52本目 友達
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モザイク観覧車から伸びる二本の道、『ハーバーロード』と『神戸ガス燈通り』には当時モンスターの侵入を防ごうとしたのであろう、バリケードの代わりに幾つものコンテナが積まれている。
胡愛はその天面に立ち《深淵の境界》を、そしてその奥にある《古き者共の塒》を眺めていた。
結局侵入を許してはしまっているがバリケードとしての効果はあったようで、眼下には何処から出ていたのか道を埋め尽くす程のマーマンが足止めを食らっていた。
「うわぁ・・・とんでもないわね」
「そう? 集まっても雑魚は雑魚でしょ」
「護さんって、カエルとかウジャウジャ系は大丈夫なんですか?」
「得意じゃないけど、何も考えず暴れられるし、カエルは結構好きよ」
実はその考え無しに暴れたが結果、いつも丹波を困らせていることに護は気が付いていない。
現在コンテナからマーマンを見下ろしているのは流々、護、胡愛、炎樹、そして高砂と尼崎の六名。
眼下の状態を見て何を連想したのか、何名かは顔を青くしていた。
「美月お姉ちゃん。ど、どうしてここに居るの?」
「いやぁ、ウチさっき何もしてへんやん? せやからこっちで働かせて貰おーかな思てん! 流々ちゃん、ウチと一緒は嫌なん?」
「ううん、全然イヤじゃないよ。でも危ないよ?」
「だいじょーぶやって、ウチかて結構強いんやで? あと胡愛ちゃん達とも相性ええねん」
学生であるにも関わらずそこ迄自信を持つ高砂のスキルとは何なのか、流々はすごく興味があった。
流々がくりくりとした目を高砂に向けていると、「まー、ちょっと見ときぃ!」と言って足元のコンテナに触れる。
「炎樹さん、胡愛ちゃん、準備ええ?」
「良いわよぉ」
「いつでも来なさい!」
「ほんなら、いくでっ! 《反磁力場》!!」
高砂がスキルを発動すると同時に、コンテナに群がっていたマーマン達が一匹残らず吹き飛ばされた。
◆
「条件付きですが、貴女をCランクダイバーとして認定します」
そう言われライセンスを渡された時の私の気持ちは複雑だった。
私のパパはDランクダイバーだった。そして一般的にはDランクというのは、そう強くない。
それでも私達が暮していくには十分な稼ぎだったみたいだし、私の目にパパは凄く格好良く映ったし、凄く強く見えた。
パパは強い、パパよりも凄い人はいない、私はパパが大好きで今の暮らしが好きだった。
しかしそんな暮らしは、私が大きな事故にあったことで一変する。
一次は命も危ぶまれる状態だったみたいだけれど、幸い大きな傷も後遺症も残らず退院することが出来た。というよりも気持ち悪い程全ての怪我が治った。
そして私の髪は今の状態になっていた。
初めは驚いていた二人だったけれど、ママのスキルの事もあり「そんな事もあるんだろう」と怪我の回復とスキルの発現を喜んでくれた。
──でも周りは違った。
私の昔住んでいた場所はダイバーに対して当たりの強いところで、私の髪を見た人達はすぐに私たち家族を攻撃し始めた。
家に落書きはされるし、ゴミを投げ入れられる。ママは食べ物を売って貰えない事もあったし、私は「消火する」とか言われて水をかけられた。勿論先生は味方になってくれない。
たぶん私が知らなかっただけで、パパもずっと前から色々言われていたんだろうなってその時に気が付いた。
私はこの力が嫌いだった。だからこの力が認められて、しかもパパよりも高いランクになっても何も嬉しくなかった。
パパの方が強かった。
何故私がCランクに?
ママの手伝いが出来る。
友達が居なくなった。
お家に住めなくなった。
もう頭の中も、心の中もぐちゃぐちゃだった。
こんなスキルが無ければと恨んだこともあった、でも何も変わらなかった。
それどころか、パパが居なくなって、友達も居なくなって、お家からも追い出されて、私は失うばかりだった。
引っ越しをして、転入した探索者学園で私と似たような子供が沢山居ることを知って、少しは心が軽くなったけれど、それでも心が晴れることは無かった。
『せめて見た目が普通なら・・・』
そう思わない日は無かった。
しかしこうも思う、見た目が普通だったら何だというのだろう?
見た目が変わっただけで、昨日まで笑いあった友達に石を投げられるような子達だ。そこに友情なんて最初から無かったのかもしれない。
確かに「友達になろう」なんて言った記憶も、約束した記憶も無い。
きっと私が勝手に友達だと思っていただけ。それなら、こんな気持ちになるなら、初めから友達なんて要らない。
そんな『物』、最初から要らない。
でもそんなある日に知ったのが九冬 流々という女の子。
私と同じで、人間と違う姿になった子。
私と同じで・・・ううん、私以上に皆から酷い事をされた子。
だから分かる、私だけがこの子の気持ちを分かってあげられる。
この子だけが、私の気持ちを分かってくれる。
最初は受け入れられなかった。
ほかの子と友達がどうこうって話していたけどきっと、あんなものは出任せだ。きっと裏切るに決まっている。
そう思い相手にしなかったけど、何日も何日も犬みたいにくっ付いてきて、私を探して。
最後には無茶をして、怪我をして、そして面と向かって言ってくれた。
『お友達になろう?』
結局、私が素直じゃないばっかりに色々な事があったけれど、今ではかけがえのない友達になれた。
だから好きじゃない力も、流々の為なら少しは胸を張れた。
今はまだ好きになれない力だけど、流々と一緒ならこれから好きになれるのかもしれない。
「だから・・・パパ、見ててね。私、流々とママと頑張るから!」
私一人だとたぶん無理だ。
でも私の側にはママが居る、流々が居る。あと、バカばっかりだけどクラスメイトの皆も居る。
「炎樹さん、胡愛ちゃん、準備ええ?」
「良いわよぉ」
「いつでも来なさい!」
みんな、素直じゃない私と居てくれる。こんな見た目の私と居てくれる。
私はここなら、私らしく居られる。
だから下に群がるカエル達を見て、私は言ってやった。
「友達の邪魔をする奴は──焼き尽くしてあげるわっ!」
高砂「そんな風に思ってくれてたんやなぁ」
芦屋「愛い奴めぇ~、うりうりうり~」
胡愛「うざっ!」
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最後まで読んで下さり、ありがとう御座いました!
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