54本目 邪神ちゃん?
作品に興味を持って下さり、ありがとう御座います!
どうぞ最後までお楽しみ下さいm(_ _)m
☆前話でお伝えしましたが、今週から週一土曜更新になっています。
ご了承ください。m(_ _)m
【古き者共の塒ダンジョン】
護が流々に会えないストレス全開で暴れまくっていた時、此方のダンジョンでも正体不明の生物が暴れまくっていた。
八本の足を巧みに動かし這うように床、壁、天井を動き回る深緑色の生き物は、某名作アニメーション映画に出てくるタ◯リ神と見紛うヤベェ動きで爆走する。
しかもそれはただ爆走しているわけでは無く出会い頭にモンスター達を次々と轢殺、一度も止まること無くドロップ(食べ物限定)を次々口に入れながら移動していた。
あまりの恐ろしさにモンスター達は震え上がり息を殺して隠れるも、その生き物は余程目が良いらしく、どれだけ上手く隠れても見付かる。
珊瑚の影から僅かに頭を出した瞬間には目が合う、そして走って逃げる事は叶わず。
【タタ◯神からは、ニゲラレナイ】
タ◯リ神は恐ろしい鳴き声?を上げ、モンスター(ごはん)に襲い掛かっていった。
「ひええええええええええっっっ!?!?!?」
「もぐもぐもぐ」
今更言うまでも無いとは思うが正体はタ◯リ神ではなく、流々と愉快な仲間達である。
流々は護の懸念などつゆ知らず、タコ足八本を使いダンジョンを疾走していた。そう、流々は走れるのだ、タコ足を使えば!
「くくくくく九冬さんっ、早い早い早いいいいいいっっっ!!!!!!」
『急げと言ったのはお主であろう』
「走ったらお腹空いちゃうの。でもお姉ちゃんはもっと早く着いちゃってるかも、僕も急がないと!」
「せめて地面を走って下さいいいいいひぃいいいいいっっっ⁉」
いや、流石に護もそこ迄早く到着はしていない。
流々の想像する姉は完璧超人である為、今回のように競争のような形になると「いっぱい頑張らないと!」になるのである。
護の言うように、流々は走ることが出来ない。
それは生えているタコ足がかなりの重量を持っており、多少人並外れた力を持とうと流々の細い脚ではそれを引き摺って歩くまでが限界だからだ。
しかしそれはあくまで人間の脚でのことであり、これがタコ足となると話が変わる。本来タコは成人男性の三~五倍近い筋力を持っており、それが大人の太腿ほどもある太さのタコ足となると流々の総重量を支え、女性(尼崎先生)を一人抱え、更に天井に貼り付き移動するなど造作でもない。
しかもそれが計八本、流々はジェットコースターも真っ青な急カーブ急降下の高速立体機動で移動する。尼崎が叫ぶのも仕方ないことだった、人類には早すぎるアトラクションなのだ。
なおデメリットとして、護くらいのお姉ちゃんパワーがないと安心できない、端から見るとタ〇リ神にしか見えない、そして大量のカロリーを消費してしまうなどがある。
そう、この動きには大量のカロリーが必要。
すぐに空腹になるという理由もあり、流々は普段人の脚で歩いているのである。(※それでも腹は減る)
流々は普段クトーの"次元に干渉する力"を利用したスキル『食糧庫』を使い大量の食べ物を持って歩いているが、タコ足移動のカロリーをカバーする程の食料となるとエンゲル指数縛上がりとなり、護の稼ぎでも破産してしまう。だが、ここはダンジョン! それも必ず食べ物が落ちるダンジョン。
流々は爆走しつつドロップした魚の切り身(生)、貝柱(生)、カエル肉(生)をそのまま補給。消費した端から足していく無限機関暴走タ◯リ神が出来上がったのである。
ただ一言言わせてもらえるならば、できれば焼いて食べて欲しい。
ダンジョンに突入して約30分、流々はなんと三階層への侵入を果たしていた。
「ぐすっ、怖いから止まってって言ったのに・・・」
「ご、ごめんなさい。お姉ちゃんが平気そうだったから、先生も大丈夫だと思ったの」
『軟弱者め』
「先生に対する期待が高過ぎるっ!?」
忘れられつつあるが、護も邪神の神核継承者である。それと比べてはいけない。
「それにしても九冬さんは、こんな暗い中よく隠れているモンスターや道を見つけられますね。先生には全然分かりませんでした」
「うん、あのね、このお目々がね暗いところでも凄くよく見えるの!」
あまり知られていないが、タコはとても目が良い。
色は識別出来ないが自然界にある僅かな光を捉え、モノクロの世界においても岩、草、生物の質感を見分ける。
更にその目はカメラのレンズのように二枚の水晶体を動かすことでピントを調節することが出来、驚異的な動体視力で僅かな動きも察知する。
つまり海の中で十数メートル先に居る小魚がイソギンチャクに隠れて勝ち誇った顔をしていることすら、明確に識別出来るのだ。
クトーの力を継承したことで人間とタコ、両方の目を手に入れた流々の視界は説明が出来ないほど鮮明であり、ぶっちゃけスコープ無しで数キロ先の敵をヘッドショット出来てしまう程。
しかしまぁ流々はそういった難しい事は分からず、また興味も無いので「何か目が良くなった!」程度の認識だったりするのだが・・・。
「ひとまず、九冬のお陰でかなり早く進んでいます。ここからは普通に歩いて行きましょう。危ないですからねっ! そう、危ないからです。他に他意は無いですよ?」
『分かった分かった、そういう事にしておいてやろう。というわけだ流々、歩くぞ』
「はーい!」
ツカツカツカ・・・
ツカツカツカ・・・
ぺたぺた・・・ズルズル・・・
「・・・・・・」
ツカツカツカ・・・
ツカツカツカ・・・
ぺたぺた・・・ズルズル・・・
「・・・・・・あのー・・・やはり先程の走り方でお願いします」
『初めからそういえば良いのだ』
流々は歩くのが遅い。
◆
タ◯リ神もとい、流々と愉快な仲間達はそれから一時間と経たず五層目のボス部屋のへと到着した。
そこには何かの物語を表しているのか、何処か禍々しさのあるレリーフの彫られた石の大扉があり、扉の隙間から出入りする空気が化け物の息遣いのように感じられる。
「この絵って、お魚さん達が掘ったのかなぁ?」
『どうだろうな、あ奴らにその様な知恵も技術もある様には感じられぬが』
「そう言われると確かに不思議ですね」
レリーフとは装飾品であり技術である。
つまり必要がなければ産まれないものであり、産まれるにも相応の知恵が必要なものであるが、ここの住民で唯一そういった事が出来そうなのがマーマン。
だが彼等の「ニク、ウマ」以外の知恵が入ってなさそうな脳みそからは、とてもでは無いが考えられるとは思えない。
一度気になるとつい考え込んでしまうが・・・まぁこの辺りはダンジョン学の分野であり、別に今考える必要もないので、流々達は早々に見切りをつけ扉を潜った。
重く、石臼を挽くような音を立てて石扉が開かれる。
中で待ち構えていたのは護の時と同じく冠とマントを身に着けた巨体の魚人、四匹の近衛を侍らせた『魚人の王』である。
ここまでのモンスター達とは比べ物にならない気配を持った近衛と、それよりも更に大きな存在感を放つ王は五匹五様に武器を構えるが、護の時とは違い此方は全員が剣の自然武器を構えていた。
魚人の王が流々達の姿を視認すると咆哮を上げ、近衛は素早く流々達を取り囲む。
「ひいいいっっっ、くくく九冬さんっ!? 何で無警戒に近付いちゃうんですかっ!」
尼崎の実力では近衛一匹にすら勝てない。
向けられた剣がギラリと光り、まるで命を刈り取ろうと意志を持って此方に視線を向けている様だ。
──足りていない。
何が? 近衛の数は4、間合いは大凡1メートル。
人外の膂力は一撃で骨を砕き戦闘不能に追いやる。
近衛は血のような赤い目を歪めて笑い、肉に歯を突き立てる瞬間を今か今かと待ち侘びていた。
だが、それは叶わない。
そう、圧倒的に足りていないのだ。
流々の足は八本、間合いは5メートル、そしてその力は──成人男性をも小枝の様に、悠々と振り回す。
「ギャッ!?」
「ガッッ!!」
「ガギャッ!」
「──ッ!?」
四匹の近衛は一歩も動くこと敵わず、流々によって捕らわれそのまま王へ叩きつけられた。
「gyaaaaaaaaa!?!?!?」
左右から高速で王に叩きつけられた四つの肉棍棒は、一撃で王の形を歪める。
何度も激しい肉を打つ音が続き、掴んでいた"物"は千切れ飛ぶ。そして尼崎がそのあまりのエゲつない光景に目を覆っている間に王達は光の粒子となって消えていった。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
「あ、あの・・・九冬さん。もっとこう、穏便な方法は・・・」
『注文の多い奴だ』
「でも僕は魔法とか使えないし、武器も使えないし、持って投げるか振るしか・・・うぅ・・・」
「ごめんなさい、先生が悪かったです」
尼崎の言う事も理解できなくもないが、それを言ってしまえば眉間を銃で撃つ以外何も出来なくなってしまう。『ガンガンいこうぜ』以外の選択肢がない流々には土台無理な話である。
色々あったがひとまず目標であった五階層踏破を果たし、これで騒ぎは収まると胸を撫で下ろした尼崎であったが流々の瞳が部屋の奥にある何かを捉えていた。
どれだけ暗かろうと鮮明に対象のシルエットを捉える高性能な流々の目は、それが良く知る人物のものであることを理解する。
「あら? るるじゃない、どうしてここに?」
流々 「おとーさん、タ〇リ神ってなに?」
クトー「うむ、きっと別の邪神の類であろう」
尼崎 「ホモォとも言いますね」
流・ク『?』
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最後まで読んで下さり、ありがとう御座いました!
また次の更新も宜しくお願い致しますm(_ _)m




