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SAN値偽装の邪神ちゃん ~TS少年は人間界に戻りたい~  作者: 草食丸
2章:邪神ちゃんの春は爆炎に吹かれる
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58本目 ムナガラー

作品に興味を持って下さり、ありがとう御座います!

どうぞ最後までお楽しみ下さいm(_ _)m

 僕はお姉ちゃんが大好きです。

 どのくらい好きかというと、手をいーっぱい、いーーっぱい広げたのを沢山集めたくらい大好きです。


 お姉ちゃんとだったら、僕は『けっこん』っていうのをしたいなって思います。

 だってお姉ちゃんが昔、それは世界一好きな人とするんだって教えてくれたから!

 僕はお姉ちゃんが世界で一番大好きだから、間違ってないよね。


 そして僕はお姉ちゃんが大好きだから、お姉ちゃんのすごい所をいっぱい知っています!



 お姉ちゃんはすごく美人さんです。

 ポテ子お姉ちゃんとか、寧々子お姉ちゃんとか、炎樹ママとか、僕の周りには綺麗な人がいっぱい居ます。でもその中でも、お姉ちゃんは一番の美人さんです。


 前に雅お姉ちゃんに教えて貰いましたが、お姉ちゃんは『美人ダイバー』っていうランキングって言うので、いつも一番なんだそうです。すごいです!



 お姉ちゃんの髪はすごく綺麗です。

 見た目がウネウネしていて、すごく手触りが良いんです。ぱっと見たら黒色に見えるんですけど、光が当たった時に緑色に光るんです。


 おんなじ緑色ですごく嬉しいです、こういう色を『こーらいなんど』って言うらしいです。

 すごく難しい漢字でどうやって書くのか分からないんだけど、きっとキレイって意味なんだと思います。



 お姉ちゃんのお胸はすごく大きいです。

 僕はお姉ちゃんより大きい人を見たことがありません、触っていてすごく落ち着きます。


 抱き着いた時に優しく僕を包んでくれます、それが気持ち良くてお顔を埋めると安心します。

 すごく良い匂いもします、とても暖かいです、トクントクンって良い音も聞こえます。ここに居て良いんだって教えてくれます。



 お姉ちゃんの声はすごく安心します。

 大きくないのに通っていて、何処に居ても聞こえます。


 キリッとしていて大人っぽいのに、声自体はすごく可愛いんです。

 周りでどんなに大きな音が鳴っていてもスッと僕のお耳に届いて、『ここに居るよ』って教えてくれるんです。

 お姉ちゃんが僕の名前を呼んでくれるだけで何だって頑張れるし、どんな時でも大丈夫だって思えます。



 お姉ちゃんの手はすごく格好良いです。

 白くて細くて長い指なんだけど、いつでも僕を守ってくれます。


 優しく僕の頭を撫でてくれるし、お目目が赤くならないように涙を拭いてくれます。

 アゴの下をこちょこちょしてくれるのが気持ち良くて、あといつでもどんな時でも必ず僕の見える所にあります。

 迷わないように僕の手を握ってくれて、転ばないように引っ張ってくれて、不安な時は抱き締めてくれる。そんな魔法の手です。



 嬉しい時も、寂しい時も、暑い日も、寒い日も、お姉ちゃんはいつだって僕と一緒に居てくれました。


 お姉ちゃんは世界の誰よりも綺麗で。


 お姉ちゃんは世界の誰よりも格好良くて。


 お姉ちゃんは世界の誰よりも美人さんで。


 お姉ちゃんは世界の誰よりも優しくて。



 ──お姉ちゃんは、世界の誰よりも凄い。



 今だって、ほら。あんなにも強い、イジワルなおじいちゃんを簡単に倒しちゃいました。

 流石お姉ちゃんです、僕は安心してお姉ちゃんを見詰めます。


 僕はお姉ちゃんとずーっと一緒に居たいです。

 その内お姉ちゃんみたいに強くなって、今日みたいに一緒に悪い人と戦うんです。

 そしていっぱい沢山の人を助けて回って、沢山の人から『ありがとう』って言って貰うんです。


 そしたら僕も、お姉ちゃんも、いっぱいの人から『お友達になろう!』って言って貰えると思うんです。

 そして皆でダンジョンをいっぱい攻略して、住めなくなっちゃった場所を取り戻すんです。

 その時も隣ではお姉ちゃんが僕の手を握ってくれていて、優しく笑ってくれてて──。


 お姉ちゃん、大好きだよ。


 僕はそれ以上、お姉ちゃんに『大好き』の伝え方が分かりません。

 上手に伝わってるかな? お姉ちゃん、ずっと一緒に居ようね。



「お、お姉・・・ぇ、ちゃ・・・ん」



 ずっと、いっ・・・しょ・・・。




 ◆




 ──トンッ


 流々が背中に感じたのは、そんな小さな小さな衝撃だった。



「えっ?」



 違和感を感じて下を向くと、剣の切っ先が胸を貫き飛び出ていた。

 何が起こったのか分からない。村正は向こう側で護にボコられている、ならこれは?


 流々がその答えを知る前に胸に激痛が走り、夥しい量の血が噴き出した。



「これで一人目だな。嬢ちゃん、戦ってる途中で気を抜くのは駄目だぜ?」



 後ろに誰かが居る。

 それに気が付いたのか、護が何かを叫びながら此方へ走って来る。



「お、お姉ぇ・・・ちゃ・・・」



 大好きな姉に触れたくて手を伸ばす。

 しかしそれは届かず、流々はそのまま血溜まりに沈んだ。



「流々っ、流々っ、流々っっっ!!」

『落ち着けっ、まずは傷口を押さえるのだっ!!』



 護は指示に従い圧迫止血を試みるも当然効果はなく、抑える手の隙間から温かいものが溢れていった。



「ち、血がっ・・・クトーさん、回復、回復魔法はっ!?」

『すまぬ、我はその類の術が使えんのだ』

「そんなっ!? このままじゃ流々がっ!!」



 鼓動に合わせ溢れる血を見て、流々は剣が心臓を貫いていた事に気が付いていた。

 生き物が生きる上で絶対に必要なたった一つしかない臓器、それを失って生きていられる生物はいない。

 それを失った、つまりは流々の『死』を意味していた。



「あ・・・あ・・・あぁ・・・ぁあああああああああああっっっ!!!!!!」

『気をしっかり持てっ、落ち着くのだ!!』

「やだっ、やだあああっっっ!! 止まってっ、止まってよっ!! 流々がっ、流々のっ!!」



 見たことが無い姉の姿。

 聞いたことが無い姉の泣き声。



「(あぁ・・・お姉ちゃんが、泣いてる・・・僕が・・・泣かせちゃ、った・・・僕・・・悪い、子)」



 手を握ってあげたい、『大丈夫だよ』と抱き締めてあげたい。

 大好きな姉が笑顔になるなら、何でもやってあげたい。それは流々が護に初めて出会った時に心に誓った幼く強い想い。


 だがどうしても手が、体がうごかない。

 体温が少しづつ下がっていくのを流々は感じていた。

 そしてそんな事情など知らぬと、一人の男が血の滴る剣を片手に話しかけてくる。



「なぁなぁ、せっかく助けてやったのになに泣いてんだよ。俺が悪い事したみたいじゃんか」



 護が声に視線を向けると、そこには白と金の鎧を身に纏った高校生くらいの日本人らしい青年が立っていた。

 その表情に悪意は無く、ただただ困惑していた。



「たす・・・けた、ですって?」

「お、おう、そうだ。今アレだろ、何か悪ぃもんに操られてんだろ? だからホラ、こうやってそれを解いてやったんじゃねーか。これでこっちに帰って来れるだろう?」



 操られている? 流々を切ったことが解放? 帰って来れる?

 分からない、この青年の言っていることが何一つ分からない。そもそもこの青年は誰か、いつ現れたのか、何故流々を刺したのか。


 その答えはすぐに判明する。



「セイギ君、女の子に乱暴はいけませんよぉ。男の子は、常に優しくないといけませぇん」

「そうですよセイギ、貴方は『勇者』なのですからもっとその自覚をですね・・・」

「かっかっか、流石の勇者殿も『聖女様』と『大賢者様』には頭が上がらぬようですな」


「おぉ、お前等も来たのか。()()()()()()()()()()()()()!」



 勇者と呼ばれた青年の後ろに現れたのは魔女然とした恰好の美女と聖職者らしき恰好の少女、そして先程トドメを刺したはずの村正が五体満足で立っている。

 そう彼等は欲望の汚泥が元々居た別次元世界を救った勇者達、それが欲望の汚泥に呑まれた事で変質したその成れの果てであった。


 かつては各々信念を胸に、神に仕え、夢や希望や使命を持った者達。それが今では欲望の汚泥を絶対神と崇め、相手を呑み込み一つになる事が正しいと信じて疑わない。

 最早会話の成り立たない狂信者と化している。



「さて、次は姉ちゃんの番だぜ。安心しろよ、痛くねぇ様にするからよ!」

「もうあの童の目は無いぞ、諦めて家に戻るんじゃな」



 村正を追えた流々は居ない。流々を貫いた勇者の剣も恐らく聖剣かその類いだろう、防げるとは限らない。


 此方は一人、あちらは四人、それも勇者パーティ。

 しかも死んでも復活してくるチート付きである。


 明らかな不利、いや、勝てる見込みが無い。

 それを理解した勇者達は、今なお流々を胸に抱き俯いている護に近付き剣を振り上げた。



「んじゃあ、また後でな」



 無造作に、だが油断無く剣は振り落とされ──。



「は──ガッ?」



 勇者の()()()()()()






『シュー・・・シュー・・・ブツブツ・・・』






 頭部の断面を晒して勇者は崩れ落ちる、それを村正達は驚愕の表情で見ていた。

 勇者を後ろから見ていた勇者パーティの面々には勇者に起きた異変が見えていなかった、その為ただ勇者が倒れただけに見えたのだ。


 勇者が倒れた場所では、変わらず護が項垂れている。



「い、いったい何が・・・」

「セイギくぅん、どぉしたのぉ~?」

「儂が見にいこう・・・いや、その必要は無いの。勇者殿は亡くなられたようじゃ。じゃが、いったいどうやって・・・」



 勇者が絶命した、その証拠に体が泥に戻っている。

 それを見た聖女の顔が恐怖に染まった。






『シュー・・・シュー・・・ブッブッ・・・』






 少し神話の話をしよう。


 以前にも話した世界で最も新しいとされる神話、それが『クトゥルフ神話』。

 1920年頃、ハワード・フィリップ・ラヴクラフトによってホラー小説として発表されたそれに登場する邪神達は実在し、その正体は地球を開拓しに来た神性を得た宇宙人達である。


 流々の義父こと邪神クトゥルフに率いられたその者達は、生まれたばかりの地球に降り立つとフォーミングを開始。

 それから長い、それはそれは長い時が流れ、地球を維持することに力を使い果たした末人間に帰化し、一柱、また一柱と姿を消していった。

 つまりクトゥルフ神話の神達は、邪神とは名ばかりの今の地球を作り上げた偉神(いじん)達なのである。


 そんな邪神船団の副官を務めていたのが、護に宿る邪神『ムナガラー』である。


 クトゥルフ神話において、その邪神の名はそれほど知られていない。

 だがその存在感は圧倒的で、クトゥルフの絶対的信頼を得た『クトゥルーの右腕』と呼ばれただけでなく、かつて地球がゴンドワナ大陸という一つの大陸だった頃に唯一の海『テティス海』の支配者であった。

 そうその邪神は王だったのである、なのにその邪神の名はあまり知られていない。それには理由がある。


 ムナガラーに遭遇した生物が尽く死亡している為である。


 その為伝えられているのは遭遇時にムナガラーから離れていた為に難を逃れた者達による僅かな証言のみ。




 曰く──召喚者は即座に潰される。



 曰く──触手が体内に侵入し、体を裏返される。



 曰く──裏返された後、食われ体の一部にされる。



 曰く──ムナガラーからは、逃げられない。




 クトゥルフ神話の中でも突出して悍ましい姿を持つムナガラーだが、一つ他の邪神とは違う点がある。それは、ムナガラーには能力が存在しない。


 クトゥルフは次元に干渉する力を持ち、ニャルラトホテプは闇に干渉する力が、ハスターは大気にとそれぞれを象徴とする力があるが、ムナガラーにはそれが無い。

 そう、ムナガラーは突出した能力なく支配者へと至った邪神なのである。


 ただ速く、強い。それがどれ程恐ろしい事であるか勇者たちは気付いているだろうか。

 過去ムナガラーに遭遇した者達はほぼ死亡しているが、僅かに生き残った者達がムナガラーに遭遇した場合に生き残る方法を書物に記していた。




 ムナガラーは触手の生えた肉塊の様な姿をしており内臓と目玉が露出している、だがその姿からは想像できない程の速さで動く。


 故に出会ってから逃げることは不可能である。


 ムナガラーから逃れるためには、予め逃れるための準備が必須。もしくは何らかの方法で防護を固めるか、その視界から隠れなければいけない。


 もし何の対策もしていない状態で出会った時は、耳を澄ませ。


 かの邪神が召喚される時、必ずある音が聞こえる。


 水を含んだ何かが悶えるような音、そして特徴的な音。もしそれが聞こえたら──。




 ──その音が聞こえたら、全力で逃げろ。













『シュー・・・シュー・・・ブツブツ・・・』

ムナガラー「む? 遂に私の出番ですか、ちょっと金ピカの青年にお灸を据えるとしますか」

クトゥルフ「力を失っているし、出ないのではないか?」

ムナガラー「え、此処で出番が無いと一生出て来れなさそうなのですが?」

クトゥルフ「まぁ、宿ったのがメインキャラクターだった故・・・諦めよ」

ムナガラー「Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


最後まで読んで下さり、ありがとう御座いました!

また次の更新も宜しくお願い致しますm(_ _)m


☆隔日 7∶00頃更新です☆

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 つまり護さんが完全ブチ切れモードに突入→ムナガラーフォーム(?)になった…って感じですかね?
とりま、アカッシックレコード書き換えて存在消すわ。
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