、2匹、3匹と切り裂いていく。


 その少し横では、アーサーが白い盾でゴブリンを殴り飛ばす。殴られた個体は、後方から来た他のゴブリンとぶつかる。そしてドミノ倒しの形になる。


 ゴブリン達が起き上がる間も無く、アーサーは剣の連続攻撃を繰り出し奴らを真っ赤に染める。


 会敵から10秒経たずにゴブリンは半分まで減る。順調そのものだ。


 だがその時、後方の壁が砕け、中から10匹程のゴブリンが現れた。先頭の個体は魔術で作った激しく回転する槍を手にしていた。


 魔術で壁抜きして挟撃……!


 ゴブリンは悪知恵を働かせたのだ。だが後衛2人は全く動じていない。


「ジーク、アーサー。あんたらは前を。これくらいどうって事無いわ」

「ええ、こちらは2人で十分です」


 しかし、ゴブリン達も運が悪い。このパーティは皆が高位の魔術師と遜色ない力を持つ。


「『チェイン』」


 エレナのかざした手から魔力の弾が放たれ、ゴブリンの前で弾けて鎖となる。奴らを縛った後も鎖はくい込んでいき……果汁を搾った果実のように鮮血に染まる。


「縛るつもりだったけど、弱すぎね」


 エレナは余裕飄々の声を漏らす。その横では、リアが杖に魔力を集めていた。


「『水刃(ウォーターブレード)』」


 彼女の周囲に展開された複数の魔法陣から水の刃が放たれる。それはゴブリン達をたちまち真っ二つにしてしまう。


 それと同時に、前衛2人もゴブリンを倒し……1分も経たずに30体程の群れを全滅させたのだった。

 

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